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営業職という職業について

1)就活活動性は営業を誤解している?

私は十数年キャリアの支援をしている立場にありますが、
1つの疑問を持つ事があります。

それは、営業職という仕事の誤解についてです。
営業職という仕事をWikipediaで調べると

------
営業(えいぎょう)は、営利を目的として業務を行うことをいう。ここから転じて、「セールス営業」「店舗営業」などのように特定の行為が営業と言い習わされている。また、「営業日」「営業時間」などのように企業活動の集合体をさす言葉としても用いられる。以下にそれぞれ詳述する。
------

と、概念の記載があるので、
このレベルであれば、
違和感に映る事はありません。

しかし、
改めて就活生に営業職とは?
と質問をすると

1)数字に詰められそう
2)とにかく量を追う仕事だと言われる
3)飛び込みをしまくっている印象

と、口をそろえて、
様々な印象を受けますが、

総じて、
営業職の印象はあまりよく映っていない、
というのが本音として聞こえます。

2)セールスというキャリアの構造分析

いきなり本題に入りますし、
今回の記事のクライマックスを前半に持ってきました。

簡単に言えば、職業に対する理解を持つよりも、
産業構造上、数的なニーズからひも解く事で、
この「解」を導くように記載します。

A)営業職は市場では求められる職業

※参考:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和5年5月分)について


まず初めに、
職業に対する感情論ではなく、数値を見ていく事で、
営業職という仕事との向き合い方を定義するの良いのかもしれません。

これは、営業職は有効求人倍率が指数の2倍のデータとなっており、
市場では求められております。

これは業界構造というからくりがあります。
以下「図」と「理論」をご参照ください。

B)キャリア選択「基準」の理解


キャリア選択「基準」

この図で表したい事とは何か?
一言で言えば「キャリア選択」の「基準」。
或いは「軸」になります。

簡単に言えば、
この基準で「転職採用」「キャリア採用」は、
判断されることが多い、という図示となります。

新卒の就活生であれば、
馴染みは少ないですが、
中途市場ではこれが一般的です。

簡単に言えば、
新卒はポテンシャル採用となる為
「人物」「性格」「専攻」「その他能力」など、
仮定法で採用がなされていきます。

極端な話、
入社してから活躍の有無を見ていく。
一元的な物言いは避けたいですが、
敢えて言えば、余剰人員を採用した後、
残る人間を本当の雇用者と捉える事はしばしばあります。

つまり、
「若いので未経験でも問題が無い」
と判断をする考えが主流です。

ところが、
「中途採用は即戦力採用」です。
季節需要などとも呼びますが、
会社経営上、人的課題の解決。

人手不足、事業投資、経営促進など、
会社の経営の解決策として考えられます。

つまり、
「今存在する課題を解決する為に採用をする」という判断が主流です。

新卒と中途ではそもそも採用に対する考えが、
異なる事はお分かりいただいたと思います。

(※補足:中には若年というべき年齢か議論が出る新卒が出現したり、年齢が数歳しか変わらないが、新卒中途と区分けされ、更には新卒の方が、優遇されるのは違和感がある。という意見も理解します。しかし、新卒採用は入社が決まってから、数ヶ月は準備期間があり、経営フェーズによっては当初採用目的の事業部や職種や勤務地域を会社都合で変更するという判断もなされていきます。その為、歪な、労働習慣が生み出したものとも言えるので、この慣習の上で、産業が成り立っているんだと、受け入れるしかないです。)

では、上記の図は何を表すのか。
分かりやすく言えば、採用判断の基準です。

従来転職市場では、
「業界経験」と「職種経験」で判断します。

IT×営業の経験がある方は、そのままIT営業職のケースもあれば、ITを維持して、管理周りの仕事をしたり、或いは、営業を変えずに、不動産に業界異動をするなど、バスケットボールで言うピボッドをするケースもあります。この後論じますが、業界と職種両方とも未経験の場合は、率直に採用判断がなされることは稀有、であり、できたとしても待遇が下がる事が多いです。

その為、極端な話、
小さな会社への選考に対して
「超有名大手企業にいました、なので、私を採用してください。」
話していたとしても、会社のネームではなく、
「業界」と「職種」の経験を持って、
戦力可能性を模索して採用をします。

新卒の方は、試しに転職サイト閲覧しても良いかもしれません。
驚くほど「業界」と「職種」の経験で採用判断で、
そもそも採用フィルターがかけられています。

では、業界と職種の経験が無ければ、
転職ができないのか?
と、問われれば、それが全てではない、というのが答えです。

ただ、続きを言えば、
全てではないが年収は極端に下がる事が多い。
或いは、採用ハードルは大変厳しく判断される。
という答えに行きつきます。

なぜ、新卒の就活の記事。
そして、営業の記事でこのような記載をしているのか。
これは、「A)」の有効求人倍率に関わります。

簡単に言えば、
日本には約430万社企業が存在する、
と言われていますがどの会社も営業活動をしています。

IT、不動産、人材、介護などなど、
業界は国内に50も60もあると言われていますが、

営業職としての活動が無い会社は存在しません。
仮に営業部署が無い、
といっても経営者が代わりに活動していたりします。

なので、営業職の市場価値が高い、
というのは業界を横断して経験する事が出来る、
という事に付きます。

転職を目論んで新卒就活をしてほしい、
とは言いませんが、確実に視野に入れておいて損が無いと思います。

以下の2つの図でそれを証明します。

C)「業界構造」と「個人年収」の関係

著書:マーケットバリュー(転職の思考法:抜粋)

個人の市場価値とはどのように定義されますでしょうか?
答えは簡単です。「業界構造」に依存します。

そして、
業界の中で、
職務を果たす技術資産(今回で言えば営業職という職業資産もその一部)。

そして、
最後に人的資産。
これは若年層では考えなくて良いですが、
仕事を発注してくれる人間関係を指します。

若干、脱線させますが、人的資産から。
高校時代の同級生が50代になったら、数名有名企業の経営職についていてもおかしくないと思います。その時に、もし、仕事の話を出来ていたら熱いと思います。ただ、若いうちに変な営業をかけて疎遠になる方々も少なくないので、交友関係は長く太くすることが望ましいと言えます。

本筋は「業界」で年収というものが定義されるという御話です。

若干受け入れがたい話をしますが、この話のオチは、
能力に年収は依存しない。能力は変数の一部であって全てではない。

本筋は、どの業界に属すのか、が、重要である。という事を示しています。

例えば自分がアルバイトをするとして、
ある塾のアルバイトでは時給が3000円で、
ある外食のアルバイトでは時給が1200円だとします。
あるアミューズメントのアルバイトでは時給が1500円だとします。

同じ人間(自分)だとしても、
年収にばらつきが生じているのは、
業界の生産性が異なるからとなります。
(細かい議論を言えば会社のポテンシャル、仕事の細かい業務幅の違いなどありますが、一旦今回はこちらで受け止めてもらえたらと。)

同様に、会社選びでも同じです。
不動産業界のトップセールスと、
ブライダル業界のトップセールスは年収が異なります。

分かりやすく言えば、
野球の世界No1選手とラグビーの世界No1選手がいたとしますが、
彼らも年収が異なると思います。

仮に能力バロメーターが限りなく近かったとしても、
業界の生産能力の方が、重要視されていく。
という事実からは背けられません。

D)業界は変動する

業界規模ビジュアル
(赤になればなるほど業界GDPが減り)
(緑になればなるほど業界GDPが伸びている)
https://stat.visualizing.info/msm

その上で、業界の生産性で年収が異なる、
という理解は踏まえられたと思いますが、
改めて業界とはどのようなものなんでしょうか。

業界ビジュアルというマップがありますが、
同資料によれば、
産業は大きくも小さくもなります。

例えば、
パチンコ業界は過去30年近い前は、
20兆円あったと言われますが、今は10兆円近いです。

しかし、
面白いことに日本のGDPは30年間変わっていません。
500兆円程というGDPが常に横ばいとなっています。

その為、
この10兆円はどこに行ったのか。
よく言われるのはゲーム業界です。

パチンコに行く時間をゲームに充てる事で、
余暇の市場が変わっていっているようです。

ここで強調したいのが、
業界は伸びる事もあるし減る事もあると言いう事です。

もっと言えば、減る業界に居る方は、
毎年年収が下がり続けている方もしばしばいらしています。
良い、悪いではなく、事実はここにあります。

60年前は、砂糖が、
とても成長産業だと言われた時期があり、
同時期では国内優秀人材がこぞって集結したそうです。

しかし、数年で横倍となり、
利益率が落ちていき、年収も上がりづらくなったそうです。

F)柔軟性

業界天気図 google画像検索調べ

かなり雑にデータを引っ張りましたが、
内容を見てもらいたいのではなく、

伸びる産業と減る産業。
調子の良い産業と悪い産業。
それぞれ存在するという事を表しています。
では、この章のオチにいきます。

営業機能:国内の法人企業において、営業機能が無い会社は存在しない
キャリア選択:転職においては、業界or職種の何れか或いは両方が無ければ映るのが難しい。
業界基調:業界は、常に上下している。

上記3つの論点をまとめると、
営業職の経験を積み重ねると、

渡り鳥のように、
あらゆる「業界」と「産業」を行き来して、
常にマーケットの最前線。
伸びている環境の真ん中え闘い続ける事が出来る職業だと言えます。

3)セールス職は、ブルーカラーからホワイトカラーへ

冒頭の提起に近いですが、

セールス職と聞くと、
ブルーカラー(肉体労働)の印象が強く、
体力以外の「差」が見えづらいと感じていると人が多いように感じます。

もしくは、
会話の能力が高い、或いはキャラクター印象に左右されるなど、
先天的な印象を持つ方もいらっしゃると思います。

結論から言えば、
その要素が無い、とは言い切りませんが、
時間を経る毎に、どんどん高度になっていっています。

24歳のキャラクター営業が60歳で通用する程、
社会人は実は甘くはありません。

E)モノ売りからコト売りへ

セールス進化史

簡単に言えば、意志決定は高度化しています。
過去の歴史で言えば、物が不足していた時代。

この時代では、極端な話体力勝負。
顧客に接触を持った人間か否か、
という、スピード勝負。
物量での戦いが主流であったと思います。

しかし、昨今では、
モノを売る営業から、コトという、
サービスを売る営業に切り替わっています。

簡単な例で言えば、
過去:この冷蔵庫はとても冷却が優れていています。お値段も安いですし、どうですか?
現在:家族は何名いますか?主な主食はどのような物なりますか?電気代はどれくらいですか?なるほど、それであれば、この冷蔵庫 或いは、あの冷蔵庫などはオススメですよ。

など。顧客の生活様式に合わせて提案をしていく、
もっと言えば、
ただ、冷蔵庫を売る時代ではなく、
生活水準を提案するようなスタイルが求められており、

物だけではなく、
顧客の使い方に踏み込むことが必須とされた時代となります。

F)個人の仕事から組織の仕事へ

営業の分業

過去の営業は、
リスト作成、テレアポ飛込、訪問、追客、受注、フォローなど。
全ての業務プロセスは個人に委ねられ、
徹底する事が求められておりました。

しかし、前段でも伝えた通り、
顧客は高いコト売りが求められている。

根本的な事を言えば、情報化社会となり、
顧客の購入能力が上がってきており、商品知識や業界知識などは、
営業よりも詳しいケースもあります。

また、
購入者の口コミなども、ミエルカされており、
ますます高い提案力が求められていきます。

この考えに基づいた時、
セールスは個人ではなく組織で、分業をする事が求められて来ています。

その為、個人のノルマが詰められる、
というよりも組織として数値を作る事が出来ているのか。

アポイントをくれたインサイドセールスの成果を、
フィールドセールスは活かし切れているのか。など、
組織としての相乗効果が求められている時代といえます。

企業に応じて、体制が異なるケースはあるが、
濃淡はあっても、組織化する潮流は進んでいるので、
営業職の体制は変化されていると言えます。

G)営業を極めると専門性(コンサルタント)へ昇華する


接客から営業へ営業からコンサルタントへ。
1つの仕事を突き詰める事で、昇華がなされていきます。

例えば車のディーラーが存在したとして
車を案内するのか。車を売るのか。ライフスタイルを提案するのか。
もっと言えば、30年ディーラーをしているセールスパーソンが存在していたとしたら、きっと、彼/彼女は生活水準の提案をしたり出来るレベルになっていると思います。そして、このようなコンサルタントは、営業商材ではなく、「個人」そのものに価値が出来ます。極端な話、その人に提案をしてほしい。或いは、その人から話を聞く事が出来るのであれば、御金を払っても良い。そのように考えられるような人が出てもおかしくはないと思います。その為、営業(厳密にはほぼ全ての職業に言えますが)とは、突き詰めれば、コンサルタントという、個人に付加価値が付いていくような仕事になる事が出来るものといえます。

4)営業職という職域

改めて、営業の全体概念について、
前段3節によって説明をしてまいりました。

市場価値の高さ。
職能が提案職へ移行。
組織体制は個人体制ではなく集団へ移行。

3つの観点を理解されたものと感じます。
その上で、今回の落ちとなる、
営業職の誤解を解く事へ焦点を合わせます。

簡単に言えば、
営業とは、概念職業であり実体ではない。
そして、その上で、言葉ではなく「行動」に焦点を合わせて解きほぐしていきます。

H)営業職の構成7要素

営業職を行動ベースに全て洗い直すと、
以下7つに定義されると思います。

【1】顧客先【2】価格設定【3】関係性
【4】商材【5】費用携帯【6】課金携帯【7】開拓手法
の7つの掛け合わせで構成されます。

恐らく、営業職と聞くと
「個人」で「低価格」で「新規」で「有形」で「購入型」で
「初期投資型」で「顧客開拓型」のイメージがあると思います。

極端な話、差別化の無い商材を活動量で補う営業。
ラフな言い方をすれば「ゴリゴリ営業」という印象があると思います。

しかし、反証を考察します。
例えば、「成功報酬型」「問い合わせが来る」「無形商材」と、
という、営業だとしたら、世間の言う営業でしょうか。

営業といっても一口には定義できない。むしろ、昨今の営業は、前段でも記載をしましたが、顧客リテラシーが高まり、活動量だけのセールスが活躍が出来なくなっていると言えます。

その為、営業職、と聞いて一元的に見るのではなく、
「行動」を「分解」することで、実態が見えるようになっていきます。

I)営業職に合うビジネスパーソンとは

セールスパーソンの実態を掴んで貰った上で、
終盤へと移行します。

改めて、
セールスパーソンの存在意味と意義、
そして活動内容は理解をされていったと思います。

その上で、
1点疑問に思うのが、
営業職として適性な人間とはどのような人間なのか。
この1点が存在すると思います。

若干暴論に聞こえなくもないですが、
率直の率直に言えば、

営業職が向かないという方は、
限りなく少ない。

もっと言えば、
営業職に向く方の方が多いと考えます。

どういうことかといえば、
セールスとは、
面白いことにあらゆる知識と知性が生かされます。

あなた自身が、
不動産の営業パーソンだとしましょう。

そして、
競合他社ほど不動産知識もなく、
会話の発信も苦手意識があったとします。
でも、アニメや漫画を好んでいたとしましょう。

どうでしょうか。
初期設定としては、
一見うまくいかないように見えなくもないと思います。

しかし、
面白いことに不動産の購入者は、
信頼をする方から購入する人だっています。

信頼の感じ取り方は人それぞれですが、
会話をしていて面白い、
そう考えて判断する人だっています。

極端な話、
サブカルチャーに強い営業という触れ込みで、
クライアントを獲得する事だってできるかもしれません。

これは、
あながち作り話ではなく、
毎日のように、このような個性の活かされ方は存在しています。

もしくは、
大学で文学部を先行されいている方。
一見相性を感じないという意見が無いわけでもないですが、

セールスは御礼メール、中には、手紙を求める仕事だってあります。
国語の知識は確実にこのタイミングで活かされます。

伝えたいことは、
セールスとは、ビジネスの総合格闘技という、
考えに基づいて、向き合えば、
向かない方は極度に少ないと言えます。

また、もう1点。
若干本題からそらしますが、仕事とは、
「物を作る(技術者)」
「物を売る(営業)」
「物を管理する(事務)」
に分かれます。

管理は、
採用枠が一般的に少ないので、
「物を売る」か「物を作る」以外に職業は存在せず、
営業職という仕事は、ほぼ全ての仕事の基盤といえます。

なので、
営業という仕事から逃れるのではなく、
自分自身をどのように生かすか。

または、
努めていくのかを決めていくと良いでしょう。

5)営業とは、確実に「成果」にはたどり着ける仕事

エクスペリエンスカーブ:左図
(横山 信弘 史(アタックス・セールス・アソシエイツ社)の図:右図

若干大見え切っているかもしれませんが、
営業はほぼ、確実に成果は出せます。

これは、豪語できます。
例えば1年以内にNo1を取る。3年以内で昇格は絶対にする。
など、成果を出す事を前提とした上での自己実現、
という議論で在れば保証する記載はできません。

しかし、
ただ単純に、黒字化する社員になる。
業界や会社内に求められる人間になる。

というレベル感であれば、
一定の時間の猶予を持った上であれば、
ほぼ何方でも成果は出せます。

営業とは、前段でも伝えた通り、
感情論で売るのではなく、
一定の合理性の中で、
最適化される職業です。

希に若くてキャラクターでトップセールスになっている人がいます。
1年目の営業がキャラクターだけでトップセールスになっても、
30年間ずっと、キャラだけで売り切れるものでしょうか。

1年目若干、口下手でも30年経って、
商品知識・教養・経験を身に着けたら、
ほぼ1年目のキャラ営業よりも、

30年目の提案営業から購入をする消費者がいるはずです。
経済用語でエクスペリエンスカーブと呼びますが、
時間をかけて、経験を積み重ね続けていけば、確実に、成果へ繋がります。

なので、できる、できない、というよりも、
着実に、コツコツと、真面目に仕事をする方に向く、
実は地味な商売。でも、顧客の最先端の課題に向き合い続ける面白い仕事ですし、顧客と共に自分を高め合える仕事だと言えます。

なので、好奇心を持って、
セールス職という仕事に向き合ってみてください。

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