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レモンタルト

ハッピーバレンタイン。
昨日は、徹夜でレモンタルトを作った。
仕事を終え家に着いたのが0時。それから作り始め、気がついたら午前4時30分をまわっていた。
自分の手際の悪さと料理ぐらいなら目分量で作れるのにと毎度思ってしまうせっかちさに呆れる。

お菓子作りは温度と正確な量さえちゃんとしてれば綺麗に、手際よく作れるよ。
とパティシェエの友達が教えてくれた事を、既にオーブンに入れられてしまった私によって無惨にも乱雑に作られたダマだらけの生地がぷくぷくしながらまわっているのを眺めながら思い出す。

とは言っても、好きな人を思って作業をする事は楽しいし、我ながらに愛らしい。
小学2年生ごろから、バレンタインは毎年欠かさず手作りしている。
たいして上手に作れないくせに、変に作るモノのハードルだけ高く設定してしまうせいで幾度となく徹夜をしてきた。
失敗と試食を重ね、朝頃には胃もたれフィーバータイムが巻き起こされその日の1日は何も食べれないぐらいには気持ち悪くなっているのも毎年の醍醐味。


今年のレモンタルトの出来は、そこそこに悪い。
パティシィエが眠りながら作ってもその足元にも及ばないぐらいには、出来がそこそこに悪い。

これだったらどこかいい所のちゃんと綺麗に包装されたレモンタルトを渡してあげた方が彼も嬉しいんちゃうか。なんて思うのだが、この出来の悪さすらも”かわいい”と思って甘んじてほしいと思うのである。



小学生の頃、好きな人にスキと伝えられる唯一の特大イベントだと思っていたバレンタインデー。
あの頃たくさんチョコを貰っていたサッカークラブの1番人気だった金子くん、今はどこで何をしてるいるのだろうか。
“小学生の頃が1番のモテ期だった”とへたれ口で微笑む彼の姿が思い浮かばない訳でもない。

そういえば小学生の頃は足が速い人が1番モテて中学生の頃はグレてる男子が人気だった。高校生の頃は”顔”一択の厳しい世界だったように思う。

私も振り返ると、足が速い人、グレ男、顔と人気度が高い人を大いに優越していた気がする。私の分際で。

小学生の時でいう”足の速い人”は今でいうなんだろうか。

考えたら、”自我”かもしれませんね。

どれだけ足が速くても、どれだけ顔が整っていても、どれだけ人気があって皆んなに認められていても”自我”がない人に魅力を感じる事は大人になってから皆無になりました。
今の所、”経済力だけ”の人間にも魅力を見出せずにいます。

瞬足男やグレヤンキー男、ジャニーズのような顔だけの男に騙されたりした過去の自分のお陰で今の私の他人分析力は少なからず上がった気がします。

レモンタルトを焼きながら、マカロニえんぴつのレモンパイを聴く。
高校生の頃、まだインディーズバンドでそこそこ有名になってきたくらいのマカえんの存在を知って狂ったように聴き散らかしていた事を思い出す。

はっとりさんの歌声には今でもちょっぴりドキドキさせられるな。

君に触りたい、揺れながら少し悲しいキスをしたい
夜の長さに飽きたのだ
甘くて残したレモンパイ

甘いものが苦手な彼にとって、今回作った少し甘すぎたかもしれない”徹夜レモンタルト”も、この曲を聴いてから、それはそれでいいのだと安堵する。


マカえんの曲みたいに、急に変化球のようなリズム調を振りかざしてくるようなモノに惹かれるようになったのも大人になってからの話で。

今では理屈じゃ語れないようなモノに惹かれるようになった自分を誇りに思う。


彼にはちょっと甘すぎたかもしれないレモンタルト
甘すぎるぐらいがいいね、と思いながら作ったレモンタルト



甘くて、残してもいいからね

来年は
甘すぎないレモンパイを作ってみせましょう

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