美術:ジオット《最後の晩餐》、ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク
私のブログを続けてご覧いただいている方はお気づきだと思いますが、8月は投稿が激減しました。というのもクラシック音楽を中心に書いていると、オーケストラや劇場が夏休みに入ってしまい、フェスティヴァルしかないからです。
夏の間、美術が好きな私は美術館などに行っていました(インスタグラムではメモ程度に一部ポストしています)。
暑い日は美術館は空調もあり、また、夏の休暇中で、人も少ないので私にとっては格好の避暑地なのです。
しかもさまざまなチケットの優遇があり、たとえばミュンヘン・レンバッハ美術館は1年の通し券が20ユーロ、バイエルン州の40にのぼる城の1年通し券は50ユーロと破格です。これは迷わず買っています。
また、ミュンヘン市内のアルテ・ピナコテーク、ピナコテーク・デァ・モデルネ、ブラントホルスト、シャック・コレクションの入場料は日曜日は1ユーロです。
これを利用する人はさすがに多いと思うので、私は開館直後に行きお目当ての絵画に集中してさっさと帰ります。そうすると本当に人が少ない。
それは通し券でも同様です。美術館、とくに有名な美術館は人も多く、あれもこれもと見るとおなかいっぱい、疲れてしまうからです。
というわけで美術館や建築についてもいろいろ書きたいと思うのですが、調べているとキリがなく、もともと美術史を専攻したわけではないので、勉強に時間がかかってしまいます。
友人にそう言うと、「クラシック音楽やオペラについて書いている人の中に、本場で専門に勉強した人たちがどれだけいる?ブログは学会ではないし、知っていること、見たことを書いてほしい」と言われました。その言葉に励まされて、専門分野以外についても折を見て書きたいと思います。
そこで少し脱線ですが、ケルン大学で音楽学を学んでいた時に、学際的なゼミというのがありました。たとえば教会建築と音楽、典礼などというものです。
なかでもヴァチカンからの専門家と一緒に教授たちと一緒に教会の中で行われたゼミは興味深く、プロセッション(入堂)のスピード(テンポとリズム)、その折の天井建築の関係(音響)など興味深いテーマで議論が繰り広げられたことなど印象に残っています。
さて、先日、ラトル指揮バイエルン放送響のコンサートでジオットに触れました。→
80年代半ば、ヨーロッパ宇宙機関が打ち上げた彗星探査機の名前が「ジオット」。
由来はもちろん画家のジオット・ディ・ボンドーネです。
ジオットはパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の一連の壁画の中の『東方三博士の礼拝』に、自身で見たというハレー彗星(1301年)を書き込んでおり、それにちなんだということでした。
いやぁ、こういうのすごい!ヨーロッパって歴史と教養がそんなところにも現れるんだと感心した記憶があります。
下の絵の中央、上部に書かれているオレンジ色の物体がハレー彗星。→
ジオットは13世紀後半から14世紀初めにかけての最大の画家です。
アッシジの聖フランチェスコ教会の大フレスコ画もジオットの作(と言われています)。→
アッシジは街そのものもそうですが、車で行くと、遠くに見えた丘の中腹の街がどんどん迫ってくる、その高揚感はなんとも言えず素晴らしい。
そして有島武郎の短編《クララの出家》を思いながらサンタ・キアーラ教会のかたわらに輝く月を見る・・・
ところが、現実は・・
翌日サンタ・キアーラ教会に行くと、入場が厳しいのです。
肩と膝を出してはいけない。夏だったので、同行者は短パンを理由に止められ、短パンといっても膝上くらいだったので、短パンをギリギリまでおろして、その上からシャツを被せて、パスでした。
ところが後ろのアメリカ人の男性はランニングシャツに超短パン。どうやっても無理で、門前払い。本当にお気の毒でした。
今はどうかわかりませんが、イタリアの教会や美術館(でも厳しいところがあります)に行く方はどうぞお気をつけください。
もっとも中に入ると、裸体の彫刻や絵画もたくさんあるので、不条理感はありますが。
さて、ジオットに話を戻すと、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークでは《最後の晩餐》もありました(冒頭)。
FOTO:(c)Kishi
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