千尋草

日本茶販売店勤務。

千尋草

日本茶販売店勤務。

記事一覧

美味しいお茶の淹れ方。 まずは、充分に沸かしたお湯を用意する。 次は、新鮮な茶葉。これがなければ始まらない。 店で使っている便利な茶葉の計量スプーン。 すり切り1杯…

千尋草
2年前

星野店長の前に並んだ明日香と千尋。 「星野さん。私たち、今度お茶の初心者教室をやってみようと思っていて」 「あら明日香ちゃん、それ面白そうじゃない。どんな内容?」…

千尋草
2年前

【お茶に合う】 きんつば

寒天で固めた小豆などの餡を四角に切り、小麦粉をまぶして焼いたもの。 餡は小豆以外にも、かのこ豆、手亡豆、さつまいも、かぼちゃなど様々な種類がある。 中身に栗やくる…

千尋草
2年前

三 明日不期

「ねえ千尋、ちょっと相談があるんだけど」 「何の相談?」 少し身構えた千尋に明日香は笑顔で言った。 「お茶の教室できないかと思ってさ」 「明日香の唐突には慣れたつ…

千尋草
2年前

ニ 主人公

「いらっしゃいませ!新茶のご予約のお客様ですね!」 5月の新茶のシーズンを迎え、店内は活気に満ちていた。 今日も新茶を求め、朝から来客が絶えなかった。 「明日香ち…

千尋草
2年前
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一 夢

「おばーちゃん、どう?美味しい?」 「うん、とっても美味しいわよ」 「・・・ほんとに美味しい?」 「うん。何でかしら?」 「何だか自信がないの。 どうしたらおばーち…

千尋草
2年前

美味しいお茶の淹れ方。
まずは、充分に沸かしたお湯を用意する。
次は、新鮮な茶葉。これがなければ始まらない。
店で使っている便利な茶葉の計量スプーン。
すり切り1杯でちょうど5グラム。2人分に丁度良い。
沸かしたてのお湯を湯冷ましに注ぎ、2つの湯呑みに注ぎ分ける。
80度のタイミングを見計らって、湯呑みから急須に注ぐ。
抽出時間は50秒。
均等の濃さになるよう、2つの湯呑みに交互に注ぎ分ける。

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星野店長の前に並んだ明日香と千尋。
「星野さん。私たち、今度お茶の初心者教室をやってみようと思っていて」
「あら明日香ちゃん、それ面白そうじゃない。どんな内容?」
「リバーヒルズのカルチャースクールで、お茶の淹れ方を教えるんです」
「あ〜二階堂さんのところね」
「お知り合いですか?」
「あそこの所長さん。二階堂さんって言ってね。去年はうちもイベントやったのよ。」
「どんなイベントだったんですか?」

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【お茶に合う】 きんつば

寒天で固めた小豆などの餡を四角に切り、小麦粉をまぶして焼いたもの。
餡は小豆以外にも、かのこ豆、手亡豆、さつまいも、かぼちゃなど様々な種類がある。
中身に栗やくるみなどを入れて作ることもある。

江戸時代に京都で人気のあった銀鍔(ぎんつば)というお菓子が起源と考えられている。
元々は日本刀の鍔(つば)を模した丸い形状だったものが、時代を経て四角になり、金鍔(きんつば)と呼ばれるようになり現在に至る

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三 明日不期

「ねえ千尋、ちょっと相談があるんだけど」
「何の相談?」

少し身構えた千尋に明日香は笑顔で言った。

「お茶の教室できないかと思ってさ」
「明日香の唐突には慣れたつもりだけど、今度は何するつもりなの?教室って何を教えるの?」
「お茶の淹れ方だよ。最近若い人で急須持ってないって良く聞くから、こういうイベントで興味持ってもらえたらなって」
「いいんじゃないかと思うよ。…でも誰がやるの?」
「もちろん

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ニ 主人公

「いらっしゃいませ!新茶のご予約のお客様ですね!」
5月の新茶のシーズンを迎え、店内は活気に満ちていた。
今日も新茶を求め、朝から来客が絶えなかった。

「明日香ちゃん!包装5箱頼める?」
「大丈夫です!」

元気良く答えた明日香は、急いで包装台に向かった。
寺尾明日香(てらおあすか)
今年からこの店で働き始めた新入社員だ。
入社して1ヶ月、依然慣れないことばかりだが、包装のスピードには自信があっ

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一 夢

「おばーちゃん、どう?美味しい?」
「うん、とっても美味しいわよ」
「・・・ほんとに美味しい?」
「うん。何でかしら?」
「何だか自信がないの。
どうしたらおばーちゃんみたいに美味しく淹れられるかな?」

祖母は笑顔のまま少し考え、
「あなたさ、世界で一番美味しいお茶って何だと思う?」
「なんだろう?玉露?抹茶?」
「そう思う人もいるかもね」
「違うの?じゃあ何が正解?」

「わたしにとって世界で

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