一 夢

「おばーちゃん、どう?美味しい?」
「うん、とっても美味しいわよ」
「・・・ほんとに美味しい?」
「うん。何でかしら?」
「何だか自信がないの。
どうしたらおばーちゃんみたいに美味しく淹れられるかな?」

祖母は笑顔のまま少し考え、
「あなたさ、世界で一番美味しいお茶って何だと思う?」
「なんだろう?玉露?抹茶?」
「そう思う人もいるかもね」
「違うの?じゃあ何が正解?」

「わたしにとって世界で一番美味しいお茶はね・・・」

ブーン、ブーン、ブーン・・・・・

携帯電話のタイマーが休憩時間の終わりを告げた。

「もう戻らないと」

千尋は少し体を伸ばし、足早に店へと戻って行った。


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