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【広告展覧会・10の視点】 第四章 ユーモアで殺せ。

殺せとは何と物騒な。しかし日本語には「殺し文句」という言葉もある。ユーモアは人の心に強く、そして“心地よく”突き刺さる。実際、カンヌで広告賞を獲る作品にはユーモアをモチーフにしたものが多い。国籍や人種を問わず、万人に通じるコミュニケーションでもあるのだ。ユーモアは緊張を解きほぐし、緩んだ心の隙間にスルリとメッセージを滑り込ませる。それは巧妙に仕組まれた、楽しい罠だ。だから恐ろしい。でもどうせ買い物するなら、楽しく買いたいではないか。お客様を微笑ませる表現は、超つまらない“買え買え攻撃”よりもずっと知的だ。



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男性用商品 訴求プロモーション

ご主人を、もう一度 恋人に?!

(育毛剤 コピー)「フサフサのあなたは、もっとステキよ」
(白髪かくし コピー)「一生、ダンディなあなたでいてね」
(スキンケア コピー)「ズボラなあなたも、これ1つで美肌よ」

女性向けのカタログに掲載した、男性用商品の広告。妻が夫のために買うというケースが圧倒的に多いため、妻側の視点で描いた。
このテーマを“まじめに”表現したらどうなるのだろうか。おしゃれな広告にはなるかもしれないが、やや照れくさい(特に日本人の場合は)。恋人のような夫までは望まないが、多少はマシになってほしい(!!)が妻のホンネでは? そこで
・外国人モデルを起用
・スキンケア コピーを“オチ”として活用
・妻のホンネをよそに、夫は“夢見心地な表情”に
という演出を加えた。



健康食品のプロモーションは、商品説明におけるエビデンスや説得力が重要である(法律の範囲内で)。商品の信頼性を語るに相応しい、誠実なトーンもまた必要。

ただし、そこに導くための導入部はなるべく難しくせず、興味を喚起するものでありたい。「モデルを使っての健康問題提起」が王道の表現だが、撮影には費用がかかるため、イラストを使うことも多い。

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健康食品プロモーションのためのキャラクターたち(導入部のみ抜粋して構成)

(トナカイに語りかけるサンタクロース)
「ワシも、あなたも生涯現役。
まだまだ歩き続けんとな」

グルコサミン&コンドロイチン

(プレゼント配達のため、煙突に入るサンタクロース)
「配達し忘れたら大変じゃ。
“健考”にはワシも気をつけとる」

プラズマローゲン

(ディナー中のサンタクロース)
「年末は外食が増えるから
野菜不足になりがちなんじゃ」

青野菜ジュース

(魚釣りを楽しむサンタクロース)
「海の国の日本人が魚不足?
これ飲んでサラサラにな」

DHA & EPA

(帰宅後、だらしなくソファに倒れ込むOL)
どんな美人も、スタミナ切れたらオシマイ。

黒酢にんにく

(ハンカチ噛んで泣く牛)
「牛乳1本分のカルシウムがたった2粒でとれるなんて、
ちょっとくやしい…」

錠剤カルシウム



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(左)男性用育毛剤のためのコラム     (右)美容ドリンク プレゼント告知

(左)育毛剤プロモーションの一環として、「髪にNG! な生活習慣」という情報コラムを掲載。ちょっと自堕落な生活態度を描く都合上、否定的でシリアスな指摘にはせず、笑って読んでいただけるようなトーンにした。主人公のイラスト男性は、バランスのとれた食事の大切さを認識しつつも、「結局、今日も外食…」とラーメンをすすっている。

(右)「思わずピース!」のコピーとともに、期間限定のラッキーなプレゼントであることをユーモラスに表現した。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。(第五章に続く)

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