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ダンサーなら知っておきたい筋肉の話-運動編[どんな仕組みで動くのか]-

 こんにちは!Chionです.今回の医舞-Eve-は,「ダンサーなら知っておきたい筋肉の話-運動編-」です.運動編と言っても前回の記事と違いを出すために運動編にしてますが,基礎の話です.なるべく簡単に理解できるよう頑張りますので,是非最後まで読んでください.

 

体はどんな仕組みで動くのか

 みなさんは,体がどのように動くのか知っていますか?操り人形のように糸でつっているわけではないのに,動くことを不思議に思ったことはないでしょうか.私は不思議に思っていました.

動きを生むメカニズム

 実は筋肉が,骨を引っ張ることによって体の動きが生まれるのです.筋は基本的に骨につきます.それも,少なくとも2つ以上の複数の骨につきます.そうすることで,骨同士を引き寄せて,動きが生まれます.この骨と骨の境目を関節と呼びます.指先や足先まで伸びる筋(腱)は,長いもので10個の関節をまたぐものもあります.(数え方によってだいぶ変わります.)
 筋の中には,もちろん骨以外の他の組織につくものもありますが,大半は骨*についています.
*骨に直接着くのではなく,腱に変わってから付着するものがほとんどです.
Key word
関節

画像Ⅰ[腕の模式図]

 赤い星と黒い星に筋(赤線)が付着している.間にある丸が関節.筋が収縮すると,黒い星が赤い星に寄り,黒い矢印のような動きをして,青のイラストまで移動する.このような構造が身体中にあり,動作を生んでいる.

筋肉の起始と停止

 筋肉がどこに付着しているか,というのをわかりやすくするために,付着部に2種類の名称がついています.それは起始と停止です.筋肉がどこから始まって,どこで止まるのかという意味ですね.
 では,それらをどう決めるのか?起始と停止を決めるにはルールがあります.それは,①体の中心からの距離と,②運動の際,動くことが多いかどうか,の2つがあります.
起始:①中心から近い
   ②動くことが少ない
停止:①中心から遠い
   ②動くことが多い

こんな感じですね.
では,実際の例えを見ていきましょう.画像Iでは,上腕に赤い星があり,前腕に黒い星がありますね.①から考えると,中心に近いのは上腕なので,赤い星ということになります.②からも考えてみましょう.ダンスでは,手を固定して体を動かすことも少なくないですが,日常生活では,やはり手の末端の方が大きく動きますね.なので,動きが少ない方が,上腕の赤い星で,動きが多いのはより末端の黒星ということになります.ですから,①②の二つを考慮しても赤い星が起始黒い星が停止となるのです.

Key word
起始
停止

ダンスで考える,動作と起始停止

 シアター系のダンスでは欠かせない,ポイントを例に考えてみましょう.
ポイントをする筋は,下腿三頭筋という筋肉です.下腿三頭筋は,腓腹筋とヒラメ筋の2つの筋肉の総称です.今回はヒラメ筋だけに焦点を当てて考えます.

画像Ⅱ[ヒラメ筋]

 画像Ⅱを見てどちらが起始で,どちらが停止かわかりますか??


正解は,上が起始で,下が停止部です.
正解しましたか?

 ヒラメ筋は,膝下(脛骨の後面)から起始し,踵に停止します.
なので,起始:脛骨-ケイコツ- 停止:踵骨-ショウコツ- となります.
脛骨と踵骨の繋ぎ目は,足関節と呼ばれます.足首の部分です.ヒラメ筋が収縮することで,踵が膝裏に近づきます.(踵が上に上がってくるとも表現できます).そうすることで,踵の反対のつま先は,下に下がりポイントになるのです.ちなみに生まれる動作のことは,作用と呼びます.ここでは,ポイントがヒラメ筋の作用ということになります.
 ここからわかるのは,足首を伸ばすこと,指先まで伸ばすことは全く別なのが,わかりますね.ダンサーの中でも,足首と指先を伸ばす区別がつかずに,炎症を起こしている方も多いです.

Key word
ヒラメ筋
脛骨
踵骨
足関節
作用

動きの概念

 運動学にはreverse actionという言葉があります.
Reverse:反対の
action:動き
直訳通りreverse action とは反対の動き.つまり「反作用」という意味です.
 では,そもそも運動学における「正作用」とはなんでしょう.その答えは,先ほどお話しした筋の起始,停止の関係にがあります.おさらいになりますが,起始は動くことが少ない方で,停止は動くことが多い方.つまり,起始部が止まっていて,停止部が動いている状態ですね.これを運動学的に筋の正作用と呼びます.
 なので,その反対が反作用です.つまり,起始部が動いており,停止部が止まっている状態.これが反作用(Reverse action)です.

作用の具体例

具体例を用いて説明します.筋で説明するとイメージが湧きにくと思うので,動作で説明します.
 正作用では,末端を自分に引き寄せる動きで,自分は動かない状態です.例えば,すぐ届く位置のカップをとって寄せるとき,自分自身はカップに寄りませんよね.これが正作用です.
 反作用では,自分が移動する動きで,末端は動かない状態です.
例えば,懸垂バーを持って自分自身が上がる.これは末端部が動いてしまったら自分自身が上がることはできないですよね.これが反作用です.
 結論を単純に言ってしまえば,反作用は,移動するための原理です.もう少しイメージを膨らませてみましょう.無重力宇宙空間をイメージしてください.全部自分に寄せる正作用をおこなっていたら移動することはできません.移動するためには,手すりや何かを掴んで引っ張る.もしくは床や壁などを蹴る必要があります.この移動するときは,反作用と言えます. 

まだ作用のイメージが曖昧な人は,クイズをやってみましょう!

正作用か,反作用で答えてください.
1)バットマン
2)ルルベ
3)パッセ
4)タンジュ
5)プリエ



答え

1)正
2)反
3)正
4)正
5)反
どうですか,正解しましたか?
もし,解答と具体例を見ても納得いかないようでしたらコメントいただければ追加で解説いたします.

どんなことに役立つ?

 では,この概念を理解してことでどんなことに役立つのでしょうか.この概念を持つことで,動作を明確に整理することができます.自分のダンスを理想に近づけるために,動画や鏡で修正しますよね.その修正のための視点を増やすのです.人間はどうしても,大きく動く方に目が行きやすいため,実際の動作を正確に把握することが難しい場合もあります.原因がどこにあるのかをみつけるために,作用の概念を用いて原因特定の判断材料として使えます.

最後まで読んでくださりありがとうございます.
また次の記事も読んでくださいね!
No Rain No Rainbow🌈

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