自然と睦ぶ世界
九州最高峰の山、
鹿児島県屋久島町宮浦岳への旅の途中。
約2,000mの標高差と亜熱帯に近い気候が
多様な植物相に包まれる緑の世界を創り出す。
前日に参加を予定していた縄文杉のツアーが
台風による土砂崩れで中止となった。
「上まで行けそうですね。」
ツアー中止の連絡を受けた私は、
急遽この登山を計画し、
地元のガイドと共に山を歩いていた。
登るにつれ天候は回復し、
山頂では雄大な景色を望んだ。
往復11時間の道のりだったが、
私たち以外に人はいなかった。
人とすれ違わない登山は、
私を自然の中に没入させた。
これは図らずも、台風によって齎された恩恵だった。
自然によって人に被害が生じる現象を
私たちは自然災害と呼んでいるが、
果たしてそうか。
人も自然の一部であるという意識があれば、
人と自然との対峙を表す言葉は生まれない。
種は、淘汰・進化・共存・共栄の旅をする。
環境問題が叫ばれている今、人が自然と睦ぶ世界へ。
私たちは、旅の途中だ
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