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生涯でたったひとつの愛だった

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内省にまみれた散文集。
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2020年6月の記事一覧

うつ病という名前の幼馴染み

 センチメンタルなポエムを常日頃から語ってはいるが、『私』という人間を語る上で、奴はどうしたって避けることが出来ない存在だ。

 正式にうつ病という診断を下されたのは確か中学生の中頃だった、と思う。
 中学に上がるぐらいの頃からなんとなく、私自身はそんな気がしていたので、別に驚きはしなかった。けれど、隣で一緒に診断を聞いた母が酷く狼狽えていたのを覚えている。

 症状というか片鱗というか、そういう

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無防備な恐怖、不安とひとつ

無防備な恐怖、不安とひとつ

 私はひとつになりたがる。
 どこででもぴったりくっついて、身も心もひとつの存在でありたい、あろうとする。

 でも彼はそうではなくて、ふたつであろうとする。
 ふたつで、ふたつだから愛せるようにいようとする。

 それは日常生活のなかでも顕著で、外にいる時いつも手を繋いだり彼のどこかしらに触れていたい私と、あまりそうしたがらない彼と。
 べたべたに甘えたい気持ちでそうしているというより、私は彼と

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愛しさと愛と嫌い

愛しさと愛と嫌い

 夜の散歩に無理やり引きずり出した時点で、結末は決まっていたような気がする。

 散歩行こう、と言った私に、えー嫌や、歩きたくない、と駄々をこねた(ように私には思えた)彼を強引に夜の中に連れ出した。

 始めは二人で散歩に行けることに浮き足立って、うきうきで飛び跳ねるように歩いていた。
 けど、目的地のコンビニまで三分のニほど歩いた交番の前で、彼の言葉に私がかっとなってしまった。苛立った私の「だか

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ジュリエットへのラブレター

ジュリエットへのラブレター

 彼女と人生で初めて会った日、なんばの路上でたこ焼きを食べて、美味しい〜!って少し上を向いて笑った横顔を鮮明に覚えている。

 これはごく個人的な、ある人への手紙である。彼女が見るか見ないかは問題ではなくて、ただ彼女に会いたすぎるのでここに私の気持ちをラブレターに認めることにする。(会う約束がコロナに潰された)

 彼女と初めて知り合ったのは、私が二つ目の高校を退学するかしないか決めかねている頃だ

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