桜井篤

魅力発掘プロデューサー/観光振興シニアコンサルタント/脚本家/淑徳大学地域連携センター特別客員研究員●リクルート『じゃらん九州』編集長、千葉市観光プロモーション課長等を経て現職●訪れる人の「喜び」と住人の「誇り」を同時に創出します。著書『まちの魅力を引き出す編集力』(同友館)。

桜井篤

魅力発掘プロデューサー/観光振興シニアコンサルタント/脚本家/淑徳大学地域連携センター特別客員研究員●リクルート『じゃらん九州』編集長、千葉市観光プロモーション課長等を経て現職●訪れる人の「喜び」と住人の「誇り」を同時に創出します。著書『まちの魅力を引き出す編集力』(同友館)。

    マガジン

    • 地域の魅力を発掘する★観光振興&魅力発掘プロデュース

      【2020年7月20日創刊】このマガジンは、地域の魅力を発掘して、観光客を呼ぶ!地元の人も訪れる人も其々の幸せが増すような、そんな本格的な観光振興の実践術を、これまでの記事から選りすぐり編集しています。

    記事一覧

    「認める」「ほめる」「賞賛する」。人と組織を育てるアプローズマネジメント人材育成その1~

    アプローズとは英語のapplauseのことで、「拍手」を意味します。拍手や喝采などによって公に表現される賞賛や称賛の行為です。 アプローズマネジメントとは、私がこの言葉…

    桜井篤
    3日前
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    地域資源のストーリー化~地域資源を見つけて観光資源に昇華するために その4~

    写真について (一社)佐賀市観光協会の「幕末・維新の佐賀の賢人たちの人物相関図」。一人ひとりの偉人を、その関係性を調べて一覧にしたことで、そこから物語が見えてく…

    桜井篤
    2週間前
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    コラボレーションコーディネート~地域資源を見つけて観光資源に昇華するために その3~

    コラボレーションコディネート(以下CC)は、2つ以上のものごとや2者以上の人々をつなげることで、新たな動きを生み出し、それによって新たな提供価値を生じることを目的…

    桜井篤
    2週間前
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    取材テクニック10 ~地域の魅力を発掘して観光集客企画にするために~

    私は、取材記者~旅行情報誌の編集長~魅力発掘プロデューサーとして現在に至る35年間の間、その時その時の立場で、ずっと地域資源を活用した観光振興に取り組んでいます…

    桜井篤
    1か月前
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    地域資源を見つけて観光資源に昇華するために その1「民俗学的アプローチ」

    その土地には必ず地域資源があると感じています。 私は、取材記者~旅行情報誌の編集長~魅力発掘プロデューサーとして現在に至る35年間の間、その時その時の立場で、ず…

    桜井篤
    1か月前
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    「シビックプライド」と「郷土愛」との違いの語義解釈的アプローチによる一考察

     地域の観光振興を進めるにあたり、年々重要度が増していくのが「シビックプライドの醸成」です。私個人も地域を観光推進で振興する大きな目的はここに還元して行きたいと…

    桜井篤
    2か月前

    「電通が得意とする気運醸成型イベント」に思う「言い逃れの温床」

    以下、リンクしたニュースを見て、考えていることを少々。 コメント欄では、「電通をぶっつぶせ」的な反応が多く、ハラハラしながらも一読の価値あり。 一方私は、この記…

    桜井篤
    3か月前

    「知覚」力を向上する前に身につけておきたい哲学的態度 フッサールの「現象学的還元」

    今日は、個人の知覚力の向上こそが、観光振興の源泉となりうることをお伝えしている4回目となります。 なぜ 知覚力が重要なのかは以前のブログをご参照ください https://n

    桜井篤
    9か月前
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    自分の考えを仕事に活かしてはいけないと思い込んでいる■観光人材育成論③現代の課題①「知覚の鍛錬~序章~」

    今回は、観光人材育成についての「商品価値を高めるために、対象そのものをしっかり観察するための「知覚」を鍛錬する」必要性についての第三回です。  現在私が危惧して…

    桜井篤
    9か月前
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    なぜ対象をしっかりと観察していないのか?観光人材育成論②現代の課題①「知覚の鍛錬~序章~」

     今回は、観光人材育成についての「商品価値を高めるために、対象そのものをしっかり観察するための「知覚」を鍛錬する」必要性についての第二回です。  現在私が危惧し…

    桜井篤
    1年前
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    なぜ各論に弱いのか? 観光人材育成論②現代の課題①「「知覚」の鍛錬~序章~』

    まず、前回の論旨のおさらいです。前回は下記3つのお話でした。 ①    観光人材育成は、「ビジネススキル」と「商品価値を高める力」の2つにわけて考えられるべきで…

    桜井篤
    1年前
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    観光人材育成論①2つの似て非なる要素「「知覚」の鍛錬~序章~」

    国を挙げての「観光人材」育成が叫ばれてもう数年経っているでしょうか。国内消費が減退する一方で、経済成長の源を外貨に求めるのは当然であります。しかし、観光振興戦略…

    桜井篤
    1年前
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    「人材育成」と「体験型プラン」を同時に作る観光振興プログラム商品のご案内

    桜井篤
    1年前
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    奔放な娘に翻弄される「僕」『卵を産めない郭公』ジョン・ニコルズ作 (村上春樹訳)を読んで 

    今年は毎月1冊文学作品を読もうと決めたのですが、1月は『ペスト』2月は『フラニーとゾーイ』と2冊読了したのが、2月のまだ上旬。そこで、ほんの気なしに本棚にあって読ん…

    桜井篤
    1年前
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    【体験型観光プランの作り方】 物語化ができない時、どうしたら「感動」は作れるのか?

    感動体験。 なんだか、とてつもなく喜ばしい文字面ですよね。 お客さんとしたら、「感動できる」っていいことばかりなのですが、 仕掛ける方としては、「どうしたら感動さ…

    桜井篤
    1年前
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    地域資源→観光資源化に役立つ能力その3「掘り下げる」

    地域の観光振興を進めるにあたり、最も基本的なこと、それは、ひとつひとつの地域資源をちゃんと見つめて、その良さを感じたら、ある工夫をして、魅力的な観光資源に昇華さ…

    桜井篤
    1年前
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    「認める」「ほめる」「賞賛する」。人と組織を育てるアプローズマネジメント人材育成その1~

    アプローズとは英語のapplauseのことで、「拍手」を意味します。拍手や喝采などによって公に表現される賞賛や称賛の行為です。 アプローズマネジメントとは、私がこの言葉にマネジメントの意味を加えて作った造語で「拍手喝采で賞賛して皆で喜び合うことで、快感を刺激し、意欲を高め、提供価値を高める」ことです。  組織においては賞賛された対象事柄が、組織が目指すお手本であることを間接的に示しますので、事業理念の理解にも役にたちます。 個人にとっては、モチベーションがあがり、積極性も

    地域資源のストーリー化~地域資源を見つけて観光資源に昇華するために その4~

    写真について (一社)佐賀市観光協会の「幕末・維新の佐賀の賢人たちの人物相関図」。一人ひとりの偉人を、その関係性を調べて一覧にしたことで、そこから物語が見えてくるような構成に仕上げました。2010年に完成した後、後任のスタッフの方に多少修正を施していただいた上で現在もHPにアップされています。ちなみに歴史寸劇脚本作りに大いに参考になりました。 全体図はこちら↓ 義祭同盟とは? 佐賀市観光協会公式ポータルサイト サガバイドットコム [sagabai.com] 日本各地の観光振

    コラボレーションコーディネート~地域資源を見つけて観光資源に昇華するために その3~

    コラボレーションコディネート(以下CC)は、2つ以上のものごとや2者以上の人々をつなげることで、新たな動きを生み出し、それによって新たな提供価値を生じることを目的として行います。 よく言われる「点から線へ、線から面へ」という地域観光振興における地域資源の掘り起こしから集客装置創出までの典型的な手法がこのCCです。 一方で魅力発掘プロデュースをしていて、もっとも心躍る業務プロセスがこのCCでもあります。 この項では、CC実現に至る各段階を示し、あわせて上手に行うコツを挙げましょ

    取材テクニック10 ~地域の魅力を発掘して観光集客企画にするために~

    私は、取材記者~旅行情報誌の編集長~魅力発掘プロデューサーとして現在に至る35年間の間、その時その時の立場で、ずっと地域資源を活用した観光振興に取り組んでいます。 その中で実践してきた取材を通して「テクニック10」としてまとめました。   取材は、その後の企画の成否に直結します。私はこれまで取材記者、編集者、広告ディレクター、企画担当者など様々な立場で35年にわたり取材を経験してきましたが、それらの経験を通して立場を問わず、取材活動における「基本ポイント」と、観光振興に直結す

    地域資源を見つけて観光資源に昇華するために その1「民俗学的アプローチ」

    その土地には必ず地域資源があると感じています。 私は、取材記者~旅行情報誌の編集長~魅力発掘プロデューサーとして現在に至る35年間の間、その時その時の立場で、ずっと地域資源を活用した観光振興に取り組んでいます。 その一例として「民俗学的アプローチ」について記します。   民俗学的アプローチとは、その土地の歴史、文化、口承伝承などを対象とした情報収集アプローチです。日常生活を観察し、自分で見聞・体験し、その土地ならではの傾向を発見し、さらに、莫大な日本民俗学の学的蓄積と照合し、

    「シビックプライド」と「郷土愛」との違いの語義解釈的アプローチによる一考察

     地域の観光振興を進めるにあたり、年々重要度が増していくのが「シビックプライドの醸成」です。私個人も地域を観光推進で振興する大きな目的はここに還元して行きたいと考えています。また、ここをしっかり持って、関係者間で共有していると、観光振興の戦略から現場の最前線の小さな打ち手までどの段階でも、ぶれないですみます。さらに、思いがけないアイディアさえ生まれてきていると実感しています。  本稿では、この「シビックプライド」とそれに似ている「郷土愛」の違いが再確認できるように書きながら確

    「電通が得意とする気運醸成型イベント」に思う「言い逃れの温床」

    以下、リンクしたニュースを見て、考えていることを少々。 コメント欄では、「電通をぶっつぶせ」的な反応が多く、ハラハラしながらも一読の価値あり。 一方私は、この記事の最後のところの「電通が得意とする気運醸成型イベント」という表現に苦い記憶が蘇りました。 まざまざと思い出すのは、私も審査員に呼ばれた他部署の事業のプロポーザルの結果、某社に発注したある巨大プロジェクトの「気運醸成」のための屋外イベントの光景です。  その日は雨の中、某所に訪問したのですが、途中雨もあがったので寄

    「知覚」力を向上する前に身につけておきたい哲学的態度 フッサールの「現象学的還元」

    今日は、個人の知覚力の向上こそが、観光振興の源泉となりうることをお伝えしている4回目となります。 なぜ 知覚力が重要なのかは以前のブログをご参照ください https://note.com/cherrybravo/n/n8769be25e95a これから観光振興に取り組もうという若い方々にお伝えしておきたい最も重要だと思っていることを述べます。 それは、集客ターゲットを「都内のファミリー」とか、「インバウンド向け」などと安易に決めちゃう前にやっていただきたいことです。 まずは

    自分の考えを仕事に活かしてはいけないと思い込んでいる■観光人材育成論③現代の課題①「知覚の鍛錬~序章~」

    今回は、観光人材育成についての「商品価値を高めるために、対象そのものをしっかり観察するための「知覚」を鍛錬する」必要性についての第三回です。  現在私が危惧している3つのうちの三番目「自分の考えを活かしてはいけないと思い込んでいる」についてとなります。   まずは私がそう感じるようになった経緯をご説明します。 私は大学生から20代の若い社会人に接する機会を経て、彼らの多くが、自分の考えを封印して課題や仕事に当たっていることを知りました。 そして、その束縛から解放するためのメソ

    なぜ対象をしっかりと観察していないのか?観光人材育成論②現代の課題①「知覚の鍛錬~序章~」

     今回は、観光人材育成についての「商品価値を高めるために、対象そのものをしっかり観察するための「知覚」を鍛錬する」必要性についての第二回です。  現在私が危惧している3つのうちの二番目「対象をしっかりと観察していない」についてとなります。  「観察」という行為は「深く知る」という結果をもたらします。つまり今回のテーマである、「対象をしっかりと観察していない」ということは、言い換えれば「対象を深く知らない。理解していない」ということです。その結果、仕事の場合、そのような本人から

    なぜ各論に弱いのか? 観光人材育成論②現代の課題①「「知覚」の鍛錬~序章~』

    まず、前回の論旨のおさらいです。前回は下記3つのお話でした。 ①    観光人材育成は、「ビジネススキル」と「商品価値を高める力」の2つにわけて考えられるべきであること ②    「商品価値を高める力」は今後ますます重要になるにもかかわらず、その教育体制は、いまだ体系だってないこと ③    「商品価値を高める力」において最も重要なことは「対象をじっくり観察すること」でそれは、「知覚を鍛錬すること」で養われていること 今回は、上記③を実現するにあたり当方が抱いている危

    観光人材育成論①2つの似て非なる要素「「知覚」の鍛錬~序章~」

    国を挙げての「観光人材」育成が叫ばれてもう数年経っているでしょうか。国内消費が減退する一方で、経済成長の源を外貨に求めるのは当然であります。しかし、観光振興戦略を「訪日外国人受け入れのため」の一辺倒になるのは、観光人材を育てるという点ではいささか一足飛びの感がいなめません。 そもそもなぜ人材育成の視点で、わざわざ「観光」と頭に名付けているのか、には理由があると考えています。今日はその意味について理解を深めたいと思います。 観光が一躍脚光を浴びたのは、今から約50年前の「高度

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    「人材育成」と「体験型プラン」を同時に作る観光振興プログラム商品のご案内

    奔放な娘に翻弄される「僕」『卵を産めない郭公』ジョン・ニコルズ作 (村上春樹訳)を読んで 

    今年は毎月1冊文学作品を読もうと決めたのですが、1月は『ペスト』2月は『フラニーとゾーイ』と2冊読了したのが、2月のまだ上旬。そこで、ほんの気なしに本棚にあって読んでなかったこの本を手に取りました。 1965年頃のアメリカ東部のエリート校の男女の恋愛模様を描いています。 主人公はその2人ですが、この女子がまたなんともエキサイティングで、感情の振れが大きく、いつもエキセントリックな振る舞いをするので、もともとは内向的で地味な「優等生」タイプのお相手の男子がどんどん彼女に引き

    【体験型観光プランの作り方】 物語化ができない時、どうしたら「感動」は作れるのか?

    感動体験。 なんだか、とてつもなく喜ばしい文字面ですよね。 お客さんとしたら、「感動できる」っていいことばかりなのですが、 仕掛ける方としては、「どうしたら感動させられるのか?」とかなりきつい仕事になるのが常です。 それは、感動とは、「おもしろかった」レベルではなくて、「最高だった」と涙を流すほどの質であるに違いないからです。 予算も潤沢にあるのでしたら、感動要素はいくらでももってこれるのはあたりまえ。 ここでは、そんな金満企画ではなくて、いかにお金を使わずに、感動体験を創造

    地域資源→観光資源化に役立つ能力その3「掘り下げる」

    地域の観光振興を進めるにあたり、最も基本的なこと、それは、ひとつひとつの地域資源をちゃんと見つめて、その良さを感じたら、ある工夫をして、魅力的な観光資源に昇華させることです。 この工夫の仕方で、基本的な考え方は大きくわけて4つあります。 順を追って並べると「掘り下げる」「わける」「つなぐ」「伝える」です。 今回はその最初の作業「掘り下げる」をひもときます。 自分のセンスを知って活かして観光振興に取り組みましょう 地域資源を観光資源に昇華させるやり方は沢山あります。しかしそ