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クリスマス・イヴ[4-4]

ボーッとしてたら、もう夕方だ。

だんだん暗くなってきたし、そろそろ帰らないとなあ。


あ、さっきぶつかっちゃった人だ。

さっきはしっかり見てなかったけど、優しそうな人たちだな。

あの人たちも、誰かのパパとママなのかな?僕のママよりはちょっと年上に見えるから、そうだとしてももう大人かもしれないな。

・・・あんな人たちが僕のパパとママだったら、さっきの夢みたいにクリスマスに旅行できた?かけるくん家みたいに毎年おうちでパーティーしてた?あきとくん、りきくんみたいにお出かけ?かずくんとこみたいに従兄弟が来てたら1人のクリスマスじゃなかった?


やっぱりしゃべる相手がいなくて1人だと、"もしもああだったら・・・"ってことばっかり考えちゃう。

もちろん、パパがいたらよかったなって思うこともあるし、兄弟とか、従兄弟がいたら寂しいのが減るかもしれないけど、僕は僕のママが好きだし、ママががんばってるのを知ってるから、早く大きくなってママを楽にしてあげたいって思ってる。


よし!

もうああだこうだ考えるのは終わり!

ママは今日も帰りが遅いだろうし、帰ってお布団敷いておいてあげよう。


上着来たし、家の鍵もあるし、忘れ物なし。帰る!


最後に、光ってるツリーを見て帰ろう。

僕も少しはクリスマスっぽいことしたいからね。




やっぱりここのツリーは大きいなあ。

僕の背が高くないのもあるけど、一番上に飾られてる星を見ようとすると、首が痛くなるくらい高いところにあって、そのまま空まで届くんじゃないかって感じる。

ここにもたくさん大人たちがいて、みんなツリーを見上げてる。


ッドン

「うわぁ。」

今日はぶつかったり、ぶつかられたり忙しい。

「あっぶね、なんだ、ガキか。小さいから見えなかったぜ。」

「坊や、気をつけろよー。」

「もう!小さい子にそんな言い方ないでしょ。ごめんね、僕。」

「ぅぅん。」

ちょっとお兄さんたちが怖くて、じっと下を見て、やっとそれだけ答えた。


ポン

「怖かったよね、ごめんね。わたしもあの人たち怖くて・・・だからわたし帰るんだ。僕も帰るところだったかな?お詫びじゃないけど、もうわたしはこれいらないから、僕にそれあげるね。メリークリスマス!」

そう言ってうつむく僕の頭に何かを乗せて、お姉さんはお兄さん達と反対方向へ歩いて行った。

「なんだろ?」

そう思って頭に置かれたものを取って見てみると、お姉さんがくれたのは、100円ショップに売ってるような、サンタさんの赤い帽子だった。

「僕にもサンタさん来たかも。」




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