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小説

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#掌編小説

掌編小説 TOO NEGATIVE

きったねー部屋だと、おまえん家に初めてあがった時思った。
ゴミが溢れてるとかでなくて、物が多すぎる逆ミニマリストっつーかなんつーか。洋服が異様に多かったり、本が床に積まれてたりやっぱり物が多すぎる。
女子って綺麗な部屋に住んでんじゃないのか。
ピンク、白、ベージュが基本でさ。俺がステレオタイプすぎるのかも知れん。
ベッドはないから布団で寝てんのかな思ったら、寝袋で寝てるという。なんでって聞いたら登

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掌編小説 岐阜とベルちゃん

何回も失敗し、やっと召喚した悪魔ベルゼブブは薄黄色の体に真っ赤な複眼を持っていた。

晶子は想像していたのとは違うタイプの悪魔が現れたことに少し驚いたが、悪魔界にも都合があるのかもしれないと折角召喚したベルゼブブもどきを肯定的に見ようとした。

(これはアルビノ種なのかもしれない、悪魔のアルビノっているのかな。)

じっと体を見つめられていることに気付いたベルゼブブは「何見とんのじゃ。そこの女子。

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掌編小説 嘘と月餅

あなたは嘘をつくときわたしと視線を合わさない
今日も空をみつめてるから多分嘘をついている
わたしはそれ以上追い込まない
ただただ虚しくなるだけだ
ここでごめんとか言ったらわたし許すのかなって
なにか熱いものがこみ上げてきて
近くにあったクッションを思い切り投げつけてた
あなたの眼鏡が吹き飛ぶのを片目で見て
もう終わりと思った
二人の素敵な思い出がエンドロールみたいに
わたしの脳裏をよぎった
あなた

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掌編小説 ばかたれ

パソコンにかじりついて作業をしてる君。
わたしはバケットをかじりながら鼻歌歌う。
「うるせー。」
「いいっしょ、大声じゃあるまいし。」
「俺はな、今名作を書いているところだ。」
「自分で言うかね、早く読ませてくり。」
「いや、恥ずかしい。」
「なんで。いつも読ませてくれるのに。」
「これは恋愛小説なんだ」
「だから何?」
「過去の俺の恋愛を全てぶっこんだ集大成だ。」
「ふむ、ますます読みたいな。」

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掌編小説 短歌

今ねめちゃくちゃなりに短歌を詠んでいるんだ
恥ずかしいから言ってこなかったんだけど
自分でノートに書いてるだけで誰も知らない
あなた以外は
じゃあ自信作だしちゃおうかね

夏だしさキッチン立つのは汗が出る
ロイホで何かおごってほしい

何笑ってんの?ほれ、ロイホ行こ

掌編小説 ハリボーゴールドベア

昨日さ、ハリボーの熊のグミが98円(税抜)で売ってたからさ買って帰ったの
とことこ大勢で歩いてくるからさ
参ったなと思って、だってうち狭いから
あいつら食っちゃろって思ったけど朝起きたら一匹もいないのよ、逃げ出してたわけよ
だからハリボーの熊をみかけましたらお気をつけくださいって回覧板まわしたよ

掌編小説 珈琲

掌編小説 珈琲

「わたしは今より過去の方が大切なの、だから珈琲を飲むの、不思議な子ぶるのならばブラックの珈琲は選択しないはずなの、多分ミルクセーキあたりが妥当だと思うでしょ?アールグレイの紅茶を飲むのはセンスがいいと思われたい人かな…、五官が発達しているというアピールかもしれない。紅茶が好きな人は前向きで珈琲を好む人は過去にとらわれがち。え、逆なのかな?でもそんな気がするな。だってさ、相棒の右京さん滅茶苦茶高いと

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