遺族年金制度、離婚時分割制度は活用出来ないのか?
遺族厚生年金制度が改定されるという。内容は20〜50代で子のない配偶者が受け取る遺族厚生年金について男女の差をなくして5年間とするもの。
現行制度では夫を亡くした子のない30以上の妻は生涯遺族厚生年金を受け取れるが、妻を亡くした54歳以下の夫は全く受け取れない。会社員の夫と専業主婦というのをモデルケースとして作られた制度設計であったため、ジェンダーフリーの進む現代に合わなくなり、男女平等に改定したという趣旨。
ところがここで困った問題がある。ジェンダーフリーと言いながらもやはり全体としてみれば男女間で収入の差はある。長い間家計の収入をほとんど夫に頼っていた妻が、夫の突然死により失われた収入補填が5年で打ち切りになってしまうとやはり困る。もちろん収入減が無くなったのだから、自ら働くべきだという考えではある。だが長い間、家庭内に留まり社会から離れていた方がそれなりの収入ある仕事に就くのは難しい。
制度上は亡くなった方と結婚していた期間によって厚生年金を加算することにより調整を図っていくことになるようだが、具体的にはまだよく見えない。
そこで素人(と言ってもペーパーCFPですが。)意見ではあるが、ここに離婚の際の年金分割の考え方を入れてはどうであろうか?
離婚時の年金分割は、結婚期間内に積み上げた夫婦2人分の厚生年金保険料合計(国民年金部分ではない。)を分割するもので、基本的には両者の積み上げた合計額を半分にしてそれぞれに分け、将来の厚生年金の原資にするもの。(公的年金は国民年金と厚生年金を足したもので成り立っているが、このうちの厚生年金部分を積み上げたものだけが分割の対象。)
これと同じように夫婦の死亡時の合計積み上げ合計額を半分にして、生存配偶者に付与し先ずこの額を元にして遺族厚生年金額を計算し、生存配偶者が老齢厚生年金を受けられるまで支給する。これにより、死亡した配偶者の積み上げ実績に応じた遺族厚生年金にすることが出来、生活の連続性もある程度保てる。
更に生存配偶者の年齢が老齢厚生年金の受給資格になった時は、遺族厚生年金の支給を終了し、配偶者が亡くなったときに受け取った両者の合計額の半分にその後自分が働いて積み上げた額を加算した原資を元に新たに本人の厚生年金を計算して受給するという形ではどうだろうか?
離婚時年金分割制度の枠組みも利用出来て、生活水準の連続性もあると思うのだが。あくまでも私見ですが。
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