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MOUSE HOUSE

ネズミと(ついでに祖母と)暮らした13日間の記録


先週の15日から、訳あって祖母の家に住んでいる。
この家には、祖母と私とネズミが暮らしている。
夜中には、天井や壁の中からネズミの足音が響き渡る。
それに負けじと、祖母がトイレに掛けて行く足音も聞こえる。


そんな中、昨夜21日はタンスと壁の隙間からネズミの尻尾が見えた気がした。
そのため、一時的でしかないだろうが隙間を段ボールで塞ぐ。
幻覚であってくれ、と思う。
これでも襲ってきたら実家に帰る、と心に決める。


父が或る家でネズミを見かけた時、蚊取線香を焚いたそうだ。
それも部屋中が煙だらけになるぐらいに。
その甲斐あって、暫くはネズミの足音が聞こえなくなったらしい。
しかしこの家ではそれをしない。
入院中の祖父と上手くいっていないから。


因みに、私がここへ住む前に弟が2泊した。
彼は実家に帰ってくるなり、「怖いからもう行きたくない」と言った。
そんな弟を笑っていた私だが、今はその姿を幻覚であっても目にすると腰が引ける。
私からすれば、寝込みに殺されるかもしれないぐらい怖い。
だって、人間って無力わけだし。


23日の早朝、足元を駆けるソレらしき物体を見た気がするが、またもや幻覚かもしれない。
必死に声を荒げようとした。
疲労のせいか、体は動かず声も出なかった。
数分後、ようやく僅かに声とも言えぬ呻き声が私の口から発せられた。
それから暫くして辺りを調べたが、見つからず。


関係があるかはわからないが、向かいの家には霊が出るらしい。
よく住人が変わる。
ここ数年だけで、2度は入れ替わっていると思う。
今は人は住んでいない。
私の知る最も新しい情報は、最後の住人が供養をしたこと。
それを境に何事も起こらなくなったようだが、暫くして再来したので去っていった。
そこにはまだいると思う…


‪望まずしてマイブームとなっているネズミともお別れ。‬
‪今日は実家に帰る。‬
‪今までも、これからも、必要な時以外はここに来ない。‬
‪だって、魅力的でないから。‬
ネズミの足音と、祖母の愚痴が恋しいなんて思う人は誰一人としていないだろう。


どちらも生きているうちは…


P.S. この家に来て撮った写真は、タンスと壁の間に突っ込まれた段ボールと、ヘアカラー をする前後の自分の髪の毛、それと就活手帳に唯一記された文字のみ。お気に入りは最後のやつ。


2020/6/28/SUN

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