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名寄市のこれまでとこれからーー身近な地域調べ

2年生最後の社会科の授業は,地理の「身近な地域調べ」です。
本稿では,身近な地域調べの実施計画とその反省をできるだけコンパクトにまとめたものになります。

新学習指導要領がもとめる「社会的な見方・考え方」を働かせた課題解決型の授業,ICT教育に求められる「協働的な学び」,そして「社会に開かれた教育課程」を意識したものになっていると思います。

ちなみに身近な地域は北海道名寄市です。雪質日本一を誇る旭川以北の中核都市です。

https://www.nayoro-star.jp/kitasubaru/use/use-access.html

1.単元構想

▶単元を貫く学習課題
名寄のこれまでを調査し,これからの未来を構想しよう。

概要

 単元名「身近な地域の調査」において,今年閉鎖した王子マテリア名寄工場を導入に,社会的な見方・考え方をはたらかせながら,名寄市のこれまでの歴史とこれからの未来をテーマに,博物館と連携した調べ学習を行う。また生徒の授業の成果を保護者や地域住民と共有することを目的に,作成したレポートを名寄市内の各施設で展示する。

ねらい

(1)地域の実態を理解するとともに,構想したことを適切な方法で分かりやすくまとめる。
(2)地域の実態を社会的な見方・考え方をいかし,地域的特色や地域の課題と関連付けながら,地域の課題とその解決について多面的・多角的に考察,抗争し,その結果を表現する。
(3)身近な地域の調査を通じて,郷土名寄市の地域的課題を見いだし,その解決に向けて関心を高める。

各時間の目標

1 地域の変化と課題をみつけよう。
2 調べ学習のテーマを決め,班ごとに調査計画を立てよう。
3 図書室で下調べをしよう。
4 博物館の学芸員さんと一緒に調べてみよう(2コマ連続)。
5 資料を分析し,まとめよう(2コマ)。
6 課題の解決に向けて構想し,まとめよう。
7 わかりやすくレポートにまとめよう(2コマ連続)。
8 調査結果を発表しよう。

2.指導計画

3.生徒たちのレポート例

ここではこんな感じになりましたよというものを,私の方で編集して掲載しようと思います。

4.授業をやってみた感想

これをやってよかったと思うことは,地域の博物館に行き,学芸員さんと一緒に調べ学習を進めたことだ。

なんといっても子どもたちが博物館に行くことにワクワクしていた。もちろん調べ学習が楽しいというより,どこかにでかけるのが楽しいんだろうなと思う。こういうご時世だからだろうか。とにかく中学校は,中学校だけで完結する授業が多い。誰かを呼ぶことはあっても,学校から出かけるという授業は少ない。その点何かいつもと違うわくわく感はあったと思う。

また小学校のときも博物館にはもちろん行っているが,中学生になってみる視点が変わったのかなと思う。「こんなのあったんだ」と展示物によっていったり,先生これありますか?と言われ,紹介すると「あったあった!」と近寄っていく姿をみると「よしよしがんばれ~」って思えてくる。このときが働いていて一番ニヤニヤしてしまう瞬間だ。

かっこよくいえば,生徒のなかの博物館が「課題解決型の博物館」になっていた。ただ展示を見るのではなく,自分が調べたい情報を得るために「これはどこにあるんだ?」という自分事として博物館を堪能していたと思う。

もう一人の主役の学芸員さんは,当初私の申し出に戸惑っていた。うまくできるかなと不安そうだった。原因は私の伝え方があまりうまくなかったからだが,やはりこうした試みが初めてだったということもあるだろう。例年の行事ではないので,私も初めて,生徒も初めて,そして受け入れ先の学芸員さんも初めてという,初めて尽くしだった。

方向性が共有できたのは,生徒の調査計画書のおかげだった。こんなことを知りたい,こんなレポートにしたいというイメージが共有できるいい計画書だったんだと思う。

今や学校の先生は,地域に住んでいるが,地域で生きていない。うまく言えないが,地域に詳しい社会科教員は本当にまれな存在だと思う。4~6年で転勤する身として,時間外労働に追われる身として,そこで生活はすれども,あんまり詳しいことは知らない。

私も名寄に来た時はほとんど名寄のことを知らなかった。まだまだ知らないこともたくさんある。名寄のことを深く知ることができたのは,この授業のおかげだと思う。土日に『新名寄市史』という分厚い3巻セットを読んだことはいい思い出です。

卒業した北海道教育大学は「教学半」をもっとうとする。教えることは学ぶことでもある。まさに教えながら,私も学ぶことができた。本当に楽しい授業だった。

最後にこの授業は地域の皆さんのおかげです。王子マテリア名寄工場の方々,コーディネイトしてくださった獣医さん,学芸員さん,市役所,かつての博物館論の先生,本当にどうもありがとうございました。


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