12連勝12連敗。出田裕一
勝ち負けを繰り返すボクサーはいるが出田はデビューから12連勝しその後12連敗を喫した。
新人時代ミサイルのようなストレートを武器に世界も予感させたが何かの歯車が狂い連勝後は1勝15敗1分。瞬く間に白星を食い潰した。一度引退もした。4年の時を経て復帰した後も勝てなかった。
ただ出田を擁護するならば噛ませ犬とは一切試合をしていない。対戦相手は全員チャンピオンやランカークラス。
常に強者と拳を交わしてきた。
すぐ倒れる外国人を呼んできて連敗をストップさせる手段もあったはずだ。それは決して悪い事ではない。
忘れていた勝利を掴み勝ち癖を覚えさせるのはよくあることだ。
連敗のプレッシャーから解放させるのも有効なキャリアの積み方だ。
しかし出田はそれをしない。何故なのだろうか。
伸ばした連敗の記録は12まで伸びた。連敗中では引退できない、一度勝ってそこで満足して引退するのかと思った。
長いトンネルが終わった時に出田のキャリアも終わるのかと思った。
だが出田は諦めなかった。その後もリングに上がり続け気が付けば38歳。
千載一遇のチャンスでタイトルマッチが転がり込んできた。
プロボクシング 「フェニックスバトル94」 ▽日本スーパーウエルター級(69・8キロ以下)タイトルマッチ10回戦 〇同級6位・出田裕一 (9回TKO) 王者・川崎真琴●(8日、東京・後楽園ホール)
背水の陣で臨んだ試合でまさかのチャンピオンに。
連勝中の出田を見てここまで負け続けると誰が予想しただろうか。
連敗中の出田を見て誰がチャンピオンになると予想しただろうか。
本当に驚いた。
ボクシングにドラマは付き物だ。
こんなドラマに遭遇できて僕は幸せなのかもしれない。
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