見出し画像

商品をお勧めしなくても、お客様が喜んで購入してくれる私の接客術。

接客歴は意外と長い私です。そして経験してきた職種も多岐に渡ります。(トータルで見ると一番長かったのは飲食業です。)

昨年、某金融機関様主催のとあるイベントにおける講師を一定期間務めさせて頂いてました。その講座には地元の中小企業様がいらっしゃって、SNSを活用した自社商品のPR方法を私達(2名体制でした)講師を含め、一緒に考えていこうという内容でした。

今でこそカメラを片手に仕事をしてますが、成人してすぐ位から店頭に立ち、直にお客様と触れ合う販売員をしていました。

昨年はSNS発信の講師でしたが、SNSの運用は手段の一つであり、最終目的ではありません。実店舗を経営されてらっしゃる皆様ばかりでしたので、必ずSNSを目にされたお客様はご来店の経由を辿ります。

裏を返せば、本番はそこからなのです。「SNSで発信する事」だけに囚われがちですが、いくらSNSで心に響く発信をしても、対面で上手く売り上げなどに繋がらなければ全てが元の木阿弥です。

ですので、お客様はどういう伝え方をすれば足を止め、自分の話を聞いてくれるのか、商品に興味を持ってくれるのか、購入しようという意識になるのか、対面接客であればある程度の予測やクロージングの判断、ミニマムな力で最大の売り上げを上げる方法など、実体験で学んできました。

時代は変われど、人の心の在り方はそうそう変わりません。今の職種にもその経験は十分活かされてると思います。これはテクニックでも何でもないですが、私が接客する上で意識している事を、もはや無意識レベルになってしまった思考を、今回はお伝えできればと思います。

無意識ですが私は「なんとなく」という言葉が苦手です。「なんとなく」な現象をロジカルにどうしても紐解いてしまいたくなった、今回の投稿はその結果ですw

補足ですがこれは間違っても「目先の売り上げアップ」というものではなく「お客様と良い関係性を作る」という事が目的です。それが長期的に見て継続的な「売り上げ」に繋がると信じています。

実際、私が某販売店を退職する際は、沢山のご常連のお客様がお手紙やプレゼントを持ってわざわざお店までお別れに来てくださいました。(その時は不思議で『何故だろう?』と思ったのですが、自ら起業してみてその訳を知りました。)

また、商売をやっていて一番嬉しいのは『売り上げが立った瞬間』ではなく『お客様が喜んでくれて、自分の存在が役に立った時』です。手段を選ばなければ手っ取り早く売り上げを立てる方法などいくらでもあります。

でもそれをやろうとすると気持ちよくないんですよね、自分の心が。

自分も相手もwin-win、今や誰もが知るフレーズですが、世の中は常に「合わせ鏡」なので(自分が相手にしたことは同等の事が返ってくる法則)それを意識してるだけでも心持ちが違います。

と、前置きが長くなってしまいましたがでは早速紐解いていくとしましょう。れっつらごー。


1).笑顔とポジティブ

もういうまでもなくこれは基本中の『キ』です。自分の体調コンディションとか感情とか一切無視してください。お客様には関係ない事です。お客様の前に立ったら自分は『接客のプロ』という意識を持ちます。気持ちよい表情でお迎えしてナンボです。(体調を整えるのもプロの仕事です。)

実際、自分に対してのお客様の印象も、初見の僅か数秒で決まります。その初めについた印象を大きく覆すには、その巻き返しに大きな労力を必要とします。だったら初めに笑顔をすることに越したことはないです。

ちなみに「自分の感情は無視」と初めにお伝えしましたが、感情と体の動きとは密接に結びついていて「楽しいから笑う。」というよりは「笑うから楽しい。」が本来正解だと言われています。

つまり「口角を上げて笑顔を作る。」だけで「楽しい。」という感情は後からついてくるわけです。不思議ですね。

だけども全くその通りで、気乗りしない時もまずは口角を上げてみるだけで本当に楽しくなるから不思議です。これは接客だけではなくて普段の生活にも使えます。(というか、使っています。)

最近「笑ってないな。」と感じる人は、鏡の前で笑顔の練習をしてみましょう。きっと、そんな自分が可笑しくて笑っちゃうからw

そう、自分の感情は自分で作れます。寧ろ大人であれば「不」の感情にコントロールされる日々は不毛だと思っています。人生短し、暗い顔をしているところに福の神なんてきません。

愚痴を言いたくなったらお風呂に潜ってか、耳栓をして枕に顔を埋めて言いましょうw(というのも、自分の耳でも愚痴は聞かないほうが脳味噌の為に良いのです。)

そして、商売してるなら「売れません。」「お客さんが来ません。」「暇です。」という「~ません。」的否定語は人前に発信しないのが大前提です。言霊という言葉もありますし、例えそれがたった一日の出来事だとしても、発した時点で引き寄せのなんちゃらが現象を招きます。

売れてない、お客様が来ていない店舗に、誰が行きたいと思うでしょうか?そういうのは事実として受け止めつつも、定着化させない事。代わりに、嘘はいけませんが、経営していて「今日一番いいこと。発見。」などは必ずあるはずです。

例えば「店頭で大切に育てている植物の花が咲いた。」「ラッピングを新しくした。」「天気がいいので店内の大掃除をした。」など、イメージがプラスに働くポジティブな事を、口にしたり発信すると良いと思います。

そうすることで、自分も自分のお店の事をもっと好きになれるので、一石二鳥です。ということで、何度も言いますがネガティブ要素は一切排除が基本です。


2). お客様のネガティブ要素までも肯定に換える

お客様がご来店くださいました。そこでお話をするにあたり、お客様が今思ってること、悩みなどを話してくださると思います。その中で、お客様の今までの習慣、使ってるもの、嗜好、特徴などは例え「ん?」と自分が思うような事であっても一旦受け止めます。

間違っても「それは良くないですね。」とか「間違ってますよ。」とか指摘しない事です。

お客様が選んできたものを否定するということは、お客様を否定する事と同等です。自分を否定した人間の言うことを、後々素直に受け入れてくれる、聖人君子のような人などいるでしょうか?

例えば化粧品の仕事をしていたのでそれを例にあげて言いますと、お客様が「吹き出物が治らない。」とご来店くださり「今まで○○というブランドの化粧品を使ってたんだけど~。」とお話を切り出されたとします。

そこで原因はそこになくても「そちらよりも弊社の商品の方がいいですよ。」なんて言ってはNGです。どんなに「ウチの商品の方がいいに決まってる。」と内心思っていてもです。

その商品を「( ・∀・)イイ!!」だろうと思って、選んで使ってきたお客様の決断と過程は一旦受け止めましょう。寧ろライバル品を褒めちゃってもいいおと思います。

『そのブランド私も好きです!パッケージがめちゃ可愛いですよね♪思わず全部揃えちゃいたくなります。』

先程も言いましたが嘘はダメです。いずれ綻びバレて辛くなるのは自分です。使ったことないのであれば素直に言いましょう。ただ、外観や売り方など傍目から見ても分かる「主観的な良い部分」は、積極的に見つけてお伝えしていくのはベターだと思います。(化粧品の場合「使用感」もそれにあたります。※ただし、効果は化粧品にはありませんのでお気をつけて。薬事法により)

お客様もその時点で「あぁ、やっぱりあなたもそう思う?私の選択は間違ってないよね?」と満足してくださいます。

少なくとも競合他社を落とすような言い方をするのもNGです。自分のところの商品を良く言いたいのは当たり前ですが、それはお客様も「百も承知」なのであまり意味がありません。

そして「他を落として自分を良く見せる」というやり方は、商売だけでなく私達「販売側」の品性を問われます。自信と余裕の無さが垣間見えてしまうのです。

余談ですが母方の祖母は他人の悪口を一切言わない人だったそうです。「唾を天に吐けばその下にいる自分に降りかかる。自分が悪口を言ったなら何処かで自分も同じように言われてると思え。」と常に言っていたそうです。

祖母はとても強くてカッコいい人でした。そのカッコよさはネガティブな事は口にせず、いつも堂々としていたからだと思います。

残念ながら交通事故で亡くなってしまったのですが、生きてる私がその教えを引き継いで体現していかなくてはと、当然人間なので難しい時もありますが、それが私の接客に対する基盤になってたりもします。


3).お客様の話を聴く事に9割

お客様を深く知るには、お客様の話を良く聴く事が必須です。自分が話したい話とか商品の話は明後日の方に投げ飛ばしておいてくださいw

兎に角、お客様が話し始めたら途中で口を挟むことなく(相槌は打ちましょう。)最後まで聴き役に徹します。

お客様が一旦満足するまで話し終わったところで、次のアクションをしめしてくれますので(例:「で、私に合うおすすめの商品はなんなの?(物販)」「今日のおすすめは何?(飲食)」等。。)そうしたら、初めて自分の意見を述べます。

自分の意見を述べる時には必ず「お客様が先ほど話された内容」を引用します。(例:「〇〇様、使用感はさっぱりよりしっとりがお好きだということなので(化粧品)」「今日はまだお野菜をめしあがってらっしゃらないようですのでこちらなど如何でしょうか、、(飲食)」

と、「お話をちゃんと聴いた上でのご提案です。」ということを示しましょう。間違ってもココで「お店で今一番売りたい商品」をお勧めしないようにしましょう。訳は後ほど説明します。

一旦話し終わったところで「おすすめは?」などご自分から切り返さない方もいらっしゃいます。ただ世間話を話したいだけの方もいらっしゃいます。そういう時は先ほどお伺いしたお話の内容で、気になった部分をピックアップし、積極的に褒めましょう。

または、自分から話すのが得意でない方もいらっしゃいます。そういう時はこちらから質問を投げかけて差し上げましょう。(その際の質問はお客様に関する事です。)

自分の事を聞かれて答えられない方はいません。そこから問題に繋がる会話の糸口を見つけるのも良いでしょう。兎に角、お客様に口を開いて頂くことが重要です。

先程も申し上げたように体と行動はリンクしています。口を開いて話をすることで、お客様の閉じていた心も自然と自分の方に開いていきます。


4).褒めて褒める

「褒めるのってなんだか嘘くさい」「営業トークぽくて苦手」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、私はそれでもいいかなと思っています。

というのも「褒める」という行為は案外難しくて、相手の事を良く観察してないと出来ません。かといって上っ面だけ撫でても頓珍漢で相手にちゃんと受け取って貰えません。

「褒めて伸ばす」という言葉もありますが、それと接客での「褒める」は基本的に違うと思ってます。「褒めて伸ばす」方は「ポジティブな改善点の提案」もセットで必要になってきますが、接客の場合は「箇条書き」でいいと思ってます。

お客様と会話している中で気が付いた、或いは目に見えて良い部分をどんどん羅列していきます。お話の中から、お客様の外見から、今日着てらっしゃる洋服、ヘアスタイル、メイクの色味、身に着けてらっしゃる装飾品、話し方、頑張られてる姿、ご家族構成、お仕事内容、、

褒める箇所は山ほどあります。そしてそれに目を留めて褒めてくれる人は本当に少ないのです。

だからこそ積極的に褒めて差し上げましょう。「なんだよ、営業トークかよ。」って思われるかも知れません。が、そう思いつつも褒められて悪い気分になる人はきっといないはずです。

そして、先程も申し上げたように世界は合わせ鏡でグルグル回っているのでいずれ自分のしたことが自分に返ってきます。ゆえに、褒めた自分も不思議な事に何だか嬉しくなるのです。そして褒めて言葉に出した分、お客様の特徴を自分にインプットできるという付属メリットもあります。

世の中きっと「褒められ不足」だと思うのです。だからこそ多くの人が自分が成し遂げたこと、決断、思ったことなど褒められたくて、いいね!と言って欲しくてSNSで発信しているのではないでしょうか?

その気持ちを直に接客を通して「言葉で」最大限満たしてあげることが出来るのも、また接客の魅力だと思っています。

ですので、大げさに言ってしまえば「営業トーク」「損得勘定」思惑はどうであれ積極的に人を褒めましょう。そうしてお互いに「なんか嬉しいな♪」という気分になれば、その次への展開がよりスムーズになります。


ここから先は

3,966字

¥ 300

サポートくださいましてありがとうございます。お礼に今後、製作する映像のエンディングに、サポーター様としてお名前を掲載させて頂けると嬉しいです!(イニシャル及び任意可です。)