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22.友達を実家に泊めたら危うく自分が養子に出されそうになった話


サブタイトル
妹に『皆んなそれぞれ勝手に生きていくから、他人のことは気にしなくていいよ。』と言われるに至った話③

私が中学3年生の時の話。
当時仲良くしていたM子とは家が近く、週末の度にM子の家に遊びに行くことが恒例となっていた。当時大人気だったAYUのライブDVDを見て歌の振りを覚えたり、たこ焼き器でタコ無したこ焼きを延々作ったりして楽しい週末を過ごしていた。
そんなM子に初めての彼氏ができた。いわゆる他中の同級生で他の中学校からも噂になるようなイケメンなSくん。そんなSくんにM子はベタ惚れだった。
学校帰りに自転車を30分以上漕いで家の近くまで来てくれたり、休日に市街地でデートをしてプリクラを撮ってモスバーガーに行ったり、M子とSは付き合いたての仲良しカップルそのものだった。
そんなこんなで、3か月くらいたったある日、M子が私の家に泊まりに来たい。と言ったのだった。我が家は人を泊める習慣が無かったので、朝ごはんとか、お布団とか不安だったが、
まあそんなに気にしなくていいか。と次の土曜日にお泊まりを決行する事になった。
その事を母親に話すと、あまりいい顔はしなかったがダメとは言わなかったので、私は週末を楽しみにその週を過ごしていた。
土曜日の夕方、M子が泊まりに来た。晩御飯はお互い済ませていたので、私の部屋でガールズトークに花を咲かせた。話題はもちろんお熱のSくんとの惚気話。いつも聞いているので話半分で聞いていると、実は今日夜会うことになって、、とM子が言うのである。
ちょっと待って?今日?これから?え、今お泊まり中だけど?
私は頭を整理しきれかなったが、どうやらM子はSくんと夜会うためにうちにお泊りに来たようだ。


なに〜!
まんまと利用されとるやないかーい!!


私は急すぎるし、断りづらかったこともあり『わかった。』と渋々言ったのだった。
午後10時になって、M子が『じゃあ行ってくるね。』と意気揚々と出かけて行った。
私はM子の代わりに、修学旅行先のUSJで抱えて持ち帰った、特大ET人形を寝かせ布団を何枚も掛けて、あたかもM子が寝ているかのように装った。
その5分後、母親が2階の私の部屋に入ってきた。
『M子ちゃんいる?』
『ここで寝てるよ。なんで?』
『さっき下の部屋の窓が開いた音がしたから。布団めくって見せて。』
『だから寝てるって言ってるじゃん!しつこいんだけど。』
なかなか引き下がらない母を何とか言い負かして私は何とかこの状態を切り抜けた。

良かった。。。

私はホッとしながらも、せっかく楽しみにしていたお泊まりが早々に切り上げられてしまった事に不完全燃焼を感じながら、眠りについたのだった。

翌朝、母親がものすごい剣幕で私の部屋に入ってきた。

『この嘘つき!
平気で嘘ついて!
情けないわ!!』


怒りで声を震わせて、顔は涙でぐちょぐちょになりなりながら私に向かって叫んできた。
そのまま、M子が寝ていた布団を引き剥がすと、ものすごい勢いで私の手を引っ張って階段を降りようとする。
普段はか弱そうに演技してるのか、ものすごい力で腕を引っ張るので、そんな力がある事にも驚いた。
私は勢いに圧倒されながらも、
『自分で降りるわ!』と叫んだ。
イライラしながら下のリビングに行くと、父親とM子が部屋にいた。
M子は私を見ると、気まずそうな顔をしながら、口パクで『ゴメン!』と謝ってきた。
私は、イヤイヤ、ゴメンじゃ済まないでしょ。と心の中でM子に毒づいた。

勝手に出ていくのはいいけどさ、
バレないように帰ってこいよ。
この後、両親に怒られるのを覚悟した私はM子を泊めた事を心の底から後悔したのだった。

つづく

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