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一晩だけ

神さまは

一晩だけ

家族の待つ家に

彼女を

帰らせてあげるねと言った



そして



ニ晩目を迎える前に

約束の日だね・・・って

天使たちが迎えに来た


最期に

地球の空気を

小さく吸い込んで

動きを止め

やわらかな光を放った


……⭐︎


働き者で
元気いっぱいの楽しい彼女のまわりには
沢山の親族が囲んでいた

この人たちにとって
どれだけ大切な人だったのか
お元気な頃を知らない私たちも
容易に想像ができた

意識もかなり薄れている状態で
ようやく瞬きでYesが表現できる程度だった
病院からの救急車の中での
急変もありうる状況で
ご家族の強いご希望があり
ご自宅でのお看取りを望まれた

ご帰宅された彼女…


痩せ細った体を覆う
黄土色の乾燥した皮膚

お顔は
お元気な頃の美しさを残し
長いまつ毛と
細く高い鼻尖が強調されていた

急な退院で
介護用ベッドもないままでの退院となった

通常、このような状況での退院だと
介護用ベッドに加え
褥瘡ができないようエアマットが準備される
栄養状態が低下していて
循環状態も不良で
骨が突出するくらいの痩せ方だと
短時間でもあっという間に褥瘡ができてしまう

急な退院でケアマネも不在
なにせ その時は今日かもしれないという状況

急遽、紙オムツを準備してもらい
オムツの中のポリマーを
ビニール袋の中にどんどん入れ
たっぷりの水を吸い込ませた

即席の褥瘡予防マットが
出来上がる
これで体位交換を行えば
数日は大丈夫と判断した
(結果的に発赤もなく褥瘡もできなかった)

彼女の身体に
これ以上辛い部分を
増やしたくなかったし

ご家族に見せたくなかった

少しでも綺麗な身体で
逝かせてあげたいと願った

子供たちも丁寧に
クッションをかませながら
体位交換を時間ごとにしてくれた

自分達が彼女にできることを探しながら

・・・・・・・・・・・・・・・

若い子供たちを4人も残して・・・

枕元でそれぞれが寄り添い

ポロポロ大粒の涙を流しながら
彼女にお礼や思い出を語った

・・・・・・・

認知症のお母様は
状況がわからないようで
来るたびに

「どうしたの?この子は」
「この子はうちの子?」と聞いていた

ご家族から説明を受けその都度
「そうか、それはかわいそうに」と
悲しそうな顔をされることを繰り返していた

ご家族は
とても短い間に
お別れの覚悟をしなければならなかったと聞いた

家に帰ってきた短い時間の間に
若い子供たちは

母との時間を慈しみつつも

お別れの時が近づいていることを

受け止めなくてはならなかった

そんな中

天使のお迎えが来る前に子供たちは
彼女にちゃんと伝えることができた

「心配しないで。姉弟みんなで仲良くして暮らすからね。
今まで本当にありがとう。大好き。産んでくれてありがとう」と。


この子達なら大丈夫・・・と思えた


これからの長い人生の中の出来事を

きっと彼女にも話しかけながら

この先を姉弟みんなで

力を合わせて

力強く歩いて行ってくれる

あまりにも短い時間で
私たちができることは
多くはなかったけど

彼女の若い子供たちが
人生の中で
これからも彼らに必要な体験をしていき
力強い未来を送っていけるよう応援したい


ありがとうございます😭あなたがサポートしてくれた喜びを私もまたどなたかにお裾分けをさせて頂きます💕