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狭霧 織花
2024年7月13日 14:50
「助手よ!」 朝から元気だな、と心底思った。なんで真夏の朝イチからあんなに腹から声が出せるんだろう、あの人。 向日葵もかくやと思わせるほどににこにこしながら両手を広げ、研究室に出勤してきたところを迎え入れられたが、初対面と同じくドアを閉めて去りたくなる。 それでも現時点で、この場に立っているだけで給料が発生し始めているということを思うとそうもいかず、しぶしぶと足を踏み入れた。背中でパタン、と
2024年7月12日 12:27
かんかん照りとはよく言ったものだ、などと考えながら店先で手を日除けに空を仰げば、まばゆい光が指の隙間から針のように差し込んでくる。たったそれだけで暑さを感じてしまうのだから夏はいけない、と少しだけ文句が言いたくなる。 夏は嫌いではないが、暑さは苦手だ。体力がないという自覚を差し置いても、空から焼かれ地上からあぶられ、体から水分を奪って体に熱を注ぎこもうとしてくる意思すらあるように感じてしまう。
2024年1月25日 22:36
~音楽創作とは~⭐この創作は、『音楽から連想する物語』をつづっています。一曲にひとつのお話……とは限らず、思うがままに、感じるままに、つくられたお話を楽しんでいただけたら幸いです⭐ あなたにこの言葉が届くでしょうか。 あなたにわたしの幸せは届くでしょうか。 言葉も、多弁で器用な手足も持たないわたしは、あなたに気持ちを伝えようにも、ただひたすらこの声をあげるしかなくて。 それでもあなたは