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米国D2Cの人気Shopifyアプリ6選

Shopifyの登場によって、自社ECを作成する際にアプリを追加してカスタマイズするという考え方が一般的になった。アプリの種類はアメリカではひとつのブランドが20以上のアプリを導入していることも珍しくない。

しかし種類が増えたことでどのアプリをいれるべきなのか、そしてそれらのアプリをどう連携させるとより効率的にEC運営ができるのかがわかりづらくなっている。

他のD2Cブランドはどんなアプリをどう活用しているのだろうか。アプリ同士の連携をスムーズにする自動化ツールAlloy(アロイ)」が2022年9月に公開した記事をもとに、人気の高いShopifyアプリとその活用方法を紹介する。

▼Alloyの解説記事はこちら

メールマーケティングの必須ツール:Klaviyo

「Klaviyo(クレビヨ)」は、アメリカではShopifyアプリ全体のなかでインストール数が二番目に多い、Shopifyユーザーにっとては定番のツールだ。メールマーケティングツールとして知られるKlaviyoだが、CDP(Customer Data Platform:顧客データ管理のためのプラットフォーム)としても優秀で、顧客情報を一元管理した上で購入頻度や好みにあわせて自動でメールを配信できる機能もあり、メールのみならずマーケティングオートメーションツールとしての人気が高い。

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さらに、Shopifyアプリのなかでもセキュリティレベルがトップクラスであることから、顧客データ管理のために大手企業も続々とKlaviyoを採用している。

Klaviyo連携の例

では具体的にKlaviyoはどのように活用されているのだろうか。たとえば、Klaviyoは下記のようなかたちでデータを連携させることができる。

  • Shopify上で新規顧客が登録されたり、外部アプリを通して顧客がアンケートに回答したり、情報が更新されたときに、自動的にKlaviyo上のデータも更新される

  • メールの開封率、キャンペーンの受信、コンバージョン率など、Klaviyoから情報を受け取り、他のアプリに連携させることができる

たとえば、Klaviyoは有料会員プログラムを手軽に作成・運用できるShopifyアプリ「Inveterate」と連携しているが、Inveterate上で新たに登録された顧客情報や更新された情報が自動的にKlaviyo上でもアップデートされるような連携が可能だ。

Alloy上でKlaviyoとInveterateを連携させる場合のフローイメージ。ここでは「Inveterateに新しく顧客情報が登録された場合にKlaviyo上にもプロフィールを作成する」というフローを作成している。

Inveterate上で有料会員として登録した顧客はブランドへの熱量が高くLTVも他の顧客に比べて高くなる傾向にある。そこでKlaviyo上の顧客データベースにもその情報を連携させることで、効果的なメールマーケティングにも生かすことができる。

これ以外にもKlaviyoはさまざまなShopifyアプリと連携が可能であり、顧客情報を蓄積させ、それらの情報をもとにメールマーケティングをおこなったり、広告オーディエンス作成に生かすことができるため、顧客データ管理のためのベースとしてKlaviyoを利用しているブランドは多い。

ヘルプデスクの人気ツール:Gorgias

ヘルプデスクツールの「Gorgias(ゴージャス)」もKlaviyoと並ぶ人気の高いツールだ。有料のShopifyアプリとして人気トップ10に入り、ヘルプデスクツールとしてもっともインストールされているアプリとなった。

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GorgiasはEC事業者に特化したヘルプデスクのため、Shopifyとの連携も強い。たとえば過去の買い物履歴や配送状況についての問い合わせを受けた際、Shopify上のデータを参照して自動的に返信をするといったことも可能だ。

Gorgias連携の例

Gorgiasは他のアプリと下記のようなかたちで連携させることが多い。

  • 他のアプリに顧客が新規登録したり情報を更新した場合に、Gorgias上のプロフィールページにも自動で反映させたり、ウィジェットを作成することができる

  • 他のアプリでイベントが発生した際、そのイベントをトリガーとしてGorgias上でチケットを作成したり、優先度をあげたり、自動返信するといった自動化が可能

Gorgias上の顧客プロフィールページには過去の問い合わせ内容はもちろん、Shopify上でのこれまでの購入額や、他のアプリを通じて獲得したリワードポイントなど、他のプラットフォームやアプリで発生したデータも表示できる。

(出典:Gorgias

Gorgiasが直接連携していない場合も、Alloyを通して連携させ、プロフィールページに表示させることが可能だ。問い合わせ対応の際、顧客がこれまで何を購入し、どんな行動をとってきたかがひとつのページにまとまっていることでより丁寧なサポートが可能となる上、自動化できる範囲も広がる。

Alloy上でGorgiasとInveterateを連携させる場合のフローイメージ。ここでは「Inveterate上の顧客情報がアップデートされた場合にGorgias上のデータも更新する」というフローを作成している。

こうした連携の強さが、GorgiasがD2Cブランドからの人気を集める理由のひとつでもある。

SMSマーケティングの鉄板ツール:Attentive

アメリカでここ数年、メールマーケティングに続いて注目されているのがSMSだ。メールと同じく直接顧客にアプローチができるうえ、メールよりも手軽にやりとりができるため、多くのブランドがSMSマーケティングにも力をいれはじめている。

KlaviyoをはじめとするメールマーケティングツールでもSMSの配信管理ができるようになってきたが、SMSマーケティングでもっとも使われているのが「Attentive(アテンティブ)」だ。

Attentiveを利用することで、テキストだけではなく画像も使ったリッチなコンテンツを配信できるようになるのはもちろん、メールと同じように顧客の行動データにあわせて自動でメッセージを送るといったことも可能になる。

たとえば特定商品の購入後に関連商品をおすすめするメッセージを送ったり、購入から数ヶ月後に追加購入の案内を送ったりといった自動化も可能だ。

(出典:Attentive

Attentive連携の例

Attentive上でも自動化の仕組みはあるが、Alloyを通して外部アプリとの連携を強化することで下記のような連携が可能になる。

  • Shopify上で新規顧客が登録されたり、外部アプリを通して情報が更新されたときに、自動的にAttentive上のデータも更新される

  • 外部アプリでイベントが発生した際に、そのイベントをトリガーとして自動的にSMSを配信することができる

  • メールの開封率、キャンペーンの受信、コンバージョン率など、Attentiveから情報を受け取り、外部アプリに連携させることができる

ロイヤリティプログラムとレビュー機能を統合したプラットフォーム:Yotpo

ロイヤリティプログラムを簡単に導入できるアプリとしてもっとも人気が高いのが「Yotpo(ヨトポ)」だ。

購入や登録によって付与されるポイントをブランドが手軽に設定・編集することができる点が人気のポイントだ。何によって何ポイント得られるかの一覧ページもテンプレートにあわせてブロックを追加したり写真やテキストを編集したりするだけで完成できるため、コードやデザインの知識がなくとも手軽に作成することができる。

Yotpoのロイヤリティプログラム機能イメージ(出典:Yotpo

また、Yotpoはロイヤリティプログラム以外にもECに必要とされる機能が揃うプラットフォームでもある。特にロイヤリティプログラムと並んで人気が高いのがレビュー機能だ。

Yotpoのレビュー機能イメージ(出典:Yotpo

ロイヤリティプログラムとレビュー機能をYotpo上で一貫して運用することで、レビューを投稿した際のポイント付与もシームレスに行うことができる。

さらにSMSの配信管理機能もあるため、レビュー投稿を促すメッセージやロイヤリティプログラムで得たポイントのお知らせも自動で送信することも可能だ。それぞれの機能はアプリとして独立しているため個別に導入する必要があるものの、Yotpoのアプリ同士であれば容易に連携できるため、導入しているブランドも多い。

Yotpo連携の例

Yotpoの機能同士の連携はもちろんのこと、ロイヤリティプログラムやレビュー機能を通して得られたデータを外部アプリと連携させることも可能だ。

  • Yotpoを通してロイヤリティプログラムに新規登録が発生したり情報が更新された場合に、自動的に外部アプリのデータも更新される

  • 外部アプリへの登録や特定のアクションを行うことで、Yotpo上でロイヤリティポイントを自動的に加算することができる

  • Yotpoを通じてレビューが投稿された際に、その内容を外部アプリの顧客プロフィールページにも反映させることができる

特に「顧客が外部アプリへのアクションを行うことでポイントが加算される」という連携によって、アンケートや診断コンテンツの回答率を上げ、顧客の好みや傾向に関するデータがより取得しやすくなる。

配送管理の定番ツール:Shipstation

Shopifyの有料アプリのなかでもっともインストールされているのが配送管理ツールの「Shipstation(シップステーション)」だ。

Shipstationは配送状況のデータを一元管理し、もっとも効率的な配送方法の提案や顧客に表示する配送状況確認ページを自動作成できるツールだ。

配送状況の表示イメージ(出典:Shipstation

また配送ごとにチケットを作成し、優先順位や割れ物といったステータス管理もできる。

配送管理ページのイメージ(出典:Shipstation

ShopifyのみならずAmazonやebayといったプラットフォームとも連携し、FedexやDHLといった配送業者とも連携しているため、注文から配送までを一元管理できることで人気を集めている。

Shipstation連携の例

Shipstationは下記のようなかたちで外部アプリと連携させることができる。

  • 配送状況に関するデータを外部アプリと自動連携させることができる

  • 外部アプリで発生したイベントに基づいて、Shipstation上で注文を作成したり、注文を処理済みとしてマークしたり、出荷メモ用の行を追加したりすることができる

Gorgiasのようなヘルプデスクツールと連携させることで配送に関する問い合わせへの返答を効率化できるほか、配送時に同封するアイテムやリーフレットをカスタマイズするといった使い方も可能だ。

たとえば、スキンケアブランド「L’AMARUE」は、診断コンテンツやクイズを手軽に作れる「Octane AI」を使って、顧客の肌質や悩みのデータを収集している。

そのデータをShipstationに連携させることで、肌悩みごとに同封するパンフレットをパーソナライズしている。パンフレットに掲載しているおすすめ商品が異なるのはもちろん、肌悩みに合わせたTipsも掲載することで顧客にとってもメリットのある施策となっている。

サブスクリプションを手軽に導入できるツール:Recharge

ブランドが手軽にサブスクリプションを提供できるツールとして人気が高いのが「Recharge(リチャージ)」だ。

ブランドは、Rechargeを導入することでサブスクリプションに必要な決済から配送まですべてをRecharge上で一元管理することができる。さらに定期購入のスキップや量の変更も管理画面から顧客が自分で変更することができる点も人気のポイントだ。

サブスクリプションのオーダー管理ページイメージ(出典:Recharge

配送のお知らせをメールやSMSで自動的に送ることもでき、高度なサブスクリプション購入の体験を手軽に導入することができる。

Recharge連携の例

Rechargeは下記のようなかたちで外部アプリと連携させることができる。

  • Recharge上で新規の定期購入が発生したり定期購入の内容が変更された際に、外部アプリ上の情報も自動で更新することができる。

  • 外部アプリで発生したイベントをもとに、定期購入の情報を変更することができる

たとえばサブスクリプションの情報を自動的にKlaviyoの顧客管理ページにも反映させたり、Gorgiasで解約の問い合わせを受けた際に自動的にRecarge上でも解約のステータスに変更するといったことも可能だ。

Shopifyアプリの連携と自動化でEC運営はさらに効率化できる

Shopifyアプリ同士の連携も年々強化されているが、ZapierやAlloyのような自動化ツールを使うことで、より高度な連携が可能になり、EC運営はさらに効率化できるようになる。

アメリカのD2Cはすでにこうした「テックスタック」と呼ばれる複数アプリの連携と自動化に力を入れており、自分たちのブランドにあったカスタマイズを実現している。

次々と便利なShopifyアプリが生まれているが、アプリ単体だけでなく、すでに利用しているアプリと連携させ、自動化によって手間をかけることなく顧客にあわせた購買体験を実現することが、今後のD2Cブランドに求められていきそうだ。

この記事は、Alloyが公開した「Ecommerce Apps Ask Us For These 8 Integrations The Most—Here’s Why」をAlloy社の許可を得て翻訳・編集したものです

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