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マッチングアプリ放浪記【ノンフィクション小説】

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コミュ障でモテない地味男子がマッチングアプリデビュー?! 「ヤリモク男子」となった僕は、奥手な自分を変えるため、 コミュ力を磨き、女性を口説き、新しい自分を謳歌する。 寂しが…
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#短編小説

#5 彼女のせいだ。HIP-HOPなんか聴くようになったのは。|マッチングアプリ放浪記

#5 彼女のせいだ。HIP-HOPなんか聴くようになったのは。|マッチングアプリ放浪記

音楽には2種類ある。
ただの音楽と、彼女との日々を丁寧に思い出すためだけの音楽だ。

タトゥーが魅惑的な彼女と電話を繋げると、すぐに部屋の奥からBGMが流れ込んできた。

「ごめんごめん、うるさかった?」と彼女は言った。

クソナードの声はハスキーで低くてボーイッシュな感じだった。それでも、どこか女の子らしさも見え隠れしているような声だ。

「ううん。大丈夫だよ」と僕は言い、「なんの音楽を聞いてた

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#4 タトゥーの入ったオタク女子|マッチングアプリ放浪記

#4 タトゥーの入ったオタク女子|マッチングアプリ放浪記

人は誰しもある程度一貫した「自分」というものを持っているはずだが、時として自己の中に矛盾が生じることがある。それは矛盾したアイデンティティとして立ち現れて、ある日突然僕らを驚かせる。

とまあ、こんな話とは関係ないかもしれないが、最近僕はタトゥーの入ったオタク女子にいたく惹かれている。

彼女のマッチングアプリでの登録名は「クソナード」という。アニメがとにかく大好きなのだそう。けれどそんな彼女の自

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#3 美女を誘ったら、逆に襲われた話|マッチングアプリ放浪記

#3 美女を誘ったら、逆に襲われた話|マッチングアプリ放浪記

居酒屋を出て、僕は彼女をホテルに誘った。

と、簡単に記述したが、誘った時のことはあまりよく覚えていない。相当緊張していたのだと思う。

僕は手に汗を忍ばせて、「2人きりで飲み直そう」とまあ、そんな趣旨のことを言ったと思う。もちろん断られた。(泣きそうになった。うぅ…)

でも簡単に引き下がれない。

2回、3回と、打診と拒絶されるのを繰り返しながら、渋谷道玄坂を徘徊した。ロッテリアを通り過ぎ、T

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