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太郎
2021年3月28日 01:04
夜の街を歩いてみれば、過ぎゆく人たちの輪郭はぼやけている。孤独を紛らわすかのように身体を寄せ合う。そう。いつだって曖昧な輪郭を補い合うように。溶け合うように。孤独や不安、焦燥感のなかで、僕らは自己存在の不確かさを感じずにはいられない。複雑な因子が雑然と絡み合うこの世界で、もはや僕らは内と外の区別すらつかない。芸術家イケムラレイコの言葉を借りるとするならば、「少女性」とでも言えよ
2021年3月23日 22:13
離れているのに彼のことを考えたり、彼女への贈り物を何時間も迷ったり、恋ってやつは、どうやら合理性に欠けているらしいその類の感情に見舞われると、損得勘定なしに僕らは走り出してしまう。なんて愛らしい生き物なんだいっときの感情で、合理性とは無縁の行動を取る。けれど、これこそが人間を人間たらしめている所以ではなかろうか。殺伐として資本主義社会に燦然と輝く、瑞々しいヒューマニ
2021年3月22日 23:35
君の思いつきでホットケーキの素を買いにスーパーへ行ったのは、夕方の3時ごろだった。2人は下北沢に借りたアパート戻ってくるとすぐに、レジ袋を開けて調理に取り掛かった。普段から料理をあまりしない僕たちは、あまり上手に焼けなかったが、2枚目に作った方は意外と綺麗に膨らんだ。1枚目は割とぺたんこで少し焦げてしまったのに比べて、2枚目は綺麗な狐色に焼き上がっていたんだ。君は何も言わずにそちら
2021年3月21日 05:41
仰々しく歴史に名を馳せる文豪たちは、射精時にも高尚なことに頭を悩ませていたのだろうか。おそらく、答えは否だろう。僕らがどんなにご立派な理論をこねくり回したところで、所詮は自己保存の手段に過ぎないはず。自己のカタルシスに過ぎないはずなんだ。虚無がどうだとか、実存主義がどうだとか、愛がなんだ、罪がなんだ、至高の美しさとはなんだとか…(以下省略)たとえ、どんなに世の高尚な悩み
2021年3月20日 07:59
秋の終わり頃。夕暮れ時の下北沢で写真撮ってたら、狭い路地で男女が肩を擦り合わせながらタバコを吸っていた。「俺たちの人生も文字に起こせば美しくなるのかな」みたいなことを言ってるのが聞こえた。多分、文字は現実を美化するかもしれないけど、文字にすることで失われる「崇高さ」みたいなものもあると思った。全てのものは、きっと美し過ぎてはいけなくて、少し汚れていた方が長持ちし