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Milk and Health

こんにちは!

今日は、牛乳についてまとめみました。


牛乳は子牛の飲み物だから人には良くない?アレルギーの原因になる?
学校給食や病院食でも支給されるから必要なもの?

などなど聞いた事があると思いますが、

牛乳は、はたして健康に良いのか悪いのか?気になりますよね。


2020年2月に、ハーバード公衆衛生大学院の教授2人が、これまでの牛乳に関する世界の論文(121の論文を引用)をまとめた総説を、世界で最も権威のある医学系ジャーナル、New England Journal of Medicineに発表しました。*論文1

*論文1 N Engl J Med 2020;382:644-54.

世界で最も新しい牛乳に関する論文です。
ちなみに、この2人の教授は、栄養疫学のエキスパートです。


■論文の要旨を10個にまとめてみました。*は補足内容です。

①牛乳に含まれている栄養素は、すべて他の供給源から入手できる
②乳幼児では、母乳が手に入らない場合、牛乳は貴重な代用品(粉ミルク)となり得る。
喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの素因・増悪因子となる。
前立腺がんや子宮内膜がんのリスクが高くなるが、結腸直腸がんのリスクは低下する
骨折のリスクが低減する事はない・・・重要!

下記のグラフは、2012年に発表された論文で、
乳製品の摂取量が多い国が、股関節の骨折率が高いことを報告しています。
*論文2

この論文について、ハーバードの教授2人は、ビタミンDや民族性などの要因と関連している可能性もあり、必ずしも相関しないが、少なくとも、乳製品の摂取量が少ないと股関節の骨折率が低いことは確かであると考察しています。*論文2

*論文2 Kanis JA et al. Osteoporos Int 2012;23:2239-56.

画像1

*赤丸が日本

⑥子供において、牛乳は、栄養状態が良くない、特に低所得環境の子供では、栄養源として有益である。しかし、栄養素が十分な子供の場合、牛乳を多く摂取すると、大人になってからの骨折と発ガン性が懸念される。

* 牛乳には、牛の発育や成長を促すIGF-1(インスリン様成長因子)やエストロゲンやプロゲステロンなど多くのホルモンが含まれています。

これらのホルモンの影響で、細胞複製が促進し、高身長になることが報告されています。しかし、高身長は心血管疾患のリスクが低いものの、発ガン率が高くなり、股関節骨折と肺塞栓症とも関連しています。

⑦米国で推奨されている乳製品の消費量、1日あたり3サービング(牛乳200ml+ヨーグルト1パックetc)以上に増やすということは、正当化されていない。
*ちなみに日本では2サービング
⑧牛乳の消費量が少ない場合、不足が懸念される2つの栄養素は、
カルシウムとビタミンD(これは、日照時間が短い高緯度地域で特に懸念される)だが、他の食品やサプリメントから摂取した方が、乳製品の潜在的なマイナス要因なしに得ることができる。

* 米国のビタミンD推奨量は、1日600-700IUで、日本の約2倍。米国では、
牛乳も含めて様々食品にビタミンDが添加されています。

⑨健康効果は、乳製品よりも植物性の食材の方が優れている。
⑩牛乳および乳製品の許容摂取量(成人の場合、1日あたり0〜2サービングなど)を検討中。


一言でいうと、『牛乳は栄養状態が満たされている場合は不要なもの!』です。