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ファンタジー小説『Aldebaran・Daughter』【執心篇9】斜光で欠けゆく鋒鋩(vs水の蟹)中盤
バルーガを先頭に据えて一列に並び、幅が二人分くらいの細い通路のなかを進む。最後尾に居るエリカは前に居るオリキスにぶつからないよう、間隔に注意して歩く速度を調節。
だが。それ以上に、気になるのは。
ドン!……
……ドン!………、
ドン!……
……ドン!………、
出入り口に辿り着くまでの歩数は、目で見た感覚では二十歩。近付けば近付くほど、巨大な重石を落下させるよう
Aldebaran・Daughter【執心篇8】斜光で欠けゆく鋒鋩(vs水の蟹)前半
***
作戦会議を開いた日から、五日が経過した。水の蟹に勝てば、潮の胃袋へ入るのは今日で最後。来る用事ができても素材集めくらいだ。
三人は火の妖精を倒した際に見つけた蟹の紋の上に立ち、瞬時に別の小部屋へ移動する。広さと天井の高さに変化はないが、艶のある壁を一目見て、先ほどより硬質だとわかった。
「ねぇ、」
エリカは、部屋の隅に置いてある木箱を発見。右手で指差しながら口を開く。
「あ
Aldebaran・Daughter【執心篇6】始まりの裾を炙る(vs火の妖精 後半)
床に落ちてる壊れていない矢を拾えば攻撃を再開できるが、実行するには火の妖精と距離を詰めなければならない。
「オレが行く」
「ごめん、お願い」
「上出来だ。気にするな」
判断に迷って困惑しているエリカにバルーガは声をかけ、一人で向かう。
「!?」
気絶が解けた火の妖精は、閉じていた瞼をぱちっと開けた。現れたのは金色の目に、凸凹した縦線の黒い瞳。
バルーガは即座に危険を察知し、近付