その13 大丈夫
学校も夏休みに入る手前、定期検診で私は電車とバスを乗り継ぎ産まれた時からお世話になっている先生に会いに行く。電車に乗っている時間は意外と好きでお気に入りの音楽を外の見慣れた風景を見つつカフェオレとお菓子をつまみながらちょっとした旅気分で毎回向かっていた。
やはり顔も大分形作られてきて、多少の差異や違和感をどうしても気にしてしまう。自分で指で鼻や唇を摘んだりしては元の形に戻る顔にため息をついた。
『変なのも違和感があるのも誰より自身がわかってる』
いちいち指摘してくるのは余計なお世話。いまならそう言えるだろう。大人になると小さいことも大分気にしなくなる。しかし繊細すぎる私は自分の顔が嫌で嫌で仕方なかった。
そんな時に軟骨がない鼻に腰骨を移植して形成するという話を教授がしてくれたのだ。
綺麗になるならなんでもしてください!そう話食い気味だったのを覚えてる。ただ不安がなかったわけではない。小さい頃に受けた手術なんて覚えてないし大きな手術に恐怖もある。何より夏休みが明けてからの友だちの反応だ。多少なりとも顔が変わるのだ。ちゃちゃを入れられる格好のネタである。
しかしその時に教授が話してくれた私にとっての神言を今でも覚えてる。
『整形じゃなくて、顔を元の形に戻すだけだから大丈夫』
この言葉に私は心の突っかかりと不安が消え決意した。変わる決意を。
お仕事の都合で投稿遅くなりこれからまたお仕事で雑に書きたくないのでここで本日は区切らせていただきます。
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