真夜中の戯言

小説のように日々を綴る。移住先の日常と東京で過ごした過ぎ去りし日々を読み物のように書き…

真夜中の戯言

小説のように日々を綴る。移住先の日常と東京で過ごした過ぎ去りし日々を読み物のように書き連ねます。

マガジン

  • 歌詞を小説に

    好きな歌詞や曲を小説にしました。

最近の記事

豊かな人生の最中に

両手いっぱい広げて力の限り抱きしめたい人がたくさんいる幸せの中に私の人生がある。 老若男女問わず、でもやっぱり男の人の方が若干多め、きゅーんと愛しく思えて抱きしめたくなってしまうほど私の周りには素敵な人がたくさんいる。 愛してるよなんて軽々しく口にできないけど、誠心誠意込めて愛してると言いたい人たち。本当に愛しているんだよ。 わざわざ会いにきてくれる友達とか、私のために何かしてくれる友達や、会いたいからって連絡くれたり。 恋愛じゃなくていい、恋愛なんていらないほどに、愛を

    • 虎を聞いて。

      時折、彼のことを思い出す。 元気にしているかい? そちらの世界の居心地はどう? きっと彼は笑いながら「以外と悪くないんだよ」という。 あの笑顔と笑い声を今でも思い出せる。 そりゃそうさ、まだ1年と経っていない。 昨日も山好きの友人達と山の話をしていた時にあなたの話になりました。 その友人はあなたに会ったことがないけれど、 私がした話を覚えていてくれて、ときどき話題に出してくれる。 そうしてあなたのことを思い出して、会ったことのない友人が増えていく。そんな時、あなたの上に

      • その後の私は

        30代、ひとつの恋を終わらせて。 とても穏やかで未練の一つもなければ 心の引っかかりもない日々を過ごしていて、 30代の女はなかなか強いんだなと少しだけ他人事のように感じている。 あの出来事の後はどうしても人に話したくて、やっぱり聞いてほしくて、知って欲しくて触れ回っていたけど 今はその衝動も落ち着きまさに平穏な日々を送れている。 図太くなったものだ。 たった一人に頭の中を支配されて、 一挙手一投足に喜怒哀楽し勝手に期待しては落ち込んでもう二度と恋なんてするかと思ってい

        • 30代、ひとつの恋を経て

          恋愛に向いていない人生で、何をどうしたら関係を進めて行けるのかがわからない。 駆け算引き算、押しては引いて そんな計算高くて高度な技術を持ち合わせておらず 傷つけてしまったかもしれないことを想像してはその罪悪感に傷つく。 恋愛に限らず人間関係の中で深読みしすぎるのが仇となり、苦しさを感じ生き辛い性格だなぁと嫌気がさす。 恋愛を楽しめやしないし、傷つきたくないのに想いばかりが大きくなって空回りするのも疲れるし恋愛したくないとさえ思っているけど、それでもやっぱり知らず知らずの

        豊かな人生の最中に

        マガジン

        • 歌詞を小説に
          1本

        記事

          どろどろした過去を葬る日記

          自分という人間を客観的に分析する機会は少ない。 自分がどういう人間なのか どういう思考をし どういう感情を持ち 何にこだわり何を大事にして生きているのか 正直なところ、私は知らない。 自分のことなのにどこか他人事で そうやって生きてきた。 逆にそうでもしないと生きてこられなかった。 考察する以前に分かる自分の特徴は 極端に人から嫌われることを怖がっているということと、 面倒なことが大嫌いでサボり癖があること、 意思が弱いこと、楽しいことに流されること 人に厳しく自分に甘

          どろどろした過去を葬る日記

          野菜の美味しい地区に住む

          大都会、東京から標高の高い地区に移住し気づいたことがたくさんある。 家庭菜園をやっている家庭が多く 夏野菜は買う物ではなく貰うものであり、 そして美味しい。 衝撃だった。 野菜の美味しさに気付けるって幸せなことよねぇ。 焼くだけで美味しいんだもん。 レパートリーなんてなくていい、 油と塩だけでこんなにも満たされる。 . この投稿を作っているこの最中だって、ナスを焼いたやつを食べている。 あぁ贅沢だなぁ。 無農薬農家のお友達(年齢は親ほど離れているけど)が 傷ものだからっ

          野菜の美味しい地区に住む

          花が降る街

          亡くなった人を想ったとき、その世界でその人の上に花が降り注ぐ というのを何かで読んだことがある。 なんて素敵な世界なんだろう。 亡くなったあとの世界のことは誰も分からないけど そんな世界があるかもしれないと言う空想の話でこちらもの気分は随分と救われる。 . どんな幻想的な世界なの 苦しみのない世界にひとり、花が降り注ぐなんて。 つい先月の訃報をきっかけに思い返してみても わたしの人生の中には幸せなことに旅立っていった人は少ない。 30数年の人生、たったそれしかない人生

          未練と諦めの狭間

          それは憎しみに近いような感情であり それは土砂降りの中に放り出されたような気分であり それは一人迷った田舎道で見つけた柔らかい家の明かりで 置いて行かれた自分を可哀想だと思う。 見放されたような不安感で押しつぶされそうになりながら もうあの頃のそれは過去のことだと言い聞かせる。 . 取り残された時代の中に佇むレコードのように 低く、高く、心地よく響く音色のようにあなたの声は優しかった。 闇夜に溶けてしまいそうなほど悲しくて怖い夜に刺す 一筋の救いの光のようなあなたの声

          未練と諦めの狭間

          僕ら近場で恋をする

          こーーーーーんなに広い世界の中の こーーーーーんなに広い日本という国で こーーーーんなに広い本州 の中の こーんなに広い県 の中の こんなに広い地域 の中の これだけの町 の中の これっぽっちの地区で 僕らはひっそりと隠れるように その気持ちをひた隠しながら 悟られまいとしながら 嬉しさも 楽しさも 悲しさも 切なさも 気づかれないように 気づかれないように ひっそりとひっそりと恋をする。 . 視点を変えればいいものの 見方を変えればいいものの。 「広い

          僕ら近場で恋をする

          時が来た。

          容態が良くなくて、今彼の具合がどのようなものなのか分からない。 ついに既読にならなくなったメッセージに、良くない結果を想像してしまう。 . つい先日、彼は入院した。 癌だった。 何にも心配いらないと思っていた。 だって時代は令和で病気はほとんど完治できる世の中で、 彼はまだまだ若くて山も登るし海で泳ぐから体力はあるんだろうし お酒もだいすきでお話し好きで旅もよく行くし フットワークは30代の自分よりも軽い、風のような人で。 . 知らされたのは去年の夏で、もしかしたら

          理想の夏

          友達は多い方だと自覚している。 学生時代はクラス問わず仲の良い友達がいて うるさいくらいのムードメーカーだった。 だけど夏に夏らしいことをしたい時 誘いにノッてくれる子はほとんどいなかった。 理想の夏だけが膨らんだまま 叶えられなかった小さな願望がどんどん塊になっていく。 縁日に行く、花火をする、花火大会に行く… 夏を象徴するベタなイベントも 旅館、キャンプ、BBQ… 非日常を体験して色濃く過ごす数日間も 港町の堤防を歩く、桟橋から沈む夕日を眺める…