書いては消して。

SNSにお気持ち表明することは多い。
最近では専らインスタグラムのストーリー機能を駆使して限定的に公開した友人にのみ閲覧できる状態で心のうちをつらつらと。

他愛のないこと、もやもやしたこと、愚痴や恋愛事情、推しのこと。
他人からしたらどうしようもなくくだらなくて小さなことだらけだけど私は誰かに目にしてほしいと思って投稿を続ける。
成仏させたい想いなんかは特に、特に。

ただ、嫌な気持ちにはさせたくなくて悲しんで欲しくもない。画面の向こうの誰かの気持ちを推測って書いては消して文章を形成しているうちに自分の本心がどこにあったのか分からなくなる瞬間がある。
そんなときはノートに記す。
ここは誰も知らない私だけの秘密基地。
たまたまこのページにたどり着いた方がいたとしても、本当の私には辿り着けない。
それが良いよね。
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最近の「書いては消して」。
結局誰の目に触れることもなかったこと。
ここになら書けること。

隣駅で一人で飲んだ帰り道、自転車を押しながらの道中、やっぱり寂しくなって誰かの声が聞きたくなって少し前に少しだけ意識していた彼にメッセージを送った。
酔っ払ってるんだけど道中電話付き合ってっていうなんとも頭の悪そうな文面。
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絶対かかってくることなんてないと思っていた。だってその彼はまだ3回しか会ったことなくて一度押されて私がその気になって、向き合おうとしたら逃げていったつかみどころのない人だったから。

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…ここまで書いていた文章、保存のままになった文章を読み返してみて初めてそんなこともあったなぁと思い返す、たかだかひと月前のこと。

記憶も思い出も生き急ぐかのように全てを上書きしていく目まぐるしい人生の中で、恋愛に費やす時間が少なければ少ないほど良いと思っている。
ああ、彼ってどんな話し方をしていたっけ。
どんな顔して、どんな癖があって。

思い出してみてもいまいちピンとこなくて
そりゃそうか、3回しか会っていないんだもの。
あの言い寄られた夜のこと、どうしたら正解だったかなんて思い返してみてもきっときっと無駄なんてこと分かっているけど、頼りない記憶を反芻している。

上書きされた記憶も、結局掘り返してみたら
忘れていただけで甘い香りを帯びてきたりして
なんて浅はかでなんて薄っぺらいのだろう。  

書いては消して、消しては思い出して。
そんな繰り返しの中に生きているわたし。
少しは前を向いて、前だけを向いて
なりふり構わず生きてみたい。

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