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櫻坂46のことについて(欅坂46については知ったかぶりのていで)書いてます。

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記事一覧

「僕」を絶望させる「怪物」は存在しない。——櫻坂46『I want tomorrow to come』

現行センター組と次期センター組のジレンマ 人それぞれの好みはあれど、山下はやっぱり声がいい。本楽曲は静→動→静となっているけど、静=声、動=ダンスに対応しており…

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15時間前
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櫻坂46 10th Single『I want tomorrow to come』フォーメーション考察と新しい反撃の物語

小池推しとしては、タイミングよくマスメディアに復活しだしたので、もしかしたら……という期待もないではなかったのだけど、今回だけはバックス曲で一期生三人が揃うこと…

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8日前
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恋する小田倉麗奈/櫻坂46

『夏の近道』彼女だけのストーリー 冒頭の教室のシーンのあと、Bメロにさしかかったタイミングで学生服たちの流れに逆らって一人振り返る彼女。うつむいていた視線を上げ…

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10日前
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二人ソニア——小池美波・遠藤理子/櫻坂46

『ソニア』は語り手の「僕」が彼女の思い出話を聞くシーンから始まる。「僕」と彼女の関係性は父娘とか恋人とか解釈が分かれているみたいだけど、父娘の会話だとしたら娘が…

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12日前
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『サイレントマジョリティー』をアップデートする——櫻坂46『引きこもる時間はない』

欅楽曲の呪いと解放ゴミの上に倒れている小島のシーンを観て、欅の曲を思い出す。MVで描かれる彼女たちは「時代の片隅で殺されつつある」あの頃の「僕」と重なる。それは『…

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2か月前
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踊る人形(たち)——櫻坂46『自業自得』考察

バレエの『ボレロ』を彷彿とさせる円形の証言台。その中心に座る山下は「無垢」というより「幼い」印象だ。その表情から彼女の感情を読み取ることはできない。いや、彼女の…

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3か月前
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ガチなのか、ネタなのか——櫻坂46『愛し合いなさい』

ネタならば……そのクオリティは高すぎる MVを観て。レキシの『KATOKU』を思い出した。 これはJourneyの『Separate Ways』のパクリというかオマージュなのだが、『愛し合…

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3か月前
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何より小池美波のこと——櫻坂46「4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?|2Days参戦

2022年から2024年、さらにその先へライブ前日の金曜夜のラジオで「家族の付き添いで、特に興味のないアイドルグループ(どころか忌避する秋元系)の東京ドームライブに行か…

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3か月前
8

櫻坂46 9th Single『自業自得』フォーメーション考察といくつかの期待

個人的な予想としては15人編成なら3列目センターに小池、という感じだった。小池は誰かとシンメとより、センター〜裏センターの真ん中が似合う。表題選抜の検討時期は不明…

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4か月前
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グループの「今」を切り取る——櫻坂46 8th Single BACKSLIVE!!

グループの「今」を切り取るライブ全体ライブが映画や小説だとすれば、BACKSLIVEはドキュメンタリーであり日記である。 BACKSLIVEは、グループやメンバーの「今」を切り取…

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4か月前
9

三期生曲に見る作詞家の視点——櫻坂46『何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう』

2023年後半からの彼女たちが歌う詞は、怒りや苛立ちに満ちている。『Start over!』『承認欲求』では2コーラス目に差し込まれていたが、『何歳の頃に戻りたいのか?』では1…

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5か月前
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汗をかけ、涙を流せ——櫻坂46『油を注せ!』

自転車をモチーフにしたこの楽曲。自動車をモチーフにしたRCサクセションの名曲『雨あがりの夜空に』を隣におくと、途端にエロチックな解釈もできそうだが、本楽曲における…

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7か月前
3

すべてのアイドルが嫉妬する舞台——櫻坂46『何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう』

「アイドル」としての初舞台 夜の教室に静止している少女たち。カメラが移動していくと、この教室はどうやら演劇かなにかの舞台装置であることが見えてくる。そして、ステ…

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7か月前
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青春を美化させない、大人を拒みつづける——櫻坂46『何歳の頃に戻りたいのか?』

無限の「私」の可能性を選択する 赤い衣装を身に纏いバーカウンターに突っ伏した山崎がおもむろに跳ね上がり、赤い液体を一気に飲み干す。飲む液体の色と衣装の色は連動し…

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8か月前
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残酷な舞台装置——櫻坂46「7th Single BACKS LIVE!!」

残酷な舞台装置 7th Single BACKS LIVE!!千秋楽の2日前、8thシングルの選抜発表が行われた。思えば、3rd Single BACKS LIVE!!のときも、すでに4th『五月雨よ』の選抜発表…

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8か月前
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櫻坂46 8th Shigle『何歳の頃に戻りたいのか?』フォーメーション考察と個人的な夢想

櫻坂版『破壊と再生』 8thシングル『何歳の頃に戻りたいのか?』は、7thから2人減らしての14人構成となった。14人は、1st〜3rd期の選抜人数である。6th・7thのフォーメー…

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8か月前
7

「僕」を絶望させる「怪物」は存在しない。——櫻坂46『I want tomorrow to come』

現行センター組と次期センター組のジレンマ 人それぞれの好みはあれど、山下はやっぱり声がいい。本楽曲は静→動→静となっているけど、静=声、動=ダンスに対応しており、彼女の魅力を最大限に魅せるための“Made for 山下瞳月”の一曲となっている。 眠れない夜を過ごす山下・谷口・的野と灯をもつ藤吉・森田・山﨑、次期センター候補と現行センター組が対比される。関連づけにあんまり意味はないけど、谷口は森田に、山下は前作『自業自得』MVも対置されていた藤吉にリンクする。山﨑ポジションに

櫻坂46 10th Single『I want tomorrow to come』フォーメーション考察と新しい反撃の物語

小池推しとしては、タイミングよくマスメディアに復活しだしたので、もしかしたら……という期待もないではなかったのだけど、今回だけはバックス曲で一期生三人が揃うことを喜ぶべきことなのかもしれない。 それはさておき、結局のところ選抜の是非を決めるのは制作・演出陣が使いやすいかどうかだ。人気やパフォーマンス力はもちろん考慮されるが、ボーダー上に二人いたら好みや仲のよさなど選ぶ人・推す人に拠る部分は大きいだろう。 選定の基準には、各メンバーへの期待値の高さもあると思う。武元、村井、

恋する小田倉麗奈/櫻坂46

『夏の近道』彼女だけのストーリー 冒頭の教室のシーンのあと、Bメロにさしかかったタイミングで学生服たちの流れに逆らって一人振り返る彼女。うつむいていた視線を上げたその先には、シルエットの二人(村井・山下)が立っている。 このまま流れに身をまかせていけば楽な人生かもしれない。でも彼女たちは自分の道を見つけ出す。そして1サビに入るところで最初に駆け出すのが小田倉麗奈なのだ(たまたまだけどライブで最初に花道に駆け出すのも彼女だ)。この教室のシーンから駆け出すところまでの一連の流

二人ソニア——小池美波・遠藤理子/櫻坂46

『ソニア』は語り手の「僕」が彼女の思い出話を聞くシーンから始まる。「僕」と彼女の関係性は父娘とか恋人とか解釈が分かれているみたいだけど、父娘の会話だとしたら娘が10代なのか大人の年齢なのかわからないし、パートナー同士だとしても二人の年齢によって解釈は相当変わる。関係性を決めるヒントは曖昧で、最終的には歌い手(センター)がどう解釈するかに委ねられている。 歌詞世界は、相手が語る物語が先行してあり、それを「僕」が聞いて語り直すという二重構造になっている。一人称で歌われることが多

『サイレントマジョリティー』をアップデートする——櫻坂46『引きこもる時間はない』

欅楽曲の呪いと解放ゴミの上に倒れている小島のシーンを観て、欅の曲を思い出す。MVで描かれる彼女たちは「時代の片隅で殺されつつある」あの頃の「僕」と重なる。それは『静寂の暴力』の主人公たちが住む世界にもリンクする。 こちら側と向こう側、内と外、子供と大人、個と社会etc. 周囲から切り離され、無視され、自分とは関係なく世界が存在しているかのような感覚は、やがて向こう側への敵意・不信感となり、孤独を助長する。 笑わない、媚びない。まるで大人たちを信用していない彼女たちの態度を

踊る人形(たち)——櫻坂46『自業自得』考察

バレエの『ボレロ』を彷彿とさせる円形の証言台。その中心に座る山下は「無垢」というより「幼い」印象だ。その表情から彼女の感情を読み取ることはできない。いや、彼女の内面にはただ空虚が広がるだけだ。彼女は雑踏の中から生まれたばかりの「人形」である。 これは、異端審問? 魔女裁判? 冒頭の水を飲むシーンは、8thシングルとの対比で、彼女が新しいセンターとして迎えられていることを示唆している。果たして、彼女はセンターに足る存在か否か。傍聴席(陪審員?)のメンバーたちは喧喧囂囂に論争を

ガチなのか、ネタなのか——櫻坂46『愛し合いなさい』

ネタならば……そのクオリティは高すぎる MVを観て。レキシの『KATOKU』を思い出した。 これはJourneyの『Separate Ways』のパクリというかオマージュなのだが、『愛し合いなさい』も、もしかして何かしらのネタ元があるパロディなのでは……と思えてきた。このうら寂れた海辺の倉庫の風情もレキシみたい。後半に述べるような批判を「いや、昔はこんなこと言われてましたね、というネタなんで」とかわすつもりなのだろうか。 ネタだとすると、MVはなんかすごいクオリティ高い

¥100

何より小池美波のこと——櫻坂46「4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?|2Days参戦

2022年から2024年、さらにその先へライブ前日の金曜夜のラジオで「家族の付き添いで、特に興味のないアイドルグループ(どころか忌避する秋元系)の東京ドームライブに行かなくていけないのが憂鬱だ」というメールが読まれていた。両日あわせて11万のうち、初めて櫻坂のライブに来た人が松田調べで約2万人、その中には同じような立場のご面々は少なからずいたことだろう。 そのラジオ番組のMCは「曲中はノリノリなのにMCになるとスッと熱が冷めて椅子に座りだす様子を楽しむといい」というやや皮肉め

櫻坂46 9th Single『自業自得』フォーメーション考察といくつかの期待

個人的な予想としては15人編成なら3列目センターに小池、という感じだった。小池は誰かとシンメとより、センター〜裏センターの真ん中が似合う。表題選抜の検討時期は不明だが、まだ小池のアサインは難しい段階だったのかもしれない。今は東京ドームに立ってもらうだけでも大きな前進だ。リベンジは10thからでいい。東京ドーム、BACKS曲&BACKSLIVEにおいて、真っ向勝負で選抜を勝ち取るぐらいの復活を期待している。 もうひとつ期待していたのはエイト制度の復活だった。賛否のある制度だが

グループの「今」を切り取る——櫻坂46 8th Single BACKSLIVE!!

グループの「今」を切り取るライブ全体ライブが映画や小説だとすれば、BACKSLIVEはドキュメンタリーであり日記である。 BACKSLIVEは、グループやメンバーの「今」を切り取る。全体ライブがクリエイティブの純粋なアウトプットであるのに対し、BACKSLIVEはその過程を見せてくれる。「バックス」という言葉が、どうしてもアンダーのイメージを抱いてしまうが、8th Single BACKSLIVE!!に参戦して、BACKSLIVEは当初からそのような視点があったことに気づか

三期生曲に見る作詞家の視点——櫻坂46『何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう』

2023年後半からの彼女たちが歌う詞は、怒りや苛立ちに満ちている。『Start over!』『承認欲求』では2コーラス目に差し込まれていたが、『何歳の頃に戻りたいのか?』では1コーラス目からより強い言葉で発せられる。この怒りの源泉はどこにあるのか。 そして「怒り」の感情は、三期生曲にも書き込まれる。 このフレーズ、個人的に櫻坂46のこれまでの歌詞の中で一番じゃないかと思う。 本楽曲のテーマは「ラブソングの歌詞を書く」こと。それは作詞家がなぜ詞を書くのかの問いそのものである。

汗をかけ、涙を流せ——櫻坂46『油を注せ!』

自転車をモチーフにしたこの楽曲。自動車をモチーフにしたRCサクセションの名曲『雨あがりの夜空に』を隣におくと、途端にエロチックな解釈もできそうだが、本楽曲における油とは血液である。そして櫻坂で自転車といえば、欅坂46の『サイレントマジョリティー』だ。 彼女たちの物語はあの自転車全力疾走からはじまる。 また、アンダー曲という観点から、この曲とも関連が見られる。 全力で走っていたはずなのに、どこかで安心していたのか。欅坂のアンダー曲と同様、表題メンバーに選抜されなかったメンバ

すべてのアイドルが嫉妬する舞台——櫻坂46『何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう』

「アイドル」としての初舞台 夜の教室に静止している少女たち。カメラが移動していくと、この教室はどうやら演劇かなにかの舞台装置であることが見えてくる。そして、ステージからはみ出したところにも少女が1人。彼女が舞台に上がり歌い出すと、照明が変わり1日の始まりとともに物語が動き出す。第一の観客は、もちろん私たちだ。 これまでのMVを通して、彼女たちはもうひとつの物語を生きている。『夏の近道』では何者でもなかった少女たちがアイドルへと成長していく過程であり、『静寂の暴力』はその前夜

青春を美化させない、大人を拒みつづける——櫻坂46『何歳の頃に戻りたいのか?』

無限の「私」の可能性を選択する 赤い衣装を身に纏いバーカウンターに突っ伏した山崎がおもむろに跳ね上がり、赤い液体を一気に飲み干す。飲む液体の色と衣装の色は連動している。ドリンクメニューはひとつの選択であり、選んだ色が自分の「カラー」になる。 走り出す山﨑の衣装は言葉通り千変万化する。人生において選択する場面は無数にある。選択とは、いくつかの選択肢からひとつ(1色)だけ選ぶものだと思ってしまうが、実際はあれもこれも選んでいいし、後から変えてもいい。または、別の色を選んだ「私」

残酷な舞台装置——櫻坂46「7th Single BACKS LIVE!!」

残酷な舞台装置 7th Single BACKS LIVE!!千秋楽の2日前、8thシングルの選抜発表が行われた。思えば、3rd Single BACKS LIVE!!のときも、すでに4th『五月雨よ』の選抜発表が内部でされた後の公演だった(おそらく2ndのときも同様だと思われる)。バックスライブの成果は、次のシングルに反映されるわけではない。この事実は選抜落ちしたメンバーはもちろん、選抜されたメンバーの心も深く抉るものだろう。今回、私たちは、このメンバーは選抜入り、このメ

櫻坂46 8th Shigle『何歳の頃に戻りたいのか?』フォーメーション考察と個人的な夢想

櫻坂版『破壊と再生』 8thシングル『何歳の頃に戻りたいのか?』は、7thから2人減らしての14人構成となった。14人は、1st〜3rd期の選抜人数である。6th・7thのフォーメーションは、成熟したメンバーによる均整のとれたものだったが、8thではいったん更地に戻し、福笑い的にメンバーを配置したらこうなった的な、よく言えば「攻めてる」だが、一見どこかアンバランスな、というか過剰なまで攻撃モードなのだ。『Start over!』の1列目から田村・守屋を抜いたら、抑えられてい