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櫻坂46のことについて(欅坂46については知ったかぶりのていで)書いてます。

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最近の記事

『サイレントマジョリティー』をアップデートする——櫻坂46『引きこもる時間はない』

欅楽曲の呪いと解放ゴミの上に倒れている小島のシーンを観て、欅の曲を思い出す。MVで描かれる彼女たちは「時代の片隅で殺されつつある」あの頃の「僕」と重なる。それは『静寂の暴力』の主人公たちが住む世界にもリンクする。 こちら側と向こう側、内と外、子供と大人、個と社会etc. 周囲から切り離され、無視され、自分とは関係なく世界が存在しているかのような感覚は、やがて向こう側への敵意・不信感となり、孤独を助長する。 笑わない、媚びない。まるで大人たちを信用していない彼女たちの態度を

    • 踊る人形(たち)——櫻坂46『自業自得』考察

      バレエの『ボレロ』を彷彿とさせる円形の証言台。その中心に座る山下は「無垢」というより「幼い」印象だ。その表情から彼女の感情を読み取ることはできない。いや、彼女の内面にはただ空虚が広がるだけだ。彼女は雑踏の中から生まれたばかりの「人形」である。 これは、異端審問? 魔女裁判? 冒頭の水を飲むシーンは、8thシングルとの対比で、彼女が新しいセンターとして迎えられていることを示唆している。果たして、彼女はセンターに足る存在か否か。傍聴席(陪審員?)のメンバーたちは喧喧囂囂に論争を

      • ガチなのか、ネタなのか——櫻坂46『愛し合いなさい』

        ネタならば……そのクオリティは高すぎる MVを観て。レキシの『KATOKU』を思い出した。 これはJourneyの『Separate Ways』のパクリというかオマージュなのだが、『愛し合いなさい』も、もしかして何かしらのネタ元があるパロディなのでは……と思えてきた。このうら寂れた海辺の倉庫の風情もレキシみたい。後半に述べるような批判を「いや、昔はこんなこと言われてましたね、というネタなんで」とかわすつもりなのだろうか。 ネタだとすると、MVはなんかすごいクオリティ高い

        ¥100
        • 何より小池美波のこと——櫻坂46「4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?|2Days参戦

          2022年から2024年、さらにその先へライブ前日の金曜夜のラジオで「家族の付き添いで、特に興味のないアイドルグループ(どころか忌避する秋元系)の東京ドームライブに行かなくていけないのが憂鬱だ」というメールが読まれていた。両日あわせて11万のうち、初めて櫻坂のライブに来た人が松田調べで約2万人、その中には同じような立場のご面々は少なからずいたことだろう。 そのラジオ番組のMCは「曲中はノリノリなのにMCになるとスッと熱が冷めて椅子に座りだす様子を楽しむといい」というやや皮肉め

        『サイレントマジョリティー』をアップデートする——櫻坂46『引きこもる時間はない』

        • 踊る人形(たち)——櫻坂46『自業自得』考察

        • ガチなのか、ネタなのか——櫻坂46『愛し合いなさい』

          ¥100
        • 何より小池美波のこと——櫻坂46「4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?|2Days参戦

          櫻坂46 9th Single『自業自得』フォーメーション考察といくつかの期待

          個人的な予想としては15人編成なら3列目センターに小池、という感じだった。小池は誰かとシンメとより、センター〜裏センターの真ん中が似合う。表題選抜の検討時期は不明だが、まだ小池のアサインは難しい段階だったのかもしれない。今は東京ドームに立ってもらうだけでも大きな前進だ。リベンジは10thからでいい。東京ドーム、BACKS曲&BACKSLIVEにおいて、真っ向勝負で選抜を勝ち取るぐらいの復活を期待している。 もうひとつ期待していたのはエイト制度の復活だった。賛否のある制度だが

          櫻坂46 9th Single『自業自得』フォーメーション考察といくつかの期待

          グループの「今」を切り取る——櫻坂46 8th Single BACKSLIVE!!

          グループの「今」を切り取るライブ全体ライブが映画や小説だとすれば、BACKSLIVEはドキュメンタリーであり日記である。 BACKSLIVEは、グループやメンバーの「今」を切り取る。全体ライブがクリエイティブの純粋なアウトプットであるのに対し、BACKSLIVEはその過程を見せてくれる。「バックス」という言葉が、どうしてもアンダーのイメージを抱いてしまうが、8th Single BACKSLIVE!!に参戦して、BACKSLIVEは当初からそのような視点があったことに気づか

          グループの「今」を切り取る——櫻坂46 8th Single BACKSLIVE!!

          三期生曲に見る作詞家の視点——櫻坂46『何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう』

          2023年後半からの彼女たちが歌う詞は、怒りや苛立ちに満ちている。『Start over!』『承認欲求』では2コーラス目に差し込まれていたが、『何歳の頃に戻りたいのか?』では1コーラス目からより強い言葉で発せられる。この怒りの源泉はどこにあるのか。 そして「怒り」の感情は、三期生曲にも書き込まれる。 このフレーズ、個人的に櫻坂46のこれまでの歌詞の中で一番じゃないかと思う。 本楽曲のテーマは「ラブソングの歌詞を書く」こと。それは作詞家がなぜ詞を書くのかの問いそのものである。

          三期生曲に見る作詞家の視点——櫻坂46『何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう』

          汗をかけ、涙を流せ——櫻坂46『油を注せ!』

          自転車をモチーフにしたこの楽曲。自動車をモチーフにしたRCサクセションの名曲『雨あがりの夜空に』を隣におくと、途端にエロチックな解釈もできそうだが、本楽曲における油とは血液である。そして櫻坂で自転車といえば、欅坂46の『サイレントマジョリティー』だ。 彼女たちの物語はあの自転車全力疾走からはじまる。 また、アンダー曲という観点から、この曲とも関連が見られる。 全力で走っていたはずなのに、どこかで安心していたのか。欅坂のアンダー曲と同様、表題メンバーに選抜されなかったメンバ

          汗をかけ、涙を流せ——櫻坂46『油を注せ!』

          すべてのアイドルが嫉妬する舞台——櫻坂46『何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう』

          「アイドル」としての初舞台 夜の教室に静止している少女たち。カメラが移動していくと、この教室はどうやら演劇かなにかの舞台装置であることが見えてくる。そして、ステージからはみ出したところにも少女が1人。彼女が舞台に上がり歌い出すと、照明が変わり1日の始まりとともに物語が動き出す。第一の観客は、もちろん私たちだ。 これまでのMVを通して、彼女たちはもうひとつの物語を生きている。『夏の近道』では何者でもなかった少女たちがアイドルへと成長していく過程であり、『静寂の暴力』はその前夜

          すべてのアイドルが嫉妬する舞台——櫻坂46『何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう』

          青春を美化させない、大人を拒みつづける——櫻坂46『何歳の頃に戻りたいのか?』

          無限の「私」の可能性を選択する 赤い衣装を身に纏いバーカウンターに突っ伏した山崎がおもむろに跳ね上がり、赤い液体を一気に飲み干す。飲む液体の色と衣装の色は連動している。ドリンクメニューはひとつの選択であり、選んだ色が自分の「カラー」になる。 走り出す山﨑の衣装は言葉通り千変万化する。人生において選択する場面は無数にある。選択とは、いくつかの選択肢からひとつ(1色)だけ選ぶものだと思ってしまうが、実際はあれもこれも選んでいいし、後から変えてもいい。または、別の色を選んだ「私」

          青春を美化させない、大人を拒みつづける——櫻坂46『何歳の頃に戻りたいのか?』

          残酷な舞台装置——櫻坂46「7th Single BACKS LIVE!!」

          残酷な舞台装置 7th Single BACKS LIVE!!千秋楽の2日前、8thシングルの選抜発表が行われた。思えば、3rd Single BACKS LIVE!!のときも、すでに4th『五月雨よ』の選抜発表が内部でされた後の公演だった(おそらく2ndのときも同様だと思われる)。バックスライブの成果は、次のシングルに反映されるわけではない。この事実は選抜落ちしたメンバーはもちろん、選抜されたメンバーの心も深く抉るものだろう。今回、私たちは、このメンバーは選抜入り、このメ

          残酷な舞台装置——櫻坂46「7th Single BACKS LIVE!!」

          櫻坂46 8th Shigle『何歳の頃に戻りたいのか?』フォーメーション考察と個人的な夢想

          櫻坂版『破壊と再生』 8thシングル『何歳の頃に戻りたいのか?』は、7thから2人減らしての14人構成となった。14人は、1st〜3rd期の選抜人数である。6th・7thのフォーメーションは、成熟したメンバーによる均整のとれたものだったが、8thではいったん更地に戻し、福笑い的にメンバーを配置したらこうなった的な、よく言えば「攻めてる」だが、一見どこかアンバランスな、というか過剰なまで攻撃モードなのだ。『Start over!』の1列目から田村・守屋を抜いたら、抑えられてい

          櫻坂46 8th Shigle『何歳の頃に戻りたいのか?』フォーメーション考察と個人的な夢想

          「マモリビト」とは、私たちのことでもある——櫻坂46三期生「新参者」

          体感5分。リアルと配信2公演の計3回観た一番の感想がそれだ。 以下、各楽曲・メンバーの印象と、欅曲について。 『夏の近道』『Anthem time』 『夏の近道』はさすがに安定感というか定番曲の貫禄が出てきた。『Anthem time』は文字どおり、三期生のアンセム。櫻坂チャンネルの密着動画では、本番前にいっぱいいっぱいになってる様子の中嶋が映っていて、それを抑え込んでのあのパフォーマンスだったと知ると、体感5分の理由がちょっと見えてくる。彼女たちはMCも煽りもまだそんなに

          「マモリビト」とは、私たちのことでもある——櫻坂46三期生「新参者」

          櫻坂は今も「真っ白」なのか?——櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」2DAYS

          櫻坂の「希望」、三期生Overtureのメンバー紹介が三期も混ぜ合わせたとなり、2日目の後半で全員が同じ衣装を身に纏う(これまでカラー違いはあったが)。ここで初めて三期生たちが本格的に合流した瞬間だ。 今にして思えば、3rd TOURの頃はキラキラしたパフォーマンスの裏側で「自分には何ができるのだろうか?」を考え続けた日々だったと思う。先輩たちに比べたら、所作のキレだったり、全員で揃えたりといった技術的な部分はまだまだ発展途上なのは、本人たちもわかっている。それでも、いく

          櫻坂は今も「真っ白」なのか?——櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」2DAYS

          センター予想してみた|櫻坂46三期生「新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za」

          奇跡的に「新参者」チケットがとれた。各メンバーに1曲はセンターがまかされるのではと思い、妄想してみる。 石森 璃花 既存センター:『BAN』 センター予想:『君と僕と洗濯物』 ふわふわ属性からすると「洗濯物」だけど『BAN』の印象が強すぎて『流れ弾』も捨てがたい。 遠藤 理子 センター予想:『Microscope』 わちゃわちゃした楽曲で、楽しそうにパフォーマンスする姿が観たい。『それが愛なのね』でもよい。 小田倉 麗奈 センター予想:『なぜ 恋をして来なかったんだろ

          センター予想してみた|櫻坂46三期生「新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za」

          小林由依の嘘と真実と呪縛と解放——櫻坂46『隙間風よ』

          彼女たちの「嘘」と「真実」と「本音」小林のことを考えると、たびたび想起される詩句である。もちろん小林本人は廃人ではないけど『Start over!』MVで描かれた小林は廃人寸前だったかもしれない。欅坂時代から小林は、多くの一期生たちは「語らない」ことで自己を守ってきた。『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』で、本当の思いを口にしない小林のあり方は一期生全員に共通する特性だと思う。本当の思い=「本音」をしゃべっても、それが自分の思ったとおりには伝わらないど

          小林由依の嘘と真実と呪縛と解放——櫻坂46『隙間風よ』