見出し画像

何より小池美波のこと——櫻坂46「4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?|2Days参戦

2022年から2024年、さらにその先へ

ライブ前日の金曜夜のラジオで「家族の付き添いで、特に興味のないアイドルグループ(どころか忌避する秋元系)の東京ドームライブに行かなくていけないのが憂鬱だ」というメールが読まれていた。両日あわせて11万のうち、初めて櫻坂のライブに来た人が松田調べで約2万人、その中には同じような立場のご面々は少なからずいたことだろう。
そのラジオ番組のMCは「曲中はノリノリなのにMCになるとスッと熱が冷めて椅子に座りだす様子を楽しむといい」というやや皮肉めいたメタ視点を提案していたが、今回ライブ本編ではMCがわずか2回。その楽しみ方ができたか不明だ。ライブを観てやっぱりくだらないと思うか、少しは認識を改めるのか。「私たちと出会ってくれた皆さんを必ず幸せにする(松田)」という思いはどのぐらい届いただろうか。

振り向かせてやるぜ ここから

魂のLiar

ほら 見つけたぞ ヨロシク!

ドローン旋回中

彼女たちの思いは、ドローンに乗って、まだ見ぬ未来のBuddiesを探して拡散していく。

2022年の東京ドーム公演では、MCで発言するメンバーみんなが口々に感謝の言葉を口にしていたのが印象的だった。それから約1年半、今度は私たちが東京ドームに連れてきてくれてありがとうと感謝を届ける側になった。全員曲扱いになった『Anthem Time』の歌詞になぞらえれば、グループが成長するには「風と太陽と雨」が必要だ。メンバーとBuddiesを包み込む自然は恵みだけでなく、時には暴風雨だったり日照り続きだったりするかもしれない。でも、私たちならどこまでも行ける。自信と確信が漲る2024年のドーム公演となった。

小池美波、その唯一性

『櫻坂の詩』で初日はボロ泣きしていた小池が、2日目は晴れやかな笑顔を見せていた。グループだって改名後の落ち込みからそれ以上のV字展開を見せた。彼女のスタートオーバーも、ここからはじまる。
とはいえ、初日はずっと不安だった。場外のメンバーフラッグに小池がいない(※他の方のライブレポみたら、違う場所にもフラッグあってそこにはあったんですね……)。『Overture』にもいない。3曲目『恋が絶滅する日』にもいない。4曲目『摩擦係数』も小池・小林ポジションが谷口のソロになっているようだ……と諦めかけたところで、最高の復帰の瞬間が用意されていた。

まだフル復活ではない感じだったけど、『Nobody's fault』や『桜月』で小池の声が聞こえてくると、徐々に実感が湧いてくる。小池・小林のユニゾンもよかったけど、声質が似ている小池・山下バージョンもいい。
パフォーマンスでは初参加となる『承認欲求』で彼女のポジションが確保されていてよかった(この曲はMVのときから一期生のオリジナルメンバー3人が完全に揃うことが一度もなかった……)。場所さえあれば『Nobody's fault』や『五月雨よ』のように自身の表現を発揮できるだろう。『Cool』の最後のダンスや『Start Over!』の組体操などフォーメーションを調整している感じだったので、他にもさまざまなケアがあったのかなと思う。でも心臓パートは小林ポジションに移動してて、ここは大ハマりだった。

『ドローン旋回中/Anthem Time』で遠藤と花道を走ってたり、終演後の神イベントで、たぶん石森や向井とくっついてたのもよかった。この1年間、グループの成長は恐ろしいほどの成長曲線を描いた。(あくまで)外側から見ると、遠藤理子をはじめとした三期生の積極性に比べると二期生たちはそっけなく見える。でも二期生の思いはTAKAHIRO先生がいっていたことと同じなのではないか。

パフォーマンスしてハプニングが起きたり、誰かが辛くなる日があるんだけど、メンバーがそのときに一緒に辛くなる気持ちがあるんだけど、ステージの上では必ず引っ張り上げてあげること。なので一緒に辛くなるんじゃなくて、だったら私たちが二倍パワーを出そうよとすると……

TAKAHIRO/三期生ドキュメンタリー『私たち、櫻坂46三期生です』Episode 06

二期生たちはグループを前進・拡大させていくことで、三期生たちはマモリビトとして寄り添うことで、小池・遠藤の場所をつくってくれたんだろう。たぶん彼女たちはそれを無意識にやっていて、それが今のグループの状態を表している。「誰もおいていかない」とは、一緒に立ち止まるのではなくて、引っ張り上げつつ背中を支えてあげることなのだ。
松田がメンバーに目標を聞いてまわり、全員の夢を叶えられるグループになろうという大きな方向性が打ち立てられたことで、メンバー一人ひとり考えていることは違うが、それぞれ「自分がやりたいこと」「自分がやるべきこと」が明確になって大きな一つの原動力になっている。

まずはBACKSLIVEだ。7th、8thでは表題曲を避けて1st〜4th、5th〜8thのカップリング曲中心の構成だったが、大半が同じメンバーで臨む9thではいよいよ表題曲を解禁していくというふうにも期待できる。小池『自業自得』、遠藤光莉『何歳の頃に戻りたいのか?』、武元『承認欲求』、齋藤or大沼『Start over!』とか妄想してしまうけど、ここまでは難しいかな。

最初の赤・白・黒のクラシカルな衣装、数パターンの振り分けか1人ずつカスタマイズされてたのかまで判別できなかったけど、パンツ/スカートみたいなバリエーションがある場合、スカート系で一番ハマるのは小池だ。『流れ弾』の黒/赤の衣装もそうだったけど、「みいちゃんにはコレ!」みたいなのができてるのが一番の強みだし、グループでの唯一性でもある。


今回のツアーは初日参戦ばっかりだったので、結局『マモリビト』を観ることができなったのが、唯一の心残り。ライブ本編に組み込みにくい曲なので、今後も披露される機会は少ないかもしれない(『一瞬の馬』もそうだ)。
いつか三期生たちがメインにになる頃に『櫻坂の詩』に替わる大トリ曲になってもいいなと思う。そのぐらい大きな曲だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?