嘔吐したなかにきらと光る鍵がありました。きっとさっき、君に愛してるの言葉を貰ったからだな。私の美味しいごはんと、化学反応を起こしたんだな。でもその鍵に張り付いていたのは謎肉で、部屋には青白い真四角が光を放っているだけでした。青い吹き出しの愛してるはまだちゃんとそこにあって、食べかけのカップラーメンはとうに冷めていました。醒めていました。私が気が付かなかっただけ。げろまみれの手で、あなたにさよならを送りました。電車の音に合わせて歌ったけれど、両方から壁ドンされてしまった。魂だけ
どれだけはりついて 皮膚を舐めても ふれられない中の 色だけはわかるようで たとえ幻でも その熱が 私の表面を あぶっている 霧をつくれる きみが 霧を写した キャンバスに 何層のだれかが いるんだろう もぐりこめないわたしは 目で撫ぜて それからだ 君に 会いたくないとおもったのは
family name。この間友達と行ったカラオケでfamily nameを歌った。その友達は産まれる前から互いの母親同士が知り合いの幼なじみで、その子が靖子ちゃんやZOCを知っているのかは知らなかったのだけれど、知っているみたいだったので、それが嬉しかった。 family name。私の家庭環境は普通で、幸せな方だと思う。いい曲だけど、私とは違う世界の子が歌っていることが刺さる、みたいな、中学生の時の私にとってはそういう曲だった。私ごとじゃなかった。だけど私は自分の苗字が好
まだ肌寒い春の瞳を、ごまかさないまま見つめていく。乗せてゆく。振り返らずに。欲望の光が苦いということ、誰にも教わらずに知った。純粋な糖分はねちっこくて、素直じゃないから、やっと好きになれる。聡明さなんて厄介だ。聡明なふりをしているだけが愛情だ。いじわるで、皮肉じゃなくちゃ。誰の心も現れないなら、皮膚を隔てた手前の空間でヘンテコを練るしかない。それ以外を見るとうらめしさで吐き気がする。うらやましさではなく。踏みつけるものを思い出すから脳みそが焼き切れる。でも踏みつけたものを思い
ぬくもりの想像をかたくなにして、現実は不安だから、愛をみいだすこともわからなくなっている さよなら、を言うことで保っていた情けない矜恃があったこと、あなたに出逢ってはじめて知った ふたりで旅に出ようね これから一緒にどこへ行こうか 人形、にじげん、その奥のまなざし てのひらサイズのあなたを手に取れば、そのたび新しいあなたに出逢うようだよ 見立てたぐうぞう、私のとくべつ ほんとうのあなたを知らないから、考えたってわからないそのやわらかな動きを、目をこらしてもみえない拍動を、あい
この世は溢れんばかりの要素で満ち満ちていて、それらは常に入り組み、立ち昇り、流れる波であり、そしてたっぷりのプランクトンを含んだ海であるのだ。私達が生きるためには常に泳いでいる必要があり、泳ぎを止めたその瞬間波の重量はひどくのしかかって、誰も知らない海の果てまで連れて行く。泳いでいるということ、それは生活や、夢への経路だったりするものだが、それがどんなに些細で細々しいものであっても続けていなければならない。目に見えない程度のバタ足は、一生地に足をつけることのない私たちの唯一の
ささくれを抜きたくない。それは奥に内在していた棘であり、おとつい食べたカルビのトッピングピザであり、そこに落ちた涙であるから。剣をしかと指先に収めている。私だけの棘。丸裸にされる前の心。陽に照らせば朝を知り、夜は貴方の血の色を知る。痛ましい赤はプリズム、蛍光灯に抱く不吉な無力。棘を抜こうとする度喚く私の血潮が、貴方のそれを見て安心していたの。嚙み切って飲み込めば、ふたりラグナコロラダで水浴びをする。拭えない皮膚のつぶらな感触。固く冴えきった、成人の皮膚の感触。
羊毛の一本一本にいのちが無く、しかし意思があるように、わたしの全てに目的はなく、ただ抜け落ちた一本を視認する人生でいるのだ 抜け落ちて行くたびにつのる寂しさがひしと絡まり、真っ黒な子犬くらいの大きさになって、ひとついのちに涙する ボタンを掛け違えて歩く、この距離を、つくっているのは誰なんて考えたこともなかった 確かな転落から得る藁半紙を破りたくなるようなやるせなさに目を向け、いつかは離れて粉になり、意思の欠片は闇の合間 ミクロな星粒 揺るがしが生んだ幻、偶然、いつかひそかに夢
花園に入っては空を撮り、それから足元を撮り、いちばん最後に花を撮るともういいや、と思う だから薄雲を撮り、角張った些細な石ころを撮る どんな人がどんな思いでここに居たことがあるのか、龍は、蟻は、私の鼻腔を通り話してくる、いくつに成ってもおしゃべりな君たちにつられておしゃべりが得意になった私の、撚るまえの糸みたいなひとりごと 対話はひとりで十分だと言い聞かせてきた、それはとても簡単な私の弱さだった 目を瞑れば空よりも青い、土よりも柔いあなたの感触が生まれてくる 生きている人が一
朝ごはんに好きな子のインスタページをじっとながめてる、片手に収まるくらいの投稿とてきとうなプロフィールからじわっと滲んだあの子の汗、髄液、--・・ ・--・ ・-・・ -- ・- 似た服をさがす前に似たにおいをさがす、そのこだわりがあの子にバレないように這いずりまわって細めの髪の毛、ちょっとまともな振りをして、ごみ捨てを遂行したその手でぽちぽち指先インターネット、香水の小瓶をメルカリで即購入 なにもかも忘れたり、捨てたり、亡くしたり、失ったり、殺したりしたら、好きな作品
地球儀抱きかかえてもあなたはいない 埃は証にならない 噎せてもキスしてくれない それでもわたしはこれがあなたの生きた時代だと思って、あなたが脚を浸けた海の水だと思って
あなたの言葉を一音一音咀嚼するたび、羽虫が一羽、また一羽と羽ばたいていく わたしの血管をくぐり、肉を割き、皮膚に孔を空けてどこかへと、しゃなりしゃなりと、そして迷いなく 閉じた隣がまた開く 再生を壊してどこまでも その虫はきっと五日も生きられない、そういった光を持っている 光明で、やはりあなたのように淡い 鋭く思える理由は表面張力の血でしかなく、それが悔しくてこんな季節に分厚いセーターを被った 胸から腹にかけて空いた穴の数を知られたくないと既製品のセーターを被った 塞いではま
血抜きする命を抜いて生命食す変な輪廻で地球は傾く
まなざしは星の幾倍つらぬいて思考の幾倍心に成って
プリーツの頼りなくよれた折り目焼肉屋ダストからまってゆく
つまらんを自分に課してひたひたとあなたの涙私の変化