ささくれ

ささくれを抜きたくない。それは奥に内在していた棘であり、おとつい食べたカルビのトッピングピザであり、そこに落ちた涙であるから。剣をしかと指先に収めている。私だけの棘。丸裸にされる前の心。陽に照らせば朝を知り、夜は貴方の血の色を知る。痛ましい赤はプリズム、蛍光灯に抱く不吉な無力。棘を抜こうとする度喚く私の血潮が、貴方のそれを見て安心していたの。嚙み切って飲み込めば、ふたりラグナコロラダで水浴びをする。拭えない皮膚のつぶらな感触。固く冴えきった、成人の皮膚の感触。

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