剥かれた

あなたの言葉を一音一音咀嚼するたび、羽虫が一羽、また一羽と羽ばたいていく
わたしの血管をくぐり、肉を割き、皮膚に孔を空けてどこかへと、しゃなりしゃなりと、そして迷いなく
閉じた隣がまた開く
再生を壊してどこまでも
その虫はきっと五日も生きられない、そういった光を持っている
光明こうみょうで、やはりあなたのように淡い
鋭く思える理由は表面張力の血でしかなく、それが悔しくてこんな季節に分厚いセーターを被った
胸から腹にかけて空いた穴の数を知られたくないと既製品のセーターを被った
塞いではまたつまらない
手洗いで簡単に落ちて、毛玉が小さくまるい
もうとっくに消えている、がわの寂しさを連れてったあの光たちの残像が本物だという、長い長い勘違い
裸のままで会いにいく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?