さざ波

羊毛の一本一本にいのちが無く、しかし意思があるように、わたしの全てに目的はなく、ただ抜け落ちた一本を視認する人生でいるのだ
抜け落ちて行くたびにつのる寂しさがひしと絡まり、真っ黒な子犬くらいの大きさになって、ひとついのちに涙する
ボタンを掛け違えて歩く、この距離を、つくっているのは誰なんて考えたこともなかった
確かな転落から得る藁半紙を破りたくなるようなやるせなさに目を向け、いつかは離れて粉になり、意思の欠片は闇の合間 ミクロな星粒
揺るがしが生んだ幻、偶然、いつかひそかに夢で逢う一秒 満たないに微笑みかける一秒


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