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大人へ絵本memo ~音が流れる~

勤務先のお店で有線の調子が悪くて音が鳴らなかった日がある。

「いらっしゃいませ」
「ごゆっくりごらんくださいませ」

スタッフの挨拶が途切れると店内は無音になる。
それぞれの動きを感じる。

ススタタとスタッフが店内を歩き回る音。
サカサカと袋を空ける音。

存在が周りに伝わっていく感じがある。
自分の動作が気になる。

お客さまが気を遣っているのがわかる。
咳払いが増える。

「いらっしゃいませ~~」
「ごゆっくりごらんくださいませ~~え」
必要以上に語尾を伸ばして音のある状況を増やそうとしてしまう。

音があることは
優しさだったのか・・・


☆彡,゚.:。+゚   ☆彡☆彡,゚.:。+゚
音楽を流す図書館が増えてきたという。

図書館は無音が良いと思っていた。
えんぴつのかすれる音やページをめくる音。
みんなが息を潜め合って人の気配音を感じている。
その静けさがたまらないと。

でも そう言われてみれば
ちょっとした物音が気になって、集中できないことも良くあった。
誰かの口元が動いていると、そちらに耳を向けてしまったり
いけない音をたててはいけないと
どこかで緊張している。

そうか。
ほんのわずかに曲が流れている方が
リラックス出来て自分に集中できるのね。


私達も優しい空間でお出迎えするために
「後ろの方、音大きすぎないですか?」
「ちょっと小さすぎるのでほんの少し上げて下さい」
などと音量を調節しながらお店に立つ。

☆彡,゚.:。+゚   ☆彡☆彡,゚.:。+゚
音楽って
人の気配を消すために流れているのか。

自分の行動に集中するための
ベールを纏うよう。


☆彡,゚.:。+゚   ☆彡☆彡,゚.:。+゚
絵本を読んでいるときも
わりと音楽が流れていることがある。

外にだったり脳内にだったり。

例えば
皆さんがよく知っているお話しから

『ねずみのおよめさん』
小野 かおる (再話・画)
2016年 福音館書店(原書 子どものとも)

年頃の娘を持った父親が娘にぴったりの相手を探してまわります。父親の理想は世界一えらい者。それは決してネズミではないと思っているのですが、結局一番身近にいるネズミが一番偉かったというお話しです。

私の思うえらい人と言うのは 優しい人
なので私がこの絵本を読むと 脳内には
「ひまわりの約束」が流れます。

♪ガラクタだったはずの今日が 二人なら宝物になる♫

ねずみの嫁入りのシーンでは
この曲を盛大に歌って
感動の中送り出します。

あなたならこの物語にどんな選曲をしますか?

時代も何も関係なくて、その時にぴったりな音楽を描きながら眺める絵本はオリジナルの世界を創ります。


そしてこの絵本には
クラシック行進曲が似合う

『まさかりどんがさあたいへん』
かこ さとし(作)
1996年 小峰書店

とにかく道具たちが大騒ぎのてんてこ舞いで大変になるお話しです。
DIYが好きな方。
裁縫が好きな方。
ピアノの鍵盤が好きな方。
ロボットが好きな方。
この壮大な物語をぜひご覧になって下さい。

運動会前の読み聞かせで、曲を流しながら読むのもおすすめです♪

イメージはこんな感じ☺
(曲名に詳しくないので運動会BGMで検索しました)
ラデツキー行進曲
クシコスの郵便馬車
ハンガリー舞曲
トルコ行進曲


そしてそして

『ギリシア神話』
石井 桃子 (編集 翻訳) 富山 妙子 (画)
2000年 のら書店

ギリシャの神々の物語

幼い頃には自分の星座の神話を何度も読んだ覚えがります。

神話への概念は人によって様々です。まるで架空の世界のような場面がたくさんあります。空を飛んだりしていますからね。
私は魂だけの世界から生身の身体を纏うまでの移行期の実話のような気がしています。神の世界とこちらが繋がりだし、様々な星から現われた代表選手がそれぞれの身体を持ち、地球を舞台に意識を具現化していくような。

空も飛べるし身体も軽いけれど実在の人物に繋がる容姿を持っている。
なので私のイメージでは神々は若い青年や聖女で、実在すれば15歳~20歳くらいではないだろうかと想像しながら読んでいます。

若いと思う理由は
お話しの聖者たちに
無意識の虚無感と
この世界への根拠のない信頼を感じるからです。


自分の中の世界がすべてなのだけれど
自分の行動が知らぬうちに世界を変えている

きっと それを
勇敢というのでしょう。

勇敢な物語に合う曲を
脳が勝手にリフレインする。

客観的に神話を読むときは
ユーミンが流れます。
「輪舞曲(ロンド)」
「埠頭を渡る風」
「真夏の夜の夢」のような
ユーミンの中でも激しめの
ドラマチックな曲。

魂の芯から湧き上がる情熱を感じて。

そして主観的に読む時は
こんな音を空から流したくなる。

空にスピーカーがあって
ベース音が神々を鼓舞する

聖者たちが舞い上がり
炎を散らす星空

誰の創った曲でもいい
奏でる音が

外に出て反射し
星々の熱が映って
また体内に吸収される。

空に向かう音が
知らぬうちに
世界を変える




☆彡,゚.:。+゚昔話の絵本を選ぶ☆彡☆彡,゚.:。+゚
度々再話されて、いろいろな出版社から発売されるのが昔話です。

ももたろう、浦島太郎、一寸法師・・・
紹介しました「ねずみのおよめさん」は福音館「子どものとも」で出版されていたものです。小野かおるさんの言葉と画の素晴らしさはどこにも真似が出来ないと思うほどですが今は品切れのご様子です。今では同じストーリーが「ねずみのよめいり」という名前でたくさん出版されていますので、購入する際には読み比べて頂きたいと思います。
ぜひ本物の画と 優しい言葉使いのものを。

くもん出版が私のおすすめです。
しんなりとした中に芯の強いねずみさんの姿がとても素晴らしい絵本です

『ねずみのよめいり』
小澤 俊夫(作)金井田英津子(画)
2007年 くもん出版

🌹久しぶりに絵本投稿出来て嬉しいです。
 読んで下さりありがとうございました🌹




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