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センバツ2023 東海大菅生vs沖縄尚学 どこよりも詳しく見どころ解説 

第95回選抜高校野球大会
3回戦
東海大菅生(東京) vs  沖縄尚学(沖縄)

ともに投打に力のある強豪対決となった。

ここまで東海大菅生は1試合に対して、沖縄尚学は2試合戦っている。
また東海大菅生は4投手の継投で勝った上に中4日、沖縄尚学はエースの東恩納が2試合を完投して上で中2日と、投手の疲労度で考えると沖縄尚学がやや不利な条件下での試合となる。

また雨天順延により休養日が1日削られこの先の日程が連戦になる為、両校のベンチワークも大切になってくる。
そこを加味した上でこの試合の見どころを探っていきたい。

東京勢と沖縄勢の対戦は春夏合わせて過去10回。
戦績は5勝5敗と全くの五分である。沖縄尚学は2014年の夏に東京の二松学舎大付に6-5でサヨナラ勝ちが1回。東海大菅生は沖縄勢との対戦は初めてとなる。

また東海大菅生は男子部員65名のうち6名が沖縄出身で、ボーイズリーグで沖縄尚学のメンバーとチームメイトだった選手もおり、対戦を心待ちにしている選手も多いだろうと推察する。

ここまでの勝ち上がり

東海大菅生

東海大菅生は初戦で21世紀枠の徳島・城東高校と対戦。
序盤は城東の機動力野球に苦しめられ後手に回る展開だったが、打順2周り目の3回裏に1番・沼澤の3塁強襲の内野安打を皮切りに大舛・酒井の連続長打もあり一気に逆転。その後、城東の2番手・岡の好投の前になかなか加点できなかったが、8回裏に安打で出塁した8番大島が相手の牽制悪送球の間に一気に本塁を陥れて追加点を挙げ試合を決定付けた。
投げては宮本・島袋・末吉・日當の4投手のリレーで城東の反撃を振り切り、5-2で勝利をおさめた。

この試合のキーポイントとなったのは3回表の宮本から島袋への継投か。
先発した2年生宮本は城東の機動力に苦しめられ2回までに安打・四死球・ワイルドピッチで2点を失った。その後3回から登板したサウスポー島袋が城東の流れを止めたことで、リズムが出来て3回裏の連打による逆転劇につながったと言えるだろう。抑えを務めたエース日當は2イニングを投げ最速148キロの力のあるストレートを見せた。ただやや制球が乱れた点には気を付けたいところだ。

打線は8安打中4本が長打とそれなりの力は見せたが、8安打中5本が1~3番が打ったもので、また5得点中2点は相手のミスで得た得点だった。
打線のカギとなるのは1番の沼澤の出塁か。
チーム全体として打線が機能したとは言えない内容だっただけに、3回戦ではどのように修正してくるかにも注目したい。

沖縄尚学

沖縄尚学は初戦で岐阜・大垣日大に4-3で勝利。
続く2回戦では北海道・クラーク国際に3-1で勝利して3回戦進出となった。

大垣日大戦は10安打を打ったが得点は3回に飛び出した4番仲田の満塁ホームランのみ。終盤に大垣日大の猛攻にあったが東恩納が無四球の粘りの投球で辛くも逃げ切った。

クラーク国際戦では3回に1死1、2塁から3番・玉那覇の左中間へのタイムリー2塁打で2点を先制、6回には9番・佐野のタイムリー安打で1点を追加した。
エース東恩納は1死満塁から1塁ゴロの間に1点を失ったが、後続を打ち取り3-1で勝利した。

3回戦進出の原動力は何と言ってもエース東恩納の粘りの投球だろう。
今大会では最速141キロと数字上ではストレートの速さは目立たないものの、2試合で与四死球3・自責点2と抜群の安定感を見せた。
初戦は変化球中心の攻めで大垣日大打線をかわしたが、沖縄尚学バッテリーとしては「変化球に逃げてしまった」と反省のコメントを残していた。それもあって2回戦のクラーク国際戦では序盤からストレート中心の配球に変わっていた。

打線は1番・知花と4番・仲田の二人が中心となる。
ともに長打力もある強打者だ。
4番・仲田は初戦こそ満塁ホームランを放ったが2回戦ではノーヒット。
1番・知花は秋の公式戦で.676と驚異的な打率を残した今大会でも屈指の強打者ではあるが、甲子園では8打数2安打とまだ本来の調子が発揮されているとは言えない状態だ。
この二人が機能すれば、得点力は一気にアップするだろう。

この試合のポイント

一番の注目は中1日での登板となる沖縄尚学のエース東恩納の疲労度と、両チームの先発投手が誰か?という点である。

沖縄尚学は基本的に東恩納の先発完投が多いが、勝てば翌日が準々決勝で相手が大阪桐蔭になる可能性もある為、上原もしくは儀部が先発する可能性も考えられる。

東海大菅生も秋は日當が絶対的なエースであったが、初戦で4投手の継投が機能した為、先を見据えて初戦同様に日當をリリーフに回す可能性もある。

とは言えおそらく日當・東恩納の両エースが先発すると思われるが、上記の通り先発投手が読みにくいのも事実である。

両チームの控え投手の層の厚さでは、初戦の経験がある分だけ東海大菅生がわずかに上回るか。沖縄尚学の上原・儀部は秋の段階ではコントロールに苦しむ場面がみられただけに、東恩納が先発しないとなるとある程度の失点も覚悟の上だろう。

逆に打線はわずかに沖縄尚学が上回るか。
上述の通り、打線のキーマンである1番・知花、4番・仲田がまだ本調子とは言えないとは言え、大垣日大・山田、クラーク国際・新岡と好投手との対戦が続いた点も加味しておく必要がある。

東海大菅生の日當は190cm105キロの長身から投げ下ろす148キロのストレートが武器で、沖縄尚学打線といえどもなかなかパワーでの攻略は容易ではないだろう。

逆に沖縄尚学・東恩納のストレート・スライダーの切れとコントロールが本来の調子であれば、東海大菅生打線も相当苦労するはずだ。

このような試合は攻守ともミスが試合を分けるケースが多い。
1つのエラーや四死球・バント失敗・走塁ミスから一気に相手に流れが傾く可能性があるだけに、きっちりとした野球を展開できたチームが勝利に近づくだろうと考えられる。

また同時に「味方のミスをカバーできるか」「自分のミスを取り返す気持ちを持てるか」といった、メンタルの強さが試される試合になるとも言い換えられる。

選手・監督両方でセンバツ優勝経験がある沖縄尚学・比嘉公也監督。
大会直前に急遽監督に決まった東海大菅生・上田監督。
2人の監督の采配だけでなく、タイムを取るタイミングや間の取り方・表情の変化にもぜひ注目したい。

甲子園ラボ


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