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高松商vs近江 準々決勝 どこよりも詳しく見どころ解説

第104回 全国高校野球選手権大会
準々決勝 第2試合

高松商(香川)vs近江(滋賀)

浅野vs山田 ナンバーワン選手決定戦!
2022年の主役になるのはどっちだ!?

8月18日。
これは近江・多賀監督の誕生日である。
4年前の誕生日は黒星だったが、その試合のウイニングボールは多賀監督の自宅に眠っている。ボールをプレゼントしたのは吉田輝星(現日本ハム)、そう逆転サヨナラ2ランスクイズで勝負が決した「あの」金足農戦が多賀監督の59回目の誕生日だった。

奇しくも同じ8月18日に、今度は2022年のスター選手との対戦となる。今度の相手は高松商・浅野翔吾だ。

近江のエース山田vs高松商のスラッガー浅野。ともに今大会を代表するスター選手と言っても過言ではない。今大会が終わる時、いや彼らの将来性を考えると、もしかしたら後世まで語り継がれる対決になるのかもしれない。

そんな楽しみを想像しながら、この試合の見どころを解説しようと思う。

高松商の勝ち上がり


2回戦 14-4 佐久長聖(長野)
3回戦 2-1   九州国際大付(福岡)

高松商の特徴は何と言っても打線の破壊力である。その核弾頭を担うのが今大会注目のスラッガー1番・浅野だ。
佐久長聖戦でのホームラン2本のインパクトが強く、九州国際大付戦の2打数1安打という数字が物足りなく感じてしまう。
つまりそれほどの打者と言うことだ。

浅野以外の打者も振りは鋭く、九州国際大付の香西・池田の両投手に2点に抑えられたものの、9安打を打ったのはさすがと言える。

初戦でホームランを打った4番の本田が選手変更で不在となったが、代役で4番に入った山田が先制タイムリーを含む3安打と活躍したことがチームを勢い付かせたのではないだろうか。

そして九州国際大付戦の勝利の1番の立役者はエースの渡辺(和)の好投であることは間違いない。
昨年の甲子園で見せた制球難は影を潜め、黒田・佐倉というプロ注目の強打者が並ぶ強力打線に対して見事な無四球完投だった。
特に鋭く曲がるスライダーのキレが素晴らしく、九州国際大付の打者がワンバウンドするスライダーに手を出すシーンが何度も見られたのが印象的だった。

初戦4エラーと乱れた内野陣も、3回戦ではノーエラーの堅守でエース渡辺を盛り立てた。
ただ3回戦ではバントを5回中4回失敗しており、これが2得点に終わった要因となった。
この辺りが改善されているかにも注目したい。

近江の勝ち上がり

1回戦 8-2  鳴門(徳島)
2回戦 8-3  鶴岡東(山形)
3回戦 7-1  海星(長崎)

近江のベスト8進出の立役者は、もちろん大エース山田陽翔だ。3試合24イニングを投げて被安打19、失点6、奪三振34、与四死球5と安定した投球を見せている。何と言っても奪三振34が目立つが、この夏は春までと比べて少ない球数で三振を取れているのが強みだ。
148キロのストレート、スライダー、スプリットと全ての球種が決め球になる。
強いて言うなら序盤に失点が多いのが気がかりか。3試合全て逆転勝ちではあるが、これは序盤に失点しているという事の裏返しでもある。

打線は相変わらず好調をキープしている印象だ。3回戦で試合を決定付ける満塁ホームランを放った4番山田のインパクトが大きいが、今大会のキーマンとなっているのは2番清谷の出塁である。コンパクトなスイングでヒットを量産しており、近江打線の着火剤として機能していると言える。それだけに打率.077と不調が続く1番津田の復調が待たれるところだ。

打線の流れとしては、中盤に疲れの見えた相手投手を一気に攻略するケースが際立つ。その布石となるのが序盤のボールになる球の見極めだろう。これこそが近江打線の真骨頂と言えるのではないだろうか。

この試合のポイント

もはや説明はいらないだろう。

浅野vs山田
プライベートでも連絡を取り合うという「2人の主人公」の力と力の対決を心から楽しみたい。

おそらく多くの観客が入る試合になると思われるが、この対決に甲子園は盛り上がるだろう。そしてその声援が試合の流れを一気に変え、試合を飲み込んでしまう可能性もある。

ただ試合の勝敗を分けるのは意外なところかもしれない。まず近江としては高松商エース渡辺(和)の低めのスライダーの見極めだ。九州国際大付戦の後半、全く付け入る隙を与えなかった好投はこのスライダーを振ってくれたから、とも考えられる。近江打線としてはボール球に手を出し、渡辺を勢い付かせる展開は避けたいところだ。
あとはやはり1番津田の出塁だ。選手変更により横田が不在なだけに、俊足の津田が出塁する事で近江打線は多彩な攻撃が可能になる。
走者を溜めて山田に繋げられるか、そこが近江のポイントとなるだろう。

また高松商としてはイチロー氏直伝の機動力を生かすためにも、3回戦のようなバント失敗には気をつけたい。高松商の強力打線と言えど山田投手を相手にチャンスは多くは作れないだろう。2回戦は守備、3回戦はバントと大会序盤で課題が見えた事をプラスに考えて近江戦につなげないといけない。

山田攻略法としては具体的に、カウントが悪くなると甘いコースにストレートでストライクを取りに来る傾向があるので、そこをを叩きたい。逆に言うと投手有利のカウントを簡単に作らせてしまうと苦しくなる。
特に今大会の山田は球数を減らすために早めにカウントを作りにくる傾向がある。そこを狙うのも一つの手立てと言えるだろう。
長尾監督が山田投手攻略に向けて、どのような策を練ってくるのかにも注目したい。

多賀監督の63回目の誕生日はどんな日になるのか。明日、現地観戦する私は今からもう対戦が楽しみで仕方ない。

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