コーチがカウンセラーになれない理由
「コーチングってカウンセリングと違うんですか?」
「コンサルティングとカウンセリングって違うんですか?」
わりとよく聞かれます。
こちらに,心理師と標榜するのは公認心理士だけということを書きました。
日本では,心理の仕事は,名称独占だけで,業務(仕事内容)独占ではないのです。
ですので,「よっしゃ!今日から,わたしは,開運カウンセラーになろう!」と,カウンセラーの仕事をスタートしてもいいのです。
問題なし!
お客さんが来るがどうかは,その人の腕前次第です!
ステキだ!
じゃあ,腕前ってなに?
わたしが高校生ぐらいの頃,心理学ブームがあって,テレビでは,「●●心理テスト」とか,「心理ゲーム」が流行って,心理学ブームがありました。
臨床心理士の仕事もクローズアップされて,臨床心理学を学んだら,大学院に進んで臨床心理士の資格を受験することも認知されていました。
ですが,臨床心理士の数は,3万人くらいなので,日本の総人口1億2588万人20年10月1日総務省統計局)に占める割合は,0.02%。
すくなっ!
弱小過ぎるわ・・・・・。
わたしの夫は弁護士(このnoteではオットー先生としています)。
オットー先生は,司法試験改革と言って,弁護士の数が少なすぎるから,大増量しましょう改革が起こり,オットー先生もこのキャンペーンに上手く乗って便乗合格した弁護士のひとり。
このキャンペーンで,弁護士不足が解消され,その数も3万人超。
ですが,弁護士も臨床心理士も,資格登録者は都市部が多く,僻地で活動している人は少なく,地域格差もまた問題のまま。
臨床心理士と弁護士ともに,人口に比して,社会的弱小人口比集団に属する夫婦って,なんの因果でしょうか。
弁護士も食えない高学歴職種で,有名なので,学歴さえ高ければ,将来が安泰だとか,ご飯が食べられるというのは,もう通用しない社会です。
常に,自分の「職業キャリア」を見直し,自分で創っていける力,続ける力がないとどんな仕事であれ,厳しいでしょう。
そして,生きていれば,何らかの「困りごと」があるわけで,常にその「問題解決スキル」って,生きるのに必要じゃないでしょうか?
餅は餅屋
自力であーだこーだ,もがくのもいいけれど,お金と時間さえあれば,その問題解決を心理や,弁護士がお手伝いしたり,それぞれの分で専門家のスキルを借りて,解決したほうがよくないですか?
時間とお金は,有限ですから。
もとい,心理職。
●●コンサルタント,●●コーチ,●●カウンセラー。いろんな名称がありますね。(ちなみに,●●心理士っていいのかな?謎)
この違い,みなさん,わかっていますか?
いや,心理の仕事が人口の0.02%なので,メジャーじゃないという声もあります。
でも,先ほど書いたように,やっぱり,専門家にまかせた方が速くて,しかもよりよいのであれば,そっちに越したことはない。
お金がない?※
※行政(地域の役所)では,必ず,無料の専門相談がありますから,わたしたちのセーフティネットの1つです。日本の公的扶助システムってすごんいのですよ!ちゃんと,使ってね!と,ソーシャルワーカー(福祉援助職)資格を持つ身として,ここ,知っておいて欲しいな。第二次大戦後に作られた,こういう公的システムって,すごいのよ!国の力ってすごいなって,精神保健福祉士の資格を勉強していた時,実感しました。
名前の違いってなに?
話は戻って,カウンセラー,コーチ,コンサルタント。その違いってなんでしょう?
公認心理師を基準にすると,心理の仕事は,①保健医療分野,②福祉分野,③教育分野,④司法・犯罪分野,⑤産業・労働分野の5分野にわけられます。
オールマイティに全ての分野をカバーできる心理士もいると思いますが,だいたい2~3ぐらいの分野をカバーしていれば,仕事として機能します。1つの分野しかできない,経験していないとなると,厳しいでしょう。
心理士が提供するサービス
これら5分野で,心理士は活動していますが,職務の内容はどのようなものでしょうか。公認心理師法第2条によりますと
1 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析すること
2 心理に関する支援を要する者に対し,その心理に関する相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと
3 心理に関する支援を要する者の関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと
4 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと
公認心理師 第2条
このようになっています。
わたしは,保健医療分野と教育分野が種なので,カウンセラーの仕事をサービス内容で分けてみます。
1)アセスメント
公認心理師法第2条の1に相当。クライエントの問題の状況の情報を集めて,カウンセリングの基盤となるものです。
クライエントに心理テストをしたり,クライエントや関係者に話を聞いたり,アセスメントの結果をまとめて,助言します。
2)カウンセリング(心理支援)
同法同条2に相当。直接的な援助サービスで,個別相談,グループ相談があります。内容は,広くて,技能訓練,就労支援,研修や教育活動,健康,教育,心理・社会などのカウンセリングや心理療法です。
3)コンサルテーション(多職種連携,地域連携)
同法同条3に相当。コンサルタント(心理士)が自分の専門性を活かして,専門性の異なるコンサルティ(コンサルタントを受ける人)の職業的な課題における問題状況の解決を援助するもの。
大事なのは,カウンセリングは,クライエントとカウンセラーは対等とされていますが,この関係性は,しばしば,議論されるように,カウンセラーが先生的な立場になることが多くなってしまいます。
コンサルティングの場合は,コンサルタントとコンサルティは,どちらも専門家同士で対等とされ,双方向です。
4)心理教育や研究
同法同条4に相当します。ですが,公認心理師の職務からはすっぽり抜けてますが,そのほか,研究と地域援助も臨床心理士の職務です。公認心理師では,研究はないんですけどね(大事だと思うよ)。
というように,カウンセラーって,カウンセリングだけが仕事じゃないんですよ。
コーチやコンサルタントは?
じゃあ,コーチってなに?
コーチと言うと,すぐに思い浮かぶのは,スポーツの世界で,テニスコーチやゴルフコーチという名前ではないでしょうか。
コーチングという指導する技術は,もともとスポーツ界の用語で,その技術がビジネスにも有効であることから,ビジネスの世界にも広まっていったもの。
ですので,心理士(カウンセリングをする)を要請する大学や大学院はあっても,体育のコーチングなど,教員養成としての大学はあるのですが,コーチを要請する大学や大学院って,実はないんです。
だから,コーチングを学びたいなら,大学の体育の教職課程,あるいは,民間の資格取得となるでしょう。
同じように,コンサルタントもビジネス用語です。クライエントの問題を明らかにして,解決策を考えたり,手伝うなどのコンサルティ業務です。
ということは,コーチングやコンサルタントって,職務内容は心理士と同じように,クライエントの問題解決。
逆に,コーチングやコンサルタント業務と決定的に違う,心理士独自のサービス内容っていうのは,なんでしょうか?
それは,やっぱり,メンタルヘルスに特化したところじゃないでしょうか。
この法律は,公認心理師の資格を定めて,その業務の適正を図り,もって国民の健康の保持増進に寄与することを目的とする
公認心理師法第1条
このように,心理士は,業務の中で,心の健康の保持増進に寄与することが定められているのです。
とくに,わたしが心理士が心理士たらしてめていることは,アセスメント(心理状態を観察し,その結果を分析すること)の力じゃないかな?と強く思います。
心理学は人の心を科学的に分析し,研究する学問です。その分析結果をわかりやすく,クライエントさんに伝え,問題解決に向けて一緒に考えていく,そんな関係性が築けることが心理士の仕事。
メンタルヘルス(心の健康)の仕事ってそういうもの。
論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。