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育児に必死なわたしがイチバン欲しかった言葉

「そんなにやらなくてもいいんじゃないの?自分を犠牲にしてまでやること?」

長子の中学受験を終えて,一時的にストップしていたおけいこや次に控えている子たちの中学受験準備に奔走しているわたしに向かって,夫はそう言った。

12月から2月までの3か月間,長子の受験サポートに集中するため,外勤仕事はセーブし,自分でコントロールできる個人事業主仕事だけをしていたのだけど,3月になって新しい塾やおけいこを始めたら,子どももわたしも,まだ慣れない。

ピアノ教室は,4年近く通ったお教室の先生がご高齢を理由に辞められることになり,後任の先生のお教室に移ったので,夫に丸投げした。

そうしたら,見事にグダグダに崩れた。

夫は,

「おけいこ,そんなにやる必要ある?俺はそんなにやる必要ないと思うよ。」

「なんで?じゃあ,あなたが代わりにみてあげるの?子どもを教育してあげられるの?」

「できない。だけど,塾やおけいこの送迎が大変ならやめれば。俺は仕事あるからできないし」

「それができないから悩むんじゃん。葛藤するんじゃん。学校教育だけでいいとは私は思わない。良かれと思って,それぞれのおけいこを選んでいるよ。3年間の塾サポート,疲れたよ」

「じゃあ,塾やめれば。高校受験させればいいじゃん」

「でも,中学受験が先送りされるだけじゃん。高校受験のために,あの子たちが内申点のために教師の顔色を読んでいい子にふるまうことができる擬態ができると思う?」

(わたしたちの住むエリアは,高校受験は当日のテスト一発勝負ではなく,500点を持ち点とすると半分の250点が内申点となり,どんなに当日点がよくても内申点が足りなければ合格は難しいシステムらしい)

「それは無理だな」

「だから,3年間,お母さんたちは,身を削って,子どものために体を壊す程,当り前にやってるよ」

「だから,自分の体を犠牲にしてまでやる必要ある?うちはそんなにやってないじゃん。最低限のゆる受験じゃん」

「はぁ?中学受験のために準備して,塾弁作って,プリント整理して,模試を受けさせて,学校見学行って,塾の親面接受けたり,やることがたくさんあったよ。親なら子どものためだと思うから,無理やりやってるんじゃん」

「でも,自分の体調を崩して,子どもを優先してまでやる?自分のことやればいいじゃん」

「だから,母親はそれができないんじゃん。自分よりも子どもを優先するんじゃん。自分なんてどうだっていいんだよ。子どもがよりよく生きられるように育てたいって,母親は思うんだよ」

「だからって,やるかね」

「母親は子どもを産んだら,もう,子どものことしか考えないよ。だから,みんな子どもを思って必死にやってるんじゃん。自分なんてないよ」

「ふーん。お腹空いた。ご飯食べに行こうよ」

「はぁ?まだ,話終わってないんだけど」

「じゃあ,どうすればいいの。解決法ないんでしょ」

「いや,そういうことじゃなくて。ただ,聞いて欲しいんだよ。解決法なんて求めないよ。葛藤するのが人生じゃん。やりきれない思いを抱えて生きていくのが人間じゃん。もがいて,その中で,最善のことを見つけるんじゃん」

「子育てなんてツラいじゃん。大変じゃん。だから,おかしくなって,子どもを痛めたり,アビューズする人もいるんじゃん。普通の神経状態じゃなくなるんだよ」

「はぁ」

夫は黙ってしまった。

ダメだこりゃ。

でも,無理もない。

だって,母親は子どもを体内に宿した時点で,胎児との「あうん」の呼吸で一体化し,分娩を得て「身二つ」になっても,授乳や排せつの世話をする中で,お互いの存在を認識し,心を通わせる「共同調整」の関係性を形成していく,とても濃い1対1の関係性を築く。

このコアな関係性は,分娩や授乳することで出てくるオキシトシンというホルモンのしわざで,愛情ホルモンでありながら,自分たちの関係性を邪魔するものから子を守るために戦う強さを持つ。

それは,猫の赤ちゃんに近づこうとするならば,母猫がシャーっと牙をむいて威嚇する姿がよく引き合いに出される。

愛の反対は憎しみ,愛憎ってやつだ。

そんなコアな関係性に父親はなかなか入りづらい。

特に,日本の親子関係は,母子関係が強く,父親が介在しないことは,多くの研究で指摘されている。

近くて遠い存在,それが父親。

そ,りゃ,物理的に離れられますわよ,親と子は。でもね,心理的な距離は難しいのよ。

思春期は,親も子もが意識して離れる「心理的離乳」(心理学用語で親からの心理的に卒業)の準備なのよ。

しかもね,心理的な距離って,物理的な距離でもあるのよ。

だって,お腹の中では,胎児は母親の感情の動きに合わせて,体の神経系を発達させていくから,その後の知能発達や対人関係,非認知能力(知能指数では測れない,思いやりとか)に影響するのよ。

感情ってね,神経系の反映なのよ。

と,言ったところで,わからないだろうな。

何度か,わかりやすい「ペアレンティング(育児の英訳,つまり「親業」)」の本を貸してあげたけど,「よくわからない」と,つっかえされたもんな。

「いや,わからないことを知るのが面白いんじゃん」

と思ったけれど,そもそも,「親業」に興味がないんだろうな。

ああ,もう。保健体育や家庭科で,「発達科学」や「ペアレンティング」を教えて欲しいよ。

大学の教職課程ぐらいでしか,「発達科学」「発達心理学」なんて,教えないもんなぁ……。

人間発達なんて,自分の発達なんだから,面白んだけどなぁ。

子育て(親業)なんて,思い通りになんか子どもは育たないし,最高にツラくてしんどくて大変だけど,めっちゃ楽しくて,面白い業務じゃないですか?

だから,わたしは親を止められないんです。

夫よ,あなたも家族のために頑張って仕事をしてくれている。ありがとう。

だけどね,わたしが一番欲しいのは,「ただ聞いて欲しい」だけでも,アドバイスでもないの。

「そんなに自分を犠牲にして,母親業を頑張ってくれているんだね。ありがとう」

それだけ。

子育てに必死過ぎて余裕がなくてわたしも夫に感謝の心を忘れることもある。

だけど,意識して「家族のためにありがとう」って,口にしているんだけどな。

だって,言わないとわからないもん。

ありがとうの押し売りはしたくないけれど,でもさ,こんなに頑張っている姿を「父親の経済力と母親の狂気」(ドラマ化された中学受験マンガ『二月の勝者』の言葉)って,笑って欲しくないんだな。

そんなにまでして,親たちが自己犠牲して,頑張らなきゃいけない,日本の子育て事情って,一体なんなんだろうな,って思う。

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