Canvaのテンプレートが、どのように作られているのかを聞きました
Canvaでは、日本独自のテンプレートを続々とリリースしています。3月には、103点のプレゼンのテンプレートをリリース!
日本のユーザーさんと一緒に作ったことで、とても使いやすいテンプレートが出来上がりました。
みなさん、Canvaのテンプレートがどのように作られているのか気になりませんか?(私は気になります!)
ということで、テンプレート制作を率いるアートディレクターのお二人にインタビューをいたしました。
なお、記事で紹介しているテンプレートは、画像のクリック(タップ)で編集できます。ぜひ使ってみてください!
制作過程1:アンケート&インタビュー
ーー これまでにもプレゼンテーションのテンプレートはありましたが、今回リリースされたテンプレートとの違いはどんなところでしょうか?
これまでにあったものは、英語のテンプレートを日本語に翻訳しただけだったんです。日本のユーザーさんの意見を聞いて作ったので、日本のビジネスシーンで使いやすいものになっていると思います。
ーー どのようにして、ユーザーさんからの意見を聞いたのでしょうか?
まず、350名以上の方にアンケートに答えていただきました。その後、5名のユーザーさんに、1対1のインタビューをさせていただきました。
ーー「こういうデザインが欲しい!」というのを言葉にするのは大変だと思うのですが、どのようにインタビューをしたのでしょうか?
まずは、インタビュー前のアンケートで、ご要望をお伺いしていました。例えば、「シンプルなデザインが欲しい」と書いてあったら、そこを深掘りするようにして聞いていきました。
そして、プレゼンテーションの相手やシチュエーションも聞きました。例えば、学生向けなのか、社内なのか、社外向けなのか… などです。
さらに、Canvaで作ったプレゼンテーションを見せていただいて、「こういう風に写真を使うんですね!」、「このイラストは、どのキーワードで検索したんですか?」などもお伺いして、デザインのイメージを膨らませていきました。
ーー インタビューをして、何か驚いたことはありましたか?
一番驚いたのは、「色でテンプレートを検索している」とおっしゃった方が半分くらいいたことです。
私たちは、「Canvaって、色を自由に変えられていいよね!」と思っていたんです。でも、使う方たちは、色を変える前提でテンプレートを選んでいなかったんです。あまり編集せずに、そのまま使えるものを選ぶ感じだったんです。
英語のテンプレートだと、真っ赤なデザインに黒の文字みたいな、結構ビビッドなデザインが多くなっています。デザインが良くても、それを日本で人気のブルーやグリーンに変えるということは、なかなか想像しにくいことも分かりました。
ですので、ブルーやグリーンといった人気のある色に絞って、テンプレートを作成するようにしました。いつもなら、色の制限はしないんですけれども、今回のプレゼンテーションのテンプレートに限っては色数を絞って作るようにしました。
あと、事前のアンケートでは、ブルーを希望されるユーザーさんがすごく多かったので、ブルーは少し多めに作っています。
ーー「色」でテンプレートを検索するとのことでしたが、どのように検索するのでしょうか?
テンプレートには、メインで使われている色の名前が入っているので、「青」や「緑」といった色の名前を入力して検索できるんです。
テンプレートの名前まで見ている方は少ないと思うので、色で検索できることには気づかないですよね(笑)
ーー 他にも、驚いたことや気づいたことはありましたか?
写真をバーンと大きく使っているテンプレートはかっこいいですし、以前からたくさんあったんです。
ユーザーさんも、「かっこいい!」と思って選んでくださるんです。ですが、バーンと使えるような写真を持っていないので、「テンプレートのデザインを全部消して、ゼロから作ることになっちゃうんです…」というお話もありました。
普段でしたら、写真をバーンと使ってかっこいい構成にしますが、今回は、写真を使う頻度を意識的に少なくしました。
これまで、プレゼンテーションを作って発表するという経験があまりなかったんです。ですが、インタビューをさせていただくことで、実際のシチュエーションとかも理解できるようになりました。
制作過程2:リサーチ
ーー インタビューの後は、どのようにテンプレートを作っていったのでしょうか?
他社のプレゼン資料を探して、「写真はこんな感じで使われているんだね」とか、「こんな色やフォントがよく使われているんだね」といった感じでリサーチをしていきました。
それを、インタビューやアンケートと照らし合わせながら、デザインのスタイルをどうするかを話し合いました。
ーー どんなことを話し合ったのでしょうか?
ガチガチの「ビジネス」テンプレートもCanvaらしくないので、デザインの楽しさを残しつつ、どういったデザインを作ったらいいのかを話し合いました。あとは、ユーザーさんに求められているものを、どういう風にCanvaらしさと融合できるかも話し合いましたね。
リサーチが終わったら、コピーライターさんに資料を渡して、「こんなコピーを書いてください」とお願いしました。
制作過程3:コピーライティング
ーー この情報から、コピーを作るのでしょうか?
はい、そうなんです。今回は、コピーライターさん、すごく大変だったと思います。
「こういうページのコピーが欲しいです」とだけお伝えして、そこから「フードロス対策アプリのご提案」等のコピーを書いてもらいました。
ーー コピーライターさん、すごいですね!
そうなんですよ!いろいろな企業の決算報告書とかを集めて、渡したりもしたんですけれども、今までで一番大変だったそうです。「フードロス対策アプリ、誰か作ってくれないかな…」 と思ってしまうくらい、しっかりしたコピーの内容になっています。
ーー デザインに注目しがちですけれども、コピーライターさんの仕事もすごいですよね。
本当にそうなんですよ!Canvaには、チラシのテンプレートもあれば、メッセージカードやプレゼンテーションもありますよね。用途にしても、ビジネス向けから、恋人向けのものまであるので、コピーライターさんもデザイナーさんも、引き出しの多さが試されます。
親の立場から「子どもにおめでとう」など、なりきりがすごいんです!「ママいつもありがとう」と子供の立場になったり、思春期の子供に「お母さんからのメッセージ」などのコピーもあるので、コピーを見ているだけでも楽しめます。
愛のメッセージは、そのまま使ってもいいかもしれないです。女性のコピーライターさんが書いているので、男性→女性に書くメッセージは、キュンとするメッセージになっています。
制作過程4:デザイン
ーー コピーが出来上がったら、どのようにテンプレートを作っていくのでしょうか?
デザイナーさんには、「こういうデザインを作ってください」という、ガイドラインをお渡ししています。
デザインの期間は2週間ほど、ラフを見ることはほぼありません。最初から完成品を出してもらっています。最初の10日で完成品を全部提出してもらって、ファーストレビューとなります。必要なら修正をして、ファイナルチェックをして完成になります。
プレゼンテーションのテンプレートは、6名のデザイナーさんに担当してもらいました。今回リリースしたのは103点ですので、それぞれ17点ほどのテンプレートを作ってもらった計算になりますね。
ーー ひとつのテンプレートは10ページ以上で構成されていますが、どうしてそんなに早く作れるのでしょうか?
手前味噌ですが、Canvaの優秀さが大きいかもしれません。素材や図形が全部揃っているので、デザインのスピードアップにつながっていると思います。もちろん、デザイナーの皆さんがすごいっていうのもあります!
ーー それをチェックするのも大変でしたか?
皆さんの頑張りを見て、私達もがんばりました(笑)
確認の仕方ですが、まずは全ページを確認しました。次に、プレゼンテーションモードにして、ちゃんとアニメーションが動くかの確認もしました。
でも、ミスなく作ってくれるので、私達は楽をさせてもらっています。Canvaでは、素材やデザインのひとつひとつにコメントやスタンプを送れるようになっています。それを使って「最高♡」みたいなのを送っていました。
ーー 今回のデザインで、苦労した点や気をつけた事はありますか?
インタビューでお聞きしたことを、ちゃんと反映させられるかを気にしました。テンプレートが出来上がった後に、インタビューをした方に見ていただいんですが、「まさにこれです!」というコメントをいただいたんです。すごくホッとしました。ちゃんと役に立つものを作れたという自信にもなりました。
あとは、テンプレートにCanvaらしさを出すことを意識しました。これまでと同じようなテンプレートにならないように、デザイナーさんへの伝え方にも気を配りました。
ーー おふたりから見て「Canvaらしさ」とは、どんな所でしょうか?
普通のデザインがあって、その先に、トレンドのデザインがあります。さらにその先には、この先に来るだろうっていう、デザイナーが見るとグッと来る尖ったデザインがあると思うんです。
Canvaでは、トレンドと尖ったデザインの中間ぐらい… 行きすぎないけれども、流行も取り入れて、新しい提案をするようなデザインを作っています。
Canvaを使ってくださるユーザー層は幅広いので、求められるテイストも様々です。ですので、使いやすい汎用的なデザインから、感性を刺激するような尖ったデザインもあるのがCanvaらしさだと思います。
だからこそ、Canvaは世界各国でテンプレートを作り続けているんだと思います。汎用的なものだけでよければ、ある程度テンプレートを作れば、それ以上は必要なくなると思うんです。
Canvaには、デザインの楽しさを発信する側面もあります。ですので、デザインの楽しさを発信し続けるためにも、テンプレートを作り続けています。
ーー「尖っているデザイン」という言葉が出てきましたが、素敵な言葉ですね!
(ふたり同時に全力で否定して)いやー、ぜんぜん素敵な言葉じゃないんですよ。デザイナーから聞くと、尖ったデザインって言葉は面白いかもしれないです。「こいつ、言ってんなー」って感じだと思います。
アートディレクターお気に入りのテンプレート
ーー Hoshimiさん、今回出来上がったテンプレートで、お気に入りのデザインはどれですか?
ビジネス向けのデザインを指定したので、似たようなデザインが出来上がってくると思っていました。ですが、このテンプレートでは、変わった形のパターンを使いながらも、どんなビジネスにも使える品のあるデザインになっています。
図形(模様)が入ることで、統一感も出ています。特に、このページの模様の使い方が素敵だと思いました。目次ページにも使えると思います。
ーー Yumikoさん、今回出来上がったテンプレートで、お気に入りのデザインはどれですか?
このテンプレートは、ほぼ青一色ですが、見てて気持ちいいなと思いました。
全体的にブルーが使われていますが、見る人の目の動きも意識されているので、どこを見たらいいのかがすごく分かりやすいです。どんな業種でも、社内向け・社外向けにも使いやすいと思います。
グラフも動くので、デザインを楽しめますし、見る人を飽きさせないようなプレゼンテーションが出来上がると思います。
テンプレート一覧&ご協力ありがとうございました
今回リリースしたプレゼンテンプレートは、ユーザーさんのご協力があって出来上がりました。ご協力いただき、本当に、本当にありがとうございました!
今回リリースしたテンプレートは、以下のリンクからご覧いただけます。ぜひ使ってみてください!
さて、アートディレクターのお二人にインタビューをしたことで、Canvaのデザイナーさんやコピーライターさんについて、もっと知りたくなってしまいました!
ということで、コピーライターさんやデザイナーさんにスポットライトをあてたインタビュー記事も製作中です。
最後になりますが、アンケートにご協力いただいたユーザーの皆さま、そしてインタビューにご協力いただいた皆さまに、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました!