見出し画像

Canvaの「中の人」インタビュー ★ Canvaのデザイナーに、おすすめの使いこなし方を聞きました!

こんにちは、CanvaのKyoです。毎日本当に暑いですね。あまりにも暑いので家に籠もりがちになってしまいますが、そんなときこそお家でデザインを楽しむのはいかがですか?

2012年にオーストラリアで誕生したCanvaは、現在では世界の190以上の国々で使われており、100か国語以上の言語でサービスを提供しています。

当初は、英語で作られたテンプレートを翻訳して提供していたのですが、今年(2021年)に入ってから、それぞれの国に向けてデザインをカスタマイズする新たなプロジェクトがスタートしました。日本のデザインチームも、10名のメンバーが一丸となって取り組み、6月までに合計3,000点もの日本向けのテンプレートがリリースできました。たとえば、noteの見出しをおしゃれにできるデザインや、JIS規格の履歴書テンプレートなどがその一部です。

このプロジェクトを率いる2人のアートディレクター「うめ丸」さんと「うふ」さんから、Canvaのテンプレートの便利な使いこなし方や、世界各地に暮らす合計10名のデザインチームの仕事の進め方、そしてデザイン感覚を磨く秘訣など、気になる話を聞きました。デザイナーならではのCanvaの検索のコツは必読です!ちなみにCanvaのテンプレートや素材は「一期一会」だそうですが、その意味とは?ぜひインタビューをお楽しみください。

なお、この記事中で紹介しているテンプレートはすべて、クリックまたはタップすれば直接デザインを開始できます。お気軽にどうぞ!

画像1

動物好きの「うめ丸」さんと「うふ」さん

世界5か国からなるチーム。一番の課題はZoomのミーティング時間設定

ーー毎月数百点ものテンプレートデザインが矢継ぎ早にリリースされていますが、現在関わっているメンバーは全員で何名ですか?

うめ丸さん:われわれ2名に加え、他にコピーライターが2名、デザイナー6名の合計10名です。今年になって新プロジェクトがスタートしてからこのチームが編成されました。このメンバーで集中的にテンプレートを増やしています。

ーーどうやって10人ものチームをオンラインでまとめているんですか?

うふさん:通常の仕事のやりとりはSlackで行っていますが、たまにZoomでミーティングすることもあります。たとえばキャンペーンが始まる前に、全員で打ち合わせしたりする場合など。そのとき大変なのが、ミーティング時間の設定です。ときどき勘違いしてしまったりして。

日本で暮らしている人もいますが、オーストラリア、ノルウェー、フランス、アメリカに住む人もいるので、時間を調整するのが難しいですね。みなさんお仕事が終わったという雰囲気の中で、一人だけ寝起きの人がいたり。特にヨーロッパは時差が正反対なので、ミーティング時間の設定は本当に難しいです。

ーー日本向けのテンプレートはゼロからデザインしているんですか?

うふさん:ゼロからです。たとえば今回のキャンペーンのテーマはカルチャーなどといった感じで、大きなテーマだけ全世界共通で決まっているんです。でもその他の詳細は、各国で決めています。どんな内容にするか、どんなドキュメントタイプにするかなども含め、すべて自分たちで決めています。

--先日4コマ漫画のテンプレートを紹介したのですが、まさに日本らしいテーマですよね。ウサギのイラストを配置しているときは、鳥獣戯画の世界に入り込みました。

うふさん:日本の人はイラストも大好きですよね。

--デザインする上で意識している、日本ならではのコンセプトとは?

うめ丸さん:他の国と比べてどのように差別化するかという視点では考えていませんが、日本で現在好まれているデザインをリサーチしてから作成しています。日本の傾向としては、他の国に比べるとクリーンなテイストが多いという印象です。どの国も、それぞれに個性があるので、世界の傾向と比べて日本がどうだということはなかなか言いづらいのですが、他の国に比べるとすっきりしてクリーンなデザインが多いという気がします。

スクリーンショット 2021-08-06 172057

ミニマルでクリーンなデザインは日本ならでは

ちょっとミニマルなテイストや、写真もやや明るめのものが多かったり、白地に黒文字など、色を多用しない、原色をあまり使わないといったテイストが好まれる印象があります。不思議なことに、韓国とはちょっと傾向が似ているんです。

--東アジアに共通する好みでしょうか?

うめ丸さん:Pintarest(ピンタレスト)などで見て、これはいいな、と思ったデザインが韓国のものだったり。

トレンドと最先端を兼ね備えた「一歩先をゆく」デザインを

ーーこれまでいろいろなデザインの仕事を手掛けてきたと思いますが、とくにCanvaならではの面白い点や、個性的だと思う点について教えてください。

うふさん:最新のデザインをどんどん作れるのは魅力的です。今どきな尖ったビジュアルのデザインを作ってもいいし、思いっきり攻めたデザインにしてもいい。制約がないのがおもしろいです。ユーザーも幅広いので、デザインも幅広くあってもいいというのが魅力です。

スクリーンショット 2021-08-10 113414

攻めたテイストの「和デザイン」

うめ丸さん:以前マニラで、Canvaのデザイナーが集まるワークショップのようなイベントが開催され、Canvaのデザインが目指すポジションについて話がありました。そこで言われたのが、トレンドと先端の間を目指すということ。最先端のものを取り入れつつ、流行りも取り入れる。ちょっと先を行くポジションですね。

スクリーンショット 2021-08-10 113921

どこか懐かしさも漂うフューチャリスティックなテイストのテンプレート

それって通常のクライアントワークではできないことなんです。どうしてもトレンドのデザインを求められることが多くて、それよりもっと先のデザインを手掛ける機会が少ない。そのテイストを提供できるのがCanvaの面白さですね。

でも、バランスが大切だと思うんです。みんなが尖ったデザインを求めているわけではない。日本のユーザーさんも、企業やビジネスで使うとなったら、もうちょっと使いやすいテンプレートが、別の方向性として必要だと思う。そのあたりのバランスも含め、自分たちで考えながらできるというのも自由なところです。

スクリーンショット 2021-08-06 174415

人気の高いプレゼンテーション用テンプレート

うふさん:人気テンプレートランキングなどを見てみると、とてもシンプルなデザインが目立ったり、デザインに凝っているというよりは使いやすいデザインがランクインしていたりするので、そのあたりのさじ加減が大切だと思います。

スクリーンショット 2021-08-06 174217

汎用性があり、使いやすい名刺テンプレート

ーー以前インタビューした方から言われたのですが、Canvaは小規模事業主やサロンオーナー、ショップオーナーなどのユーザーさんに人気が高いそうです。専任のデザイナーはいないけれど、ちゃんとデザインしたいというニーズですね。

うふさん:しかもデザインにこだわりたいという方ですよね。中小企業向けにスモールビジネスキットを作ったことがあるんですが、それにもっと力を入れてもいいかもしれません。

スクリーンショット 2021-08-10 10.00.17

スモールビジネスキットのテンプレート一覧(閲覧は会員登録が必要です)

注:現在は、ファッションおもちゃ飲食店デジタル製品キッチン製品の5つの業界を対象としたビジネスキットがあります。

検索上手がCanvaを使いこなすコツ。ピン!ときたら「いいね」しておこう

ーー個人的におすすめのCanvaの使い方を教えてください。

うふさん:とにかく「いいね」を押しておくのがおすすめです。素材やテンプレート、写真など、なんでも「いいね」を押しておくと、後から「いいね」フォルダーでそれらをまとめて見られます。

スクリーンショット 2021-08-05 190126

デザイン画面で気に入った素材があれば、選択①して、[i] アイコン②から [いいね] に追加③を選択。

スクリーンショット 2021-08-06 190522

[いいね] フォルダーには、デザイン画面左のメニューで [フォルダー] を選択①すればアクセスできる②

うふさん:また、そのイラストなどの系統が好きだと思ったら、[詳細] から [ブランド] に入ってもっと詳しく見ることができます。また、[似ているアイテムを表示] も使えます。同じようなアイテムをが表示されます。おすすめの方法です。

名称未設定のデザイン (39)

[ブランド][似ているアイテムを表示] は便利な機能

スクリーンショット 2021-08-05 190353

写真や素材の一覧画面で好みのものがあれば、右上の […] ボタンから詳細を表示して、[ブランド] からよく似たテイストを検索できる

うめ丸さん:素材の数が多いので、ほしいものを見つけるのが難しいということは言えます。Canvaの使いこなし方のポイントの一つは、いい素材を見つけるということですね。あとは、自分が作りたいものにぴったりはまるテンプレートをすぐに見つけることができれば、時短にもなるし、うまくデザインできて使いこなせる。

それには、そのとき自分が使いたいテンプレートだけではなくて、ふと気づいたときに、使いたいデザインの隣りにあるテンプレートも好みだと思ったら「いいね」しておくなどが重要です。

うふさん:というのは、二度と出会えないんですよ、種類が多すぎて。同じキーワードで探しても巡り会えない。一期一会と思っていいです(笑)

うめ丸さん:あと、最近はフォントの数がすごく増えたので、自分が使いやすいフォントや、漢字がちゃんと揃っているフォントを、フォント専用のデザインとしてまとめて作成しておくのがおすすめです。ちょっとクセのあるフォントや、ファンシーなフォント、ビジネス向けのフォントなどに分けて。

プレゼン資料などドキュメントなどを作るときに、そこにアクセスすればすぐにほしいフォントが見つかるので便利です。

ーー自分のためのチートシート(資料)ですね。そういえば、4コマ漫画のテンプレートは、イラストのチートシートとしても使えるように作られているとか。

うふさん:同じテイストのイラストをまとめたチートシートがユーザーさん向けにあってもいいかなと思うくらいです。デザイナー向けにはあるんですよね。プレゼン資料を作る場合などで、イラストを数点使うとき、同じテイストのイラストがほしいですよね。

スクリーンショット 2021-08-06 194533

イラスト集としても便利な4コマ漫画のテンプレート

ーーCanvaのテンプレートをデザインするとき気をつけているポイントを教えてください。

うめ丸さん:普通のデザインとテンプレートのデザインを作るときの大きな違いは、写真やテキストを編集したときに、デザインが崩れないようなレイアウトにすることです。編集しやすいテンプレートを作るということを念頭に置いています。

うふさん:ユーザーさんがすぐに使えるテンプレートや、使いやすそうと思えるようなテンプレートデザインを心がけています。たとえば日本人の写真を追加するなど。フォントも、おしゃれ感を追求するだけではなく、実際にアレンジしやすいものを選んでいます。

テンプレートデザインって、リリースしてから実際に誰かが使ってはじめて完成するものなので、「使ってもらえるデザイン」を意識して作っています。

うめ丸さん:テンプレートを選ぶときに失敗しないポイントは、たとえば美容室のチラシを作るときに、美容室っぽさのあるテンプレートを探しがちですよね。文字や写真から「美容室」とわかるものなど。

もちろんそこから始めるのもいいんですが、どちらかというと入れたい要素、つまり写真を何枚入れるとか、テキスト量はこれくらいという観点からテンプレートを選ぶほうが、デザインのレイアウトが崩れずにカスタムできると思います。そこが失敗しないポイントかと思います。

というのは、色や写真はどのようにでも変えられるので。たとえばペット用品のチラシを美容室のチラシに変更するのも、要素の数が同じなら変えやすいんです。入れたい情報量と同じ情報量のテンプレートを選ぶのが大事だと思います。

ーーデザイン感覚を磨くにはどうしたらいいでしょう?

うふさん:よく言われることではありますが、ギャラリーに行くなど、なんでもいいですが興味のあることをやってみるのがいいと思います。デザインと直接関係なくてもよくて、頭や感性が刺激されていれば、デザインするときに後々役立ちます。「好き」や「空間が気持ちいい」など、ポジティブな気持ちをいっぱい蓄えるのがいいのかなと思いますね。

うめ丸さん:それいいですね。私はいいもの、好きなものを入れるのが大切だと思うのですが、中でもその一流の作品を観たり聞いたり触れたりするのが重要だと思います。皆からすばらしいと評価されているものって、伝わりやすかったり、受け入れられる理由があるから人気になるんです。それはスポーツでもいいです。もしテニスが好きなら、一流選手のプレーってどんなだろうとか、もし習字が好きなら一流の書家はどんな字を書くのかなど、生のものを実際に見て感じることが大切だと思います。

でもデザインってセンスなんですかね?私は、デザインにはあまりセンスが関係ないような気もします。

ーー論理的な世界でしょうか?

うめ丸さん:私はデザインとは情報整理だと思っています。デザインのベースはそういうところにあるような気がしています。もちろん、きれいな色合わせなどの感覚も大事なんですが、どうすれば相手に伝わりやすいかと頭で考えることもデザインにとって重要なことだと思います。どうしてもビジュアルで見られがちですが。

うふさん:どちらもバランス良く持つのが必要かもしれません。論理的な面も持っていないと、せっかくがんばってデザインを作成したのに、どこがいいのか言葉にできなかったら相手に伝わらない。日頃から、いいなと思うものを蓄えて、同時に、なぜそれが自分に心地いいのかを言葉にできるようにしておけばよいデザインができると思います。

【インタビューを終えて】

毎月たくさんのテンプレートを魔法のように生み出すCanvaのデザインチームに、その秘訣をじっくり聞いてみました。Canvaは世界のさまざまな国でオリジナルのデザインが作成されているのですが、日本のデザイン感覚が韓国に通じるものがあるというのも、気候風土に共通するものがあるからかもしれません。

個人的には、デザイン感覚を磨くにはポジティブな気持ちをたくさん蓄えることが大切、という言葉が沁みました。デザインってこの世に美しいものを生み出すクリエイティブなんだなと、腑に落ちる思いです。インタビューを読んだ皆さんも、Canvaを使ってすてきなデザインをたくさん作ってください!


この記事が参加している募集

オープン社内報

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

今すぐCanvaでデザインしてみよう!