見出し画像

ホーチミン滞在記/戦争証跡博物館

滞在記といっても実質6時間くらいであります。
正直なところ街中でバイクに圧倒されて神経がすり減ってしまい、早々に空港に逃げ帰り、カフェでバインミーとアイスティーを頂きながらこれを書いています。暑いので6時間で4回飲み物を調達しましたが、真水のペットボトル以外飲み物が全部甘いんだが。うーん、なんでベトナム人これで太らずにいられるんだよ?

韓国焼肉みたいな味だった

パスポートにスタンプを押してもらったのがだいたい昼の一時頃で、そこからベトナム戦争証跡博物館に向かうべく、タクシーアプリのGrabを使おうとしたら、カードが通らない。よくある外国発行のは受け付けないってタイプのエラーか?じゃ現金か。そもそも使い方もようわからんな。んー、めんどくさいなと思って立っていたらぼったくりタクシーの客引きに捕まった。
ぼったくりだとは知っていたが、600円くらい余計に払えばそれ以上価格は高くならず、タクシー捕まえてくれて、ベトナム語で運転手に目的地を言ってくれるらしい。ここまでで既にベトナム人はあんまり英語喋れないらしいと痛感していたので、ならいいや、と頼むことにした。
結果的にタクシーのおいちゃんとチャンポン英語で仲良くなって、博物館の後も迎えに来てくれて空港まで送り返してくれたのでラッキーだった。(あ、ちゃんとお金払いましたよ)
アプリ覚えるより生身の人間の方が色々スムーズで楽だぜ。

博物館の外には戦車や爆弾が展示されている。

中の展示物はカメラを向ける気にどうしてもなれず、写真はこれだけです。申し訳ない。

展示を見ていく中で一番恐ろしかったのは、最初の写真は千切れるような痛みを覚えたのに、全ての階を回り終えた頃、自分の中にどこか耐性が出来てしまったことだった。確実に何かが麻痺していて、それが全ての写真の中の人類に起きたことなのだと実感として背筋に降りてきた時、凍りついた。これが戦争の本当の恐ろしさだと悟ったからだ。私は私のバランスをたった2時間半の写真鑑賞で、無自覚にも崩された。それが恐ろしくて膝が震えた。

写真の中の人々は皆、精神がN極かS極かに振り切っていた。平和運動のために命を投げ出すのも、無抵抗の赤子と母親を射殺するのも、どちらに振り切っているかに違いこそあれ、何かの人間性が吹き飛んでいる。展示された写真に誰ひとりとしてバランスのとれた人間はいなかった。
(一階部分の世界各国で起きた平和運動のコーナーだけが唯一の癒しで、心のバランスを戻してくれた。もし訪れるなら、先に階段を上がって、最後に一階を見て終わることをおすすめする。)

私は、受け入れる、理解するというのはいつも中庸であると思う。全ての人間がヤジロベエのように揺れながらも中庸を保つ。それこそが人類や宇宙そのものの自然な姿だと。
戦争はそれを根本からぶち壊し、世界のバランスを基盤から崩れさせる。その前ではどんな生物も真っ直ぐに立ってはいられない。
確かに戦争犯罪の悲惨さはどの写真にもある。
だが、おそらくこの博物館が伝えたいメッセージはもう一枚下にあると思った。陳腐ではあるが、来てよかった。

ただ、気になったのは、ベトナム人の親子が小学生くらいの子供を連れて来ていたことだ。
それも一組じゃなく、結構たくさん子供を見かけた。

9歳くらいの時、親に広島の原爆資料館に連れて行かれたことを思い出した。昔からHSPなのでとても嫌だったのだが、親が見た方がいいからと半強制的に入館した。
結果、9歳にもなって半年以上私は夜眠れなかったし、トイレにも一人でいけなくなった。
20歳過ぎまで、いや、今だにその記憶がトラウマになって深く深くのこっている。実際、まだ原爆資料館のジオラマは思い出せるし、もう一度入ろうと思うと足がガクガクして動かない。
確かに歴史を学ぶのは大切なことであるが、ショッキングな写真や展示物は精神がしっかり成熟してからでも十分間に合うと思う。
ショック療法がいつも効果的だとは思わない。逆に大切な学びから足を遠ざけてしまう危険性を孕んでいる。


さて、終わった後中心部をぶらぶらしても良かったのだが、なにせピーピープープーガーガーと騒音に満ち溢れている。見ているのは楽しいが、神経がヤバい、逆撫でされる。でも建物はめっちゃ可愛い。


でも15分歩いて、あ、これあかんわ。空港戻ろ、となる。
戦争証跡博物館に戻り、行きに助けてくれたタクシーのおいちゃんに迎えに来てや、と電話する。
ぜんっぜん伝わってないので、ピックアップ!を繰り返し、中学英語の三語文をSMSし、やっと伝わる。
おいちゃんは空港に戻っていたようで、20分かかるよ、とSMSがくる。

待っている間、博物館の入り口付近でモノを売っていたおいちゃんたちと大盛りあがりで、わいわい冗談を言い、意気投合してしまった。
いいな、ベトナム。言葉がチャンポンでもFeで全部通じ合う感じ、最高だろ。
なんだか長年付き合ってきた友達みたいに肩を叩き合って楽しい時間を過ごせたので、切手を売ってたおいちゃんから切手帳を記念に買った。
ハンモック売ってたおいちゃんとサングラス売ってたおいちゃんからはブーイング来たけど、ごめん、それは流石に荷物にしかならん。
ぼったくりとかそういうん、割とどうでもいいんかもしらん。くれた時間とか思い出に見合う分の値段なんか誰もわからんよな。
タクシーのおいちゃんもなんか乗ってるあいだにテレビ電話で子供に繋いでくれて、みんなでウェーイして楽しかったし、その家族に自分の働いたお金を使えて超幸せだった。
ああ、やっぱ人間って最高だよ。みんな大事だよ。壊さないでいこうよ。


さて、後2時間で福岡行きに乗れます。
明日からは日本だ。
いやー、しかしアジアまじで暑いわ…。

追伸。街ってそれぞれ匂いがあるじゃないですか。ホーチミンの匂いは柔軟剤みたいないい匂いと揚げ物の匂いが混じってるんですよ。
何これ、お香なの?柔軟剤?香水?しってる人だれか教えて。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?