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鶴亀杯選者の一人、亀山こうきの特選6句の発表(亀山賞)

 暑い日が続いていてうんざりする夏ですが、皆さんお元気に過ごされていますか。みんなの俳句大会。ご参加いただいた方も、そうでなく眺めて楽しまれた方もお疲れさまでした。

 ご投句いただいた句から、独断で選んだ上位6句+予選6句の計12句を紹介させていただきます。面白い句が多くて選ぶのにとても苦労しました。皆さんの俳句を見ていると自分も頑張らねばという気持ちになります。

 それでは早速、

・鶴亀杯の亀山賞(特賞)


くちづけを知らぬくちびる青鬼灯

作者 てまり さん

 めっちゃタイプの句です。まず韻律がいいですね。「くち」という同じ音が踏まれ、とても読みやすいです。松尾芭蕉は俳句を作る時は「舌頭に千転せよ」といいました。できた17音の何度も声に出してみて、読み易いか、言いにくくないかを確かめよということです。この句も一度見たら忘れないような言いやすさ、言葉の平易さがありますね。

 加えて取り合わせの良さです。唇と青鬼灯の関係がありそうでなさそうな微妙な距離感が巧いですね。口づけを知らない「青春」の「青さ」。それを「青」い鬼灯が象徴しています。いつか、その唇が赤く実ることを信じています(笑)

 素敵な句をありがとうございました。

・亀山賞次席(2位)


ひまわりはきっと答えを知っている

作者 らくぼろ さん

 口語調の俳句ですね。どんな問いに対する答えなのかはわかりませんが、きっとひまわりならば知っているのでしょう。ひまわりとひらがなで書かれたことで、とても柔らかい感じの句になりました。前向きな爽やかな句です。

・3位


白玉をつついて夫の愚痴ひとつ

作者 祐希 さん

 光景が浮かんできますね。冷房の効いた部屋で、ママ友同士の会話が聞こえてくるようです。まあ愚痴一つで済むのなら、とても幸せなことだと思います(笑)ちなみに俳句で「夫」は「つま」と読むことが多いです。豆知識でした。

・4位


思春期に酷く曲がった胡瓜噛む

作者 チューダ(知遊陀) さん

 『酷く曲がった』という言い回しがとても素敵です。自分の苦々しい学生時代を思い返してしまいます。胡瓜という飾らない素朴な感じも句の内容にマッチしていて、どこかほほえましい気持ちになってきますね。

・5位


空っぽの鞄に詰めた夏の風

作者 わか さん

 夏の風を鞄に詰め込むという発想が面白いですね。夏以外の季節でも句としては成立しそうですが、戦争やお盆など、「死」が匂い来る夏の風。その風を「空っぽ」の鞄に入れる。色々と考えさせられる句です。

・6位


遠花火まだ見ぬ色の火を灯す

作者 十六夜 さん

 どんな色の火を灯そうとしているのか、とても気になりますね。多分それは初恋。今まで自分が感じたことのない火が、心に点ったのでしょう。「遠花火」という静かさを感じさせる季語のチョイスもばっちりです。

・その他最終候補6句の紹介

夏の恋リセットボタン押して次
これでも母 さん

太陽の恋封じ込めアイスティー
しろくまきりん さん

縁側に亀とならんでゐる時間
香田ちり さん

夏の朝飼育係は歩を早め
夕凪遙 さん

七色の海月があおい海の底
ママン さん

誤嚥性肺炎案ず燕の子
菊池洋勝 さん

・他の先生方の選者賞のリンク


・ご投句一覧


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