見出し画像

【鶴亀杯】めろ賞(神6句)


まず、鶴亀杯にご参加頂いたみなさまに、厚く御礼申し上げます○┓アリガトン大賞、特別審査員賞も続々決まり、気づいたらついに最終日。いや~終わっちゃうね。寂しいね(´めωめ`)ンムゥ

大賞はぷーさん。みなしゃま↑の記事に祝福コメントをぜひ( ●´ސު`●)



さて。公式審査員であるオイラも、めろ賞を選ばせて頂きました。ただ、発表前に、少しだけオイラの話を聞いていただけないですかね?





あのですね、鶴亀杯運営からは「12句選んで欲しい」と依頼されたんですよ。でね、勿論一句一句真剣に向き合って、好きな句の中から、更に「これは!」と思った句を絞り込んでいったらですね、58句もあったんですよ。何すかこれ。1人で審査員全員分賄えるくらい残っちゃってるわけですよ。


絞って58ですから。この状態からいきなり12句にするのはリームーだと。トム・クルーズの主演映画だと思ったわけですよ。んで、まずは最終選考として24句に絞ろうと。ヒーヒー泣きながら、無理矢理24句に絞ってね。この時点で、妙な達成感があるわけですよ。やりきったと。やりおったと。金太郎でかしたぞと。


いや会長!でかしてないんすよ何にも!(©高橋克典)こっから24→12で半分にしないといけないんすよ!もう、頭と目と心臓と腰が痛い。ごめんごめんよぉ(´;ω;`)と1句1句に詫びながら、予選通過の12句を決めました。


ただ、どうしても選抜チームの24句は全句取り上げたくて。運営チームのジャイアンかっちー兄はんに泣きついたんですよ。「めろ賞以外の俳句も紹介させてくれや~(๑`→Д←´人)」って。そしたら偽みんみんかっちー兄はんは言ってくれましたよ。「めろ審査員の自由でええんやで」って。さすが北大路欣也かっちー兄はん!おおきに!


というわけで、めろ賞は以下のラインナップでお届けしやす٩(๑•̀ω•́๑)۶

【めろ賞(神6句)】
超絶ウルトラバチコンときた句 ※本記事です

【準めろ賞(鶴6句)】
超バチコンときた句 ※19:40頃UPします
【めろ選抜(亀12句)】
バチコンときた句 ※19:50頃UPします

前置き長いんだよお前はいっつも



そしてやや蛇足ですが。「ひたすら好きで選ぶ」と公言しておりましたが、オイラが「好き」と感じるのは以下の5大栄養素です。上から優先順位が高いです。

【審査員めろが「好き」だと感じる5大栄養素٩(๑•̀ω•́๑)۶】

①季節感(夏らしさ)があること
俳句として整っていることよりも、季節感を重視しました。みん俳の募集要項に書いてあったのが「夏っぽい句」だから。

②物語を感じさせること
想像力を掻き立てるような俳句が好きなのです。ストーリー性があるやつ。

③誰もがわかる平易な表現で書かれていること
つまりわかりやすさ。難しいことを難しく書くのは誰でも出来るから。

④軽快さがあること
重いテーマがダメってことではないですが、夏は軽い感じが合うかなと。

ユーモアがあること
必須ではないけど、これはあると更に嬉しい。可笑しさや微笑ましさね。



※「俳句として整っている」「詩心がある」といった部分は、他の審査員の方々ほど重視していないと思います。宣言通り、ひたすら好みで選んでますので、その点はご了承ください○┓

無理に寄せないで頂きたく、ここでどさくさ発表


某TBSの大みそかの格闘技特番なみに前フリが長くなってしまいましたが、いよいよ!鶴亀杯・めろ賞(神6句)の発表です(*✪д✪*)イクデー






第1位

むすおびぷんとふくれてもど梅雨つゆ
チズ



何度読んでも素晴らしいです。夏らしさ、軽快さ、ユーモア。そしてかわいらしさ。オイラが夏の俳句に欲しいと思ったものが全て詰まっています。

帯が上手く作れないこと+中七のおーるひらがな=浴衣の着付けに慣れていない少女を連想しました。「ぷんとふくれて」は帯の様子ですが、それと同時に「もー!これから夏祭りなのに全然形が決まらない!」と嘆く、ふくれっ面の少女の画が浮かんできたんです。

季語「戻り梅雨」。この選択も絶妙。「戻り梅雨」とは、夏の晴天が数日続いた後、また天気がぐずついてしまうこと。このふくれっ面少女のパターンで、ストーリーを想像してみましょうか。

定期テストやらなんやら(梅雨)

夏休み。待望の夏祭りが待っている(数日の晴天)

帯が上手く作れなくてしょんぼり(戻り梅雨)

この季語選択においても、少女の気持ちとリンク出来るようにしているんですよね。上五+中七が、ちゃんと季語と響きあっています。


さらにさらに。想像を妄想の入り口辺りまで飛躍させてみます。

ママ「・・・どうしたの?」
少女「帯がうまく作れないのっ!」
ママ「それで怒ってたの?笑」
少女「だってーーーはじめてなんだもん!」
ママ「しょうがないわね~笑 ほら、後ろ向きなさい」
少女「・・・・・・雨、止むかなぁ」
ママ「天気予報だと、夕方前には上がるみたいだけど、どうかしらね」
少女「お祭りいけないぢゃん!」
ママ「私に言わないでよ笑」
少女「そうだけどぉ…」

ママが笑顔で優しく帯を作ってくれるけど、少女は未だふくれっ面。でも内心は、ママありがとうってきっと思ってる(妄想はこの辺にしときます)


また、「ふくれて」「梅雨」という決してプラスとは取れないことばが複数使われているにも関わらず、重苦しさを感じさせないのも特筆すべきところ。むしろ軽快さを感じさせてくれます。これは「ぷん」というひらがなのオノマトペが効いてるんですよね。ことば選びと語順が、緻密に計算されているんです。

そして季語についてもういっちょ。「浴衣」が夏の季語なので、安易に使ってしまうと「戻り梅雨」が使いにくい。みん俳は季重なりもOKだけど、出来れば季語は一つにして「戻り梅雨」を際立たせたい。この句は「戻り梅雨」が命ですから。つまり、浴衣を別のことばで表さないといけない。そこで上五「結び帯」を持ってきたと。作者がしっかり時間をかけて、吟味して見つけてきたことばだなと伝わってきます。ここも好印象でした。

季節感・物語性・ユーモア・軽快さ。全て良し。完成度の高い夏の秀句だと思います。チズさんおめでとう。めろ神6、センターはキミだ m9(✧≖‿ゝ≖)


第2位

白玉しらたまをつついてつま愚痴ぐちひとつ
祐希



この句も、季節感・物語性・軽快さ・ユーモア、全て兼ね備えています。何より、祐希さんのことば選びがビッカビカに光っているのが選出理由です。

「白玉をつついて」。癒しのスイーツタイム。オイラも大好きです。白玉を使ったデザートは色んな種類がありますね。ぜんざい、あんみつ、パフェ。あんこもフルーツもバッチコイ。白玉は汎用性メチャ高です。

デザートの種類が限定されてしまうと画が固まってしまいますが、季語「白玉」をシンプルに使ったのが◎。まずは、自分好みの白玉スイーツを想像する楽しさがあります。


そんな至福の時間に、夫の愚痴カットイン。せっかくの楽しい一時を、夫の愚痴がつついてきたと。白玉をつつくかわりに、爪楊枝で旦那の手をつついてやりたくなりますね笑 つまりこの「つついて」が、白玉にも夫の愚痴にも効いているんです。そして「ひとつ」。つついている白玉も、旦那の愚痴も1つずつ。これも両方に掛かっている。


甘くて癒される、幸せの象徴の冷たい白玉。しょっぱくて癒されない、イライラの象徴の生ぬるい夫の愚痴(※感じ方は個人差があります)。白玉と愚痴がバチコンな対比関係を形成している上で、そのどちらにも「つついて」と「ひとつ」が効いているという、超高度なことば選びをしているんです。


また、この句は声に出して読んでも気持ち良いんです。
しらまを/つつて/つまの/ぐとつ
17音中、タ行を9音使ってます。全ての単語(文節)にタ行を忍ばせている。声に出した時の心地よさ、軽快さを生んでます。これを無理なく自然な形で作れているのがスゴイよね。

「もういい。この白玉を、夫の愚痴もろとも呑み込んじゃえパクッ!」みたいな画が浮かびます。夏らしさ・軽快さ・物語性・ユーモア全部乗せ。それを、誰しもがわかる平易なことばで表現できているのが実に見事です。祐希さんおめでとう٩(๑•̀ω•́๑)۶





第3位
はらにせがまれて枇杷びわふたつ
すうぷ



上五+中七「胎の子にせがまれて食む」。うん、まああるよね。下五「枇杷ふたつ」。素晴らしい。ことばのチョイス、絶品。下五の鮮やかさで一気に神6入りした句です。


すうぷさんもご自身の記事で言及していたようですけど、枇杷の形って妊婦っぽいのよね。「もしかして双子を身ごもっていらっしゃったのかな?」と連想させるような「ふたつ」。ただね、思ったんだけど、通常時に枇杷ふたつ食べるのって結構きつくないですか?笑


だがしかし。だがしかーし。妊娠時は食の好みが変わります。枇杷ふたつなんて、余裕なのかもしれない。いやむしろ、お腹の子のせいにして、ただただ自分が「枇杷を食べたい!いや食べてやる!」の一心だったのかもしれない。なんせふたつだからね笑 ここが効いているのよ。ひとつでいいじゃんって。何でふたつなのよって。だって、枇杷は高いからね。

妻「枇杷ふたつ買ってきて」
夫「枇杷ね。でも、ふたつもいる?ひとつで良くない?」
妻「この子がふたつ食べたいって言ってんだから、ふたつ買ってきてよ!(キッ」
夫「あ、うん…ごめん。わかった」


こんな感じで、すうぷさんは旦那さんに迫っていたのかも知れない笑 そんな妄想も楽しい一句ですよね。

もちろん、母になる喜び。命を宿したことの尊さ。生まれくるわが子への思い。これらも感じられます。でも、それだけじゃない。「枇杷ふたつ」が、読み手を笑顔にしてくれます。ユーモアがあります。


また、すうぷさんはこの御句も印象的でした。
手花火の手に手を添へて見つめをり
オイラの心をガッチリ捉えたすうぷさん。文句なく神6だぜ(☆ФωФ)b




第4位

前髪まえがみがデコにいつくばる炎暑えんしょ
野乃



これはもうね。デコよデコ。デコで一本勝ち!な句です。

今年は6月から暑すぎますよね。鶴亀杯でも、シンプルに暑さを詠んだ俳句も結構ありました。その中で、この句が最も暑さを上手に、リアルに、軽快に、コミカルに描けていると感じました。


まー何たって「デコ」のチョイスね。「額」でも「おでこ」でも「前頭部」でもないんだよ。「デコ」ですよ「デコ」。何よこのカタカナ2文字笑 みんな、日常会話で「デコ」って使う?使わないでしょ。使うとしても「デコトラ野郎」ぐらいでしょ(使わねえし意味も違うわ)

自分が普段使わない、或いはなじみのないことばや言い回しが、俳句で使われている。選者は「こんな言い方するかな?」と引っかかる。この引っかかりは、審査においてマイナスに作用することの方が多いと思います。でもね。この「デコ」は、その違和感が思いっきりプラスに作用してんのよ。なんでだろうな~響きなのかな。ちょっとかわいいもんね笑



中七以降の「這いつくばる」って表現も、まさに!って感じ。安易に「汗」ということばに頼らずに、ここまで汗だくな画を描けるのは、野乃さんが普段から、ことばを大切にしていらっしゃる証拠だと思います


わかりやすくストレート。夏らしさ全開でユーモラス。汗よりも氷よりも、夏を語る「デコ」。これにやられました。カタカナ2文字が、句の中で光り輝いています。季語も直球の「炎暑」がバチコンでしょう。これぞ夏の句。大好きです。神6入りおめっとさん( ●´ސު`●)






第5位
活発かっぱつ亀見守かめみまもれる日焼濃ひやけこ
香田ちり



まず、鶴亀杯に亀三句で真っ向勝負される姿勢が素敵です笑 もちろん、それだけでは選出できないですけど、この御句は、夏らしさとユーモアを兼ね備えた佳句だと感じました。

個人的には、中七「見守れる」がポイントです。ちょっとだけ文法の話をします。苦手は人はスルーしてください。ここね、「見守る」じゃなくて「見守れる」なんですよ。一字の違いが大違い。

この助動詞「れる」は、尊敬・受身・自発ではありません。可能表現です。「亀を見守ることができる!(やったー!)」ってことです。つまりね、この人(=ちりさん)、亀めちゃめちゃ好きなんだよ笑 見守ることに愉悦を感じてるわけですよ。めっちゃ日焼けしちゃうのに(´め∀め`)ワハハ
 

ここがもし「見守る」だったら、ああ、亀を見てるんだねで終わり。きっと神6には選んでいなかった。「見守れる」だからこそ、伝わってくること、感じ取れることがあるんです


まあね。亀はそんなの関係ないって感じて、ゴーイングマイウェイに闊歩してますよ笑 作者はそんな亀を、見守ることが出来る喜びに浸りながら、ただただ見守っている。そんで気づいたら、ガッツリ日焼してる。それを下五で「日焼濃し」とやや強引に纏めてるところも、個人的には好きですよ。「濃しってなんだよ(´め∀め`)ワハハ」ってツッコみたくなるもん笑

あと、香田ちりさんだと、こちらの御句も好きでした。
縁側に亀とならんでゐる時間
俳句としては、こちらの方が整っていらっしゃると思いますが、オイラは夏らしさとユーモアを重視して、前出の句を選ばせていただきました○┓

神6入り、亀さんにもぜひご報告ください(ノシ*`ω´*)ノシ





第6位
ビーチ沿気取きどってあるにじなか
No.6 CH.(時々、助六)



No.6 CH.(時々、助六)さんへ。先に断っておきます。縦読みは審査の要素に一切入っておりません。あと、お名前と順位も何ら関係ございません笑

この句は、季語を含む下五「虹の中」がすごく深いんですよ。ただの虹じゃないのよね。虹の「中」がポイント。裸の王様じゃないけどさ、「中」にいるから、思い込めるというか。一歩外に出て、自分を客観視してごらん。ビーチで気取って歩くなんて、恥ずかしすぎて死にそうになるよ笑 


「虹の中」にいるからこそ、気取って歩くことができる。自分、イケてる!って勘違いできる。夏だしいいよね!って感じで開き直れるんよね。夏の勢いを句からガンガン感じるんよ。

でもね、改めて考えてみると、本来虹の中にいる時って、自分が虹の中にいることは自覚出来ないはずなんですよ。つまり、この「虹の中を歩いている」っていうのは、完全に思い込みなんだよ笑 またそこに可笑しみがあるな~と思ってね。まあでも、夏だしいいじゃん!みたいな軽快なノリを感じる。そこも好きなんです。


まーしかし。ビキニの縦読みからの着想とはね~。偶然できた夏の俳句の頭文字を読んでみたらビキニじゃん!なわけないもんね(だとしたら天才)。


夏のビキニが起こした虹色の奇跡」と書くと、No.6 CH.(時々、助六)さんに失礼かな笑 でも本当に、No.6 CH.(時々、助六)さんが、ビキニから考えて下さったことで、このように素敵な俳句が生まれるわけですから、何から着想したって良いってことですよ俳句なんてのはね。ホントかよ。

No.6 CH.(時々、助六)さん、神6最後の1人おめでとん(´●ω●`)y-




【他の審査員賞はコチラからヽ(•̀ω•́ )ゝ✧ 】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?