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審査員賞 うつスピ 鶴亀杯

まずは
ストローに会話を探すアイスティー
ぷー (俳号 風)

風さん385句の頂点おめでとうございます!

省略の上手く効いた、俳句の上手い方の詠まれた句だなぁと思っていました。
私が補って詠んだのは、
(テーブルの上にはいろいろ話す材料があるかもしれないけれどそれも上手く話せず、)ストローに(さえ)会話を探す(ぐらい気まずい雰囲気で)アイスティー(を飲む二人)
という感じでした。

私の中では上司と部下で、「この上司と何を話せばいいんだー。」という思いを思い出しました。
でも、風さんに寄せられたいろんなコメントを見ていくと、
この気まずい感じの雰囲気は、
みんな感じているものだったり、恋人との雰囲気を思い出した人だったり、
たくさんの人の共感を集めた結果の大賞だったと思います!

本当に、リアルに、気まずい空気感と、沈黙の中でアイスティーの中の氷がカラカラという音まで聞こえてくるような俳句でした!
素敵な俳句をありがとうございました!

私も大賞を取ったことが無いので、次回、みんなで大賞をめざしましょう!


審査員賞。
6位から順に発表します。

作者名等分からない状態で鑑賞して、
やっとこの記事を書くにあたり作者名を確認しに行くという感じです!
私もドキドキです!

第六位!

サングラス掛けたついでの旅支度


めいさんの作品です!

俳句はきっと、「因果関係がまっすぐ」
(※例 サングラスを掛けている旅の途中)
(太陽光を防ぐためにサングラスを掛ける)等だと、
意外性が無い、季語の説明になってしまうのかなと思います。

少し鏡の前でサングラスを掛けたら、心がうきうきして、
旅行気分になったのでしょうか。
ぜったい、室内でサングラスを掛けたら視界が暗くなって、旅行の準備なんてしにくいですよね!(笑)
そんなことも読者に思わせつつも、

旅支度をサングラスをして、ウキウキな気分でしているのでしょうか。
作者のウキウキな気分が伝わってきて選ばせていただきました!
楽しそうな作者が浮かんできました。
口笛を吹いたり、鼻歌とかも歌ってそう、いやむしろ熱唱していてもおかしくないぐらいのウキウキ感が伝わってきました!

「サングラス(を)掛けたついでの旅支度」。
「ついで」という単語がいいですよね。
この句を軽やかに仕上げています。

(例 サングラス掛けて明日の旅支度)
「ついで」という単語で、本当に旅に慣れている人の姿が浮かんできます。

サングラスの本意(季語の意味)には、
旅行中に掛けるというような意味があると思います。
旅行に行く前のうきうきな気分を描けていて素敵だと思いました!

素敵な句をありがとうございました!

記事に行くと、
俳句初心者で、五七五と季語、の知識のみの無謀な挑戦です。

驚きました!素敵な句をありがとうございました!


第五位

岩壁を亀裂走れり山百足


兄弟航路さんの作品です!

上手い俳句ですよね。
岩壁を亀裂走れり、なにかが起こった結果の亀裂だろうか。
と読者は思うわけです。
そうすると、下五の裏切り。「山百足」だったと。

俳句の構造を上手く分かっていて、下五で答え合わせをして意外性を作ってくる素敵な俳句だなぁと思いました!

解説することがあるのか。

これは、俳句の構造を理解している上での、下五の裏切りの句だと思いました。「人間の脳の構造を分かったうえで作ったのかな」と思ったことが評価した理由です。

人間の脳ってそんなに認識が早くないと思うんですよね。

私も散歩を良くするもので、
例えば山道を歩いていて、少し黒くなっているような視界の端の岩壁を見て、
岩壁を亀裂(だと認識した)走れり(走る+存続の「り」)
古典 文法 助動詞 り (hello-school.net)

あぁ、山側の岩壁のあそこの部分、
亀裂になっているように見えるなー
→あれ?少し動いた?
あ!山百足だったんじゃん!

という私は解釈をしました。

果たしてどういった読みで読む句なのでしょうか!
素敵な句ですね!
おめでとうございます!


第四位

そよと吹く風の口づけ夏の夕


茉叶さんの作品です!


この句は優しくて美しいですね。

風の感覚を、口づけに変換して、
夏の夕方のロマンチック感と上手く響かせ合っていると思います。

優しい気持ちになる俳句ですね。

みなさま、「解説が長いほうがいい作品なんじゃないか」、
と思っているかもしれません。
この句に解説はいるでしょうか。という感じなんですけど、私なりに。

「風の口づけ」という言葉をどう料理するか。
この単語だけを見ると甘いフレーズで、
(理屈で)作ったような単語だなぁと見えるのかなぁと思います。
そこで、上五の「そよと吹く」です。
本来、風は吹くものだから、
俳句においては風の話題において、
あえて文字数を使って、「吹く」と言うことは損になることの方が多いはずです。
しかしここで、「そよと吹く」→
(その風はどんな風だと言葉を重ねて説明すると)「風の口づけ」みたいに感じる。
と語順を重ねることで、風の口づけというフレーズがちょうどマッチするように感じました。
そして、夏の夕、少し夏の暑さが和らいできて過ごしやすくなった時間帯の感覚がうまくマッチしてきます。

素敵なフレーズを上手く俳句に収めた素敵な句をありがとうございました!


第三位

うちわ持ちコンビニまでのデスロード


KOMAさんの作品です!

「現代感」を上手くリアルに詠んだ句でした!

うちわを持ってコンビニまで歩く。
その道を「デスロード(死の道)」と表現することが、作者のオリジナリティですよね。
こんな単語、考えたことがありますか?しかも、現代の暑さを言い当てています。

本当に最近の夏は暑いですよね。
それを、「デスロード」と表現した、現代をうまく詠んだ素敵な句でした!

解説。
この時のうちわって、どこかに行ったときにもらったうちわですかね。
私は夏祭りのときにもらうようなうちわを思ったのですが、
キャラクター、推しキャラが書いていてもいいと思います。(笑)

私の選句基準について以前書いたのですが、

日常感・生きている実感のある句が好みです。
いのちの音が聞こえてきそうな句が好きです。
美しい句も、「創作の匂い」がすると、
俳句としての出来はすごく良くても選ばないこともあります。

https://note.com/utsuspi/n/neaab6542159c

この句を、諸先輩の俳人の先生方がどう評価するかは分かりません。

でも、この2022年のこの暑さ。
うちわのひらがな→やっぱり現代のうちわ感で素晴らしい。
コンビニ→やっぱり現代の情景を上手く描けている。

デスロード。
この言葉は辞書で調べても出てきませんでした。
マッドマックスしか出てきませんでした。
デスロードなんて単語、
英語を専門にしている人には怒られるかもしれません。
本来、もっと重く受け止めなければいけない単語なのかもしれません。

でも、「デスゴール」という単語も過去に言われていたこともあり、
日本人の言語感覚では、
「デス+何か」を合わせることを許容していると、私自身は考えています。
(TVゲームに親しんでいる私には特にそう思えるのかもしれません)

マッドマックスの翻訳タイトルは映画を見ていないのでどういう意味で使われていたのでしょうか。
(デス○○、他にもあるか気になるところです)

クーラーに慣れた現代の私たちにとっては、コンビニまでの道。
それはたとえ数百メートルだったとしても、「デスロード」です!

うちわという伝統的なものをひらがなで、
団扇→うちわからの時代の流れも感じますし、
現代の夏、そして私たちの感覚をうまく詠んだ句をありがとうございました。
素敵な句をありがとうございました!



第二位

枝豆の莢の綺麗に並ぶ皿


ゆるりの蒸しエビさんの作品です!


上手い俳句ですよね。
何が上手いかというと、
俳句という、どの瞬間でも切り取れる「カメラ」のようなものを手に入れたとき、何を切り取るかというのが大事になってくると思うんです。
(上位の句は、
読み手の「共感性」と「意外性」部門のどちらかに強く反応した句が残ってくると思うんです。)

ここを切り取るのか!と思いました。

お恥ずかしい話、私は枝豆の莢を雑に扱う人間なので、
この句を見たときに背筋がピンと伸びる思いがしました。

どんな几帳面な2人が並んでいるのだろうか。
正座して向き合って真剣な話をしているのかな。

この句を通して、丁寧に生きる人・その空間が見えたので、
私にはこの句は素晴らしい着眼点と素敵な句だなぁと思いました!

解説。
枝豆の莢の綺麗に並ぶ皿

この句、句の材料としては普通なことですよね。
枝豆の莢の並ぶ皿。
私のイメージしている、今まで出会ったことがある枝豆は、
「無造作にならぶ枝豆の莢たち」でした。
だから、この「綺麗に」という単語、
綺麗に並べたときに起こる反応の魅力ですよね。

食べる前の莢、食べた後の莢、どちらかは分かりませんでした。
なので、大盛に並べるときも、山盛りではなく、
方向を合わせ盛っているのかな。
食べ終わった後の莢も、向きを合わせて置いていっているのかな。
と考えました。

この句に出会っても。
私の人生は、枝豆の莢を無造作に山盛りに盛り付け、食べ終わったら皿にポイと投げる人生を歩んでいくものだと思います。

だからこそ、綺麗に並べられた枝豆の莢から、食卓の他の料理も丁寧に盛り付けられているのかな。
そこに生きる人はどんな姿勢で食に・人生に向き合っているのかな。
と、想像が広がり続けたので選びました!

素敵な作品をありがとうございました!



そして堂々の第一位は!

夏の山来てあらためて家族かな


つるさんの作品です!

実感に溢れたこの句です!

夏の山に登る時には、弁当やお茶の準備等大変なこともあるでしょう。
「今度の日曜日夏の山に登ろう。」
と言っても、夏の海(他の季語)等みたいな、
車でブイーンと行って到着するわけではなく、
山に登る苦労があると思います。

登るのにイヤになった時があるかもしれない。
植物、いろんなものに出会い、汗をかき。みんなで一息つく。

その時間を共有して、「あらためて家族」。
ああ、素敵な家族の物語だなぁと思い一位になりました!

「あらためて家族」この大きな言葉への詠嘆にとても感動しました!

解説。
夏の山来てあらためて家族かな

この場合の、「あらためて家族」。
「あらためて家族と感じた情景や動作を描いてよ。」
という俳人の先輩方もいると思います。
何かの動作やものを詠みこむのが俳句だという意見もあると思います。

でも、この大きなフレーズの「あらためて家族」+詠嘆のかな。
これを素直に俳句にしたという壮大さに。
私は一番好きだと思いました。
家族の実感を詠みこめるんだなぁと感動しました!

季語の選び方(理由付け)としても、夏の山ですよね。
やっぱり準備や移動に苦労があります。
あとは、夏という生命感が、
行った家族の元気さや生命感と響き合ってきていると思います。
大きな「夏の山」という大きな季語の中にある、ある家族の物語。
大きさを想像すると夏の山は大きく、人は小さいかもしれませんが、
その家族の「心情」にクローズアップすることで、対比の効果も効いていると思いました。

そして、今の現代。忙しくなり過ぎたと思うんです。
学校も職場も人間関係も大変なことだらけです。
深い事情があったかもしれない家族の、ほんのひと時の安らぎの時だったかもしれません。

夏の山「来て」で、行くまでの苦労を感じました。
「あらためて」に深い事情があるかもしれないということを感じました。「家族かな」この、家族への詠嘆のかな。
思いが溢れて見えてきました。
「あらためて家族かな」って、とても素敵なフレーズだと思いました!
「あらためて家族」、そう感じる時間が多い人生を歩みたい。
この句と出会ってからはそんなことを考えながら過ごしていました。

素敵な作品をありがとうございました!


ということでうつスピの今回は公式賞でした!

それではまたよろしくお願いします!

またどこかでお会いしましょう!

愛を込めて!


追伸


いままでの私設賞まとめです。


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楽しんでいきましょう!



それではまたよろしくお願いします!

愛を込めて!

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