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#03【設計事務所】独立当初の経営難4パターンとその対策

独立当初は仕事が無くて、軌道に乗るまでは大変。誰しもそういうイメージがあると思うが、実際には軌道に乗るまでに幾つかの段階がある。そこに至るまでどれくらい時間がかかるかはその人の実績や業態によって様々だが、私のように個人事業主でこじんまりスタイルの場合はたどる道筋に共通点があるはずだ。

独立してからおよそ4年半。私の経験から「独立当初の経営難4パターン」を解説します。

1 全く仕事が無くて暇な状態


これは論外。流石に独立しました!と言って、今日から何もやることがありませんという人はそうそういないと思うが、念のために最初のステップとして記しておく。最低でも図面描きの下請けだったりCG描いたり、退職した会社から仕事をもらったりすれば仕事は0にはならないですよと、この状況の人にアドバイスしたい。

2 それなりに仕事があるけど、収入が足りない


相手の言い値で仕事を請けてしまったり、弱気な見積もりで自分で自分の首を締めてしまうこともある。「見積もり出して」と言われて、その度に悩むのは今も変わらないが、やはり生活するために必要なお金なのだから、最初から強気の値段で出し、それに見合うような仕事をすることで期待値を上回るように努力をするべき。中途半端な仕事をして「まぁ、安かったしね」で満足する人はいないのだから。

3 仕事を請けすぎて忙しいが、収入が伴っていない


私が独立1〜2年目で陥ったのはこのパターン。新たな仕事の話があった時にはとてもワクワクするもので、ついつい「喜んで!」と仕事を請ける前提で話を進めてしまう。しかし、今やっている仕事と並行して新たなプランに手をつけれるかどうか、急ぎの図面やCGを仕上げることができるか、両立できるかということを冷静に判断することができない。だって仕事を請けなきゃ生活できないんだもん。貧乏暇なしの泥沼にハマって非常に苦しい思いをした経験がある。

ちなみに、某建築士の予備校で製図講師のアルバイトをしたことがあるが、準備に時間を割かれ、講義の日は朝から晩まで教室に缶詰。全く割に合わないのでお勧めしない。講師をやりながら他の設計の仕事の両立は非常に難しい。

4 仕事はあるけど、資金繰りがうまくいってない


これは建築設計の場合にはよくある問題。一般的な建築設計や内装デザインの仕事であれば、最初に話があって打ち合わせやプランを進めていたけど、最初に報酬を受け取ったのは数ヶ月〜半年後なんとことはザラにある。おかげで丸々1ヶ月収入がないということも珍しくない。

これは独立前に運転資金をできるだけ用意しておくことで回避できるので、これから独立を考えている人には強くお伝えしておきたい。お金の余裕は気持ちの余裕。お金がないと適切な判断ができなくなる。時間もお金もないのだからリフレッシュする余裕すらないので仕事も行き詰まる。負のスパイラル。

自分自身は資金繰りがうまくいかなくて大変な危機が何度もあった。前向きに捉えるのであれば、この危機的状況に直面したからこそ固定費や普段の支出の見直しをすることができたという側面もある。大きな収入があっても調子に乗って湯水のように使ってはいけないということを学んだ時期だった。

一番NGなのは3


1から4までの状況を説明したが、一番陥ってはいけないのは3の状況だということをお伝えしたくてこの記事を書いた。それをここから説明しよう。

1と2は「時間」という資源にまだ余裕があるのだから、経営戦略を練り直したり考える時間はあるということ。今ある仕事を120%に仕上げて成果を上げ、次に繋げることもできるかもしれない。とりあえず時間の切り売りで生活をしていくこともできるかもしれない。本当にやばかったらお金を借りるという選択肢もあるし、そういうことを考える時間がある。時間の使い方次第でまだ可能性はあるのが1と2の状況である。

しかし、3は仕事を請けすぎて「時間がない」、仕事をやり切っても「お金が足りない」という状態。この状況に陥ってしまうとやっている仕事全部に影響が出てしまう。お金の心配をしながら、そして各所から「あの図面はまだですか?」と急かされながら睡眠時間を削り図面を描き、休みなく過ごす日々は一人ブラック企業でした。

まとめ


状況は人によると思うが、1または2から順にステップを踏んで、次に3と4を行き来しながらやっと軌道に乗り始める。私はそこまでで4年ほどかかった。もっとこうしておけばよかったなと、独立当初の自分に伝えることがあるとしたら以下の3つだ。

・独立前に運転資金はできるだけ確保しておけ
・新たな仕事の見積もりの金額は「強気」で出せ
・お金の使い方に賢くなれ(支出は慎重に)
・時期や費用感の条件が合わない仕事は断る勇気も必要

これは私の経験からの考察ですが、これから独立しようとしている人の参考になれば幸いです。

以上

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