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#02【設計事務所】独立した理由


なぜ設計事務所として独立したか

長かった会社員時代。自分には独立するような力はないと思っていた。きっと、一生会社員として生きてくもんだと思っていた。しかし、なぜ今こうして独立しているのか。それを振り返ってみよう。

同じ会社に5年以上勤めたことがない。退職の理由は様々。会社の経営がうまくいかず2〜3ヶ月給料が出なくて辞めたこともあるし、精神的にも肉体的にも限界で辞めたこともある。転職の度に履歴書に書く内容が増え気が滅入る一方で、経験の幅は少しずつ広がっていった。

最後の会社員時代

独立前の最後の会社員時代のこと。そこは比較的就労環境が良かったので定時で退社できることが多かった。土日祝日はしっかり休み。そんなありがたい会社に働きたくて入社したのだが、3年ぐらい経った頃から「詰まらなさ」も感じていた。黙っていても仕事が来る大きな組織の子会社。デザインとは無縁な業務。刺激の足りなさをプライベートの時間で補うようになった。

その頃知り合う人達は自分でお店をやっている人が多かった。その人たちとは今でも繋がっているのだが、みんなとても自然体でギスギスしてなくて、自然体でシンプルな生活をしていた。何か惹きつけられるものがあり、一緒にいるととても楽しかったし。その頃から自分も何か違った形で、もっとシンプルな生き方ができないものかと思うようになったのが最初のキッカケかもしれない。

それと同じ頃「ライフワーク」という位置付けで副業をやるようになった。とある不動産会社の人と仲良くなり、企画を一緒に考えたり文章書いたり写真を撮影したり、自分なりにできることを探してちょっとしたお小遣いを稼ぐようになった。まだその頃は小さな稼ぎだったが、その中で一つ気づきを得た。

設計の仕事にこだわらなくていい

設計事務所として独立する自信がなかったのは、設計の仕事だけで食べていこうとしていたからだ。もし、設計に限らず自分が持っているスキル全てを使っていいと言われれば、もしかしたら独立できるんじゃないか?!その可能性に気づいた。独立という人生第二のスタート地点がハッキリと見えた瞬間だった。

それは仕事は「自分ごと」になっているか

当然のことだが、会社員の場合は営業マンが仕事を取ってきて、それをこなしていくことになる。そういった仕事でやりがいを感じる人もいるだろう。

私自身も会社員として仕事を手掛ける中で「それなりの」やりがいを感じてはいた。しかし、誰かがもってきた仕事を誰かから言われて取り組む仕事をしっかり「自分ごと」として捉えられていたかというと実はそうでは無かったのではないかと、今振り返ると思う。

指示されて動くのが嫌だったのかもしれない。上と下に挟まれて、非効率で非建設的なコミュニケーションに人生の時間を費やしていると感じた時の負のエネルギーも、独立への勢いを強めた一つの要因だった。プロジェクトに対して上下関係ではなく、チームの一員としてそれぞれが役割を認識して取り組む仕事が理想であり、今やっている独立後の仕事の多くがそれに当たる。

きっと組織の中で仕事をしてやりがいを感じる人もいるだろうし、組織だからこそできる仕事というのもある。もちろんどちらがいいかは個人個人の判断になる。もっと言えば自分がどの段階にいるかによっても判断は変わってくる。今の自分は独立向きだと今ははっきり言えるが、しかし20代のうちから独立できていたかといえばそれは無理な話。会社員として十数年の間経験を積むことができたからこそ今があるのである。

そして、今すごく感じているのは独立して自分の力で仕事を得て生活していることの充実感、満足感だ。大変だったことも多々あるが、それを帳消しにできるぐらいのやりがいを感じている。不安定だからこそ、バランスを取るため常に走り続ける。逆を言えば、バランスを取る術を身につけてしまえばどのような状況に陥ってもすぐ立ち直ることができる。数々の危機を乗り越え、リカバリー能力が備わったことに対する自信、安心感が、独立4年目にしてやっと得ることができた。

つづく

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