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映画レビュー

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映画への感想文です。 映画でしか表現できない領域ってありますよね。言葉の及ばない感動がある。わかってるけど、そこに言葉で追いつきたい。そう思って書いています。
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映画感想 アンダーカレント

映画感想 アンダーカレント

劇場で11月末にこの映画を鑑賞した。
すごく好きな映画だなと思ったが、いつもながらうまく言語化できず、もやもやしていたところだった。

連続企業爆破事件で指名手配されていた桐島聡容疑者が、49年にわたる逃亡の末、末期癌で瀕死の状態で「自分は桐島聡だ」と名乗り出た。
列島に衝撃が走ったこのニュース。
私の脳内で、このニュースと映画「アンダーカレント」がリンクした。

人を解るって、どういうことなのだ

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映画感想文「かそけきサンカヨウ」

映画感想文「かそけきサンカヨウ」

サンカヨウ(山荷葉)は、高原地帯で5〜7月に開花する花だそうで、開花の期間は1週間ほど。スケルトンフラワーとも呼ばれ、雨水などの水分を含むと花びらが透けてみえるそうだ。
画像を検索すると、そのガラス細工のような美しい様が見られる。

幼い頃に母が家を出ていき、父と暮らす陽(志田彩良)。高校生になる彼女は、父(井浦新)と二人分の食事を用意し、生活を整えている。
ある日、父が再婚することになり、再婚相

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Amazonプライムで。「レザボア・ドックス」

Amazonプライムで。「レザボア・ドックス」

レザボア・ドックス デジタルリマスター版が公開中である。
広島でも2月から公開されるのであるが、待ちきれない。
我慢できない、このタイミングで…Amazonプライムで観れてしまうなんて。

おそらく最初に観たのは、高校生の時だったと思う。
衝撃的だった。
映画って、すごい。
素直にそう思って以来、私は、ずっと映画が好きだ。

それ以降も何度か観てはいるのだが、不思議なことに近年は観たいタイミン

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映画感想 PERFECT DAYS

映画感想 PERFECT DAYS

ロードムービーがとてもとても好きである。
なので、ヴィム・ベンダース監督作品は大好きだ。
結論からいうと、この映画は私にとって、PERFECTなロードムービーだった。

多少ネタバレが含まれるので、ご注意ください。

TOKYO TOILET PROJECTから端を発した映画であるという情報は得ていたので、監督がトイレを題材に選んだのではなく、先にトイレという題材ありきで映画を作ったということ

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映画感想文 キリエのうた

映画感想文 キリエのうた

昨年、この映画を公開中に劇場で鑑賞した。
3時間弱ある長編であるが、退屈感は全くなかった。とにかく胸が締め付けられて、鑑賞してから2ヶ月近く経とうとしているのに、いまだにキリエの「憐れみの讃歌」を聴いては泣けてしまう。

アイナ・ジ・エンド以外考えられない

アイナ・ジ・エンドの存在ありきで映画が作られたのではないかと思うほど、適役だったと思う。
歌う以外は声が出せないキリエにとって、歌とはなんだ

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天狗の台所

天狗の台所

映画ではないけど、レビュー

Instagramにて、友人が話題にあげていた「天狗の台所」
タイムリーに放送は観られなかったので、Amazonプライムで視聴できると知り、年末年始に一気に観た。(しっかりネタばれを含むので、ご注意ください。)
かなり気に入ったので、詳細にレビューを残したくなった。

NY暮らしの都会の現代っ子、オンは14歳になろうとしていた。母から突然、天狗の末裔であることを告げら

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メタモルフォーゼの縁側 

メタモルフォーゼの縁側 

エンドロールを観ながら、久しぶりに手紙を書きたくなった。
たまにしか会わないけど、いつもそばにいるような、親愛なる友人に向けて。


少々のネタバレを含んでしまうが、私なりの視点でこの映画の良さについて語らせてもらいたい。

本屋でアルバイトをする漫画好きな女子高校生、佐山うらら17歳。彼女は友達の多い社交的なタイプでもなく、進路調査票にかくようなはっきりとした目標があるわけでもなく、集団の中

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