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無敵の力「チャーム」を手に入れろ!-困難なビジネスを乗り越える唯一な手段

 クライアントや同僚、後輩や就活生などから「YOUNOさんみたいになるには何を勉強すればいいのか?」「日ごろからどんな事すればいいか?」といった質問を聞かれることはある。この質問の裏には、どんな能力に秀でている/伸ばしているのか?、という文言が隠されている。

 ということで今回は人の能力の構成要件を考えてみたいと思う。
 とはいえ一から考えるというより、経営コンサルタントとして様々な業界の役員クラスから管理職、非管理職、非正規雇用者の方と会話した経験に加え、アカデミアで研究者として身を置いた経験も踏まえて出した結論を整理できたらと考えている。
 それはスキルx知識x力だ。

人の能力はスキルx知識x力で決まる

ビジネスマンや研究者の構成要素を定義すると以下となる

1.ベーススキル

物事をインプットするスキル、アウトプットするスキル、考えるスキル、学習するスキルに大別することができる。直接何かの仕事に役立つというより、すべての仕事のベースとなるスキルセット。
 優秀なコンサルタントはこのベーススキルが全般的に高いとされている。研究者は考えるスキルやアウトプットするスキルを特に重要視されるなど、職種や業種によってもそれぞれのスキルの優劣は存在する。人によって伸ばし方に向き不向きはあるが、環境や意識によって一定レベルまで習得は可能である。

2.マネジメントスキル

内部的にはチームを鼓舞し、プロジェクトをすすめるスキル、メンバーに目標を与えてモチベーションを与えるスキル、外部的には折衝するスキル。人の育成も突き詰めると他人に目標を与えてモチベーションを与えることで育成するといえるので、ここに含まれる。
 部下を持つビジネスマンであれば誰もが習得してほしい。研究者も自身で研究室を持ったり、学生指導にあたるわけなので、当然持っててほしい。なぜかアカデミアではこの手のスキルがなくても許される人が多い。なぞだ。とはいえビジネスの世界も含め、このスキルを十全理解し、習得できている人はほとんどいない。(なのでこの世にハラスメントやブラック職場が存在する)

3.専門知識

経験によって得られる業界構造や業務内容の知見。アカデミアだとわかりやすく、「その研究分野の知見」がそれにあたる。ビジネスの世界だともう少しふんわりしていて、「経理部に長く在籍していたので、この会社の経理業務全般わかります」「製造業界を相手に15年間融資してきたので、業界の推移やキーパーソンは抑えてます」といった形で、必ずしも言葉通りの知識ではないケースも含まれる。その領域の知恵袋的な存在。
 転職する際はこの専門知識の高さを売りにする人が一定数いるが、次の会社で使えることはほぼない。専門知識の面白いところはその領域のど真ん中に在籍していなくても、かすってさえいれば、時間経過である程度知見を持つことができる。

4.人間力(意志力)

個人的には「チャーム」と呼ぶのが的確だと考えている。意思決定する/させる力、ストレスに耐える力、場をコントロールする力、自分をうまく見せる力、といった、「ヒトを魅了する力」のことを指す。優秀な経営者として取り上げられたり、YouTubeでバスっている人にはこれがある。コンサルタントが真の意味で会得しなければならない力。誰もが欲しいが、天性の才能に依存するところが大きく、若くからチャーミングな人もいれば、おじさんになってもチャームを使えない人がいる。

 ※実は「職人技」という要素もある。これは農業、刀匠、探検家、プロスポーツ選手といった人たちが持つ要素だ。今回は省かせてもらったが、いつかの機会に話せたらと思う。

ノンチャーミングな人は何をやらせてもつまらない

 ベーススキル、マネジメントスキルはどんな業界・どんな職種であろうと、キャリアアップしていこうと考えるうえでは必要となるスキルなので、早いうちに持っておいて困るものではない。フリーランスでマネジメントスキルが不要という人はいるが、私からすればフリーランスほど外部との折衝スキルが必要な職種はないと思うので、やはり必須である。
 専門知識はその業界で一生を添い遂げたいならばひたすら磨けばいいが、転職や昇格、キャリアアップを目指すならばその手段としては不適当である。なぜか日本の事業会社やアカデミアの世界は昇格や転職、研究職で言うとPI(任期なし研究職)への採用時に専門知識の高さを目標に掲げている人が多い。しかしこの知見は代替可能であるし、別に自身で持ってなくても全く問題ない。それこそこの領域は生成系AIに取って代わられうる。

 スキル・知識の大事な点は、学ぼうと思えば一定レベルまで誰でも同じゴールまで習得できる点である。つまりスキルや知見の優位性が一過的なのだ。この辺のスキル差で一時的に優位に立ったとしても、経験や時間の経過によって容易に逆転されうる。長期育休取得者が復帰すると、周りについていけなくなったという話はまさにこの最たる例である。
 また、スキル・知識に基づいて仕事をするというのは、正当なプロセスで積み上げた仕事ともいえる。プロジェクトを預かる身としては非常に安心感あるし、コアメンバーとしては重宝する。しかし、オーダーした仕事がオーダー通りに完了する、これは何をやっても驚きはない。
 勘違いしないでほしいのは、この手のスキル、知識は不要である、と言っているわけではない。この辺りは当然取得すべきであるが、競争的要素ではない、と言いたいだけである。

「天才的なアイドル様」になる

 何で人は差がつくのか。それは「チャーム」である。

 「彼の周りにはいつも助けてくれる人がいる」
 「あの人を通すとクライアントはいつもYESっていうんだよな」
 「彼女はチームの立役者だね」

 こういうコメントを聞いたことはないだろうか。彼ら・彼女らこそががチャームを持つ人、「チャーマー」である。チャーマーは何か形のあるスキルや明確な知識で定義づけられたプロセスを無視した動き方ができる、ある種の飛び道具みたいなものだ。チャームを持たない、実直にスキルと知識のみで積み上げた者からすると、チャーマーはルールを無視した動き方をする無法者であり、非難すべきものとして捉えがちである。しかし、ビジネスの世界は往々にして理屈通りに物事が進むとは限らない。プロセスを無視した動き方や、非連続なアプローチが有効なケースもある。物事を革新的に進める、あと一押ししてあげる、そういう時にチャームは光る。
 必ずしも看板を背負っているとは限らない。例えばそのチームとしては下位メンバーであっても、なぜかプロジェクトがその人を中心にまわることがある。そういう不思議な存在がチャーマーである。まさに「天才的なアイドル様」状態である。

 世の中にはスキルの習得本やら、ノウハウ本が乱立しているが、そんなものでは周りと差がつかない。ある程度ならされた環境ではコモディティ化して価値を失う。持つべきはチャームである。チャーマーとなれ。人はチャームを持ったものに惹かれ、チャームを持ったものを中心に物事が動くのだ。
 皆さんも明るいものに集まる羽虫から、夜空に煌めく一番星になることを祈っている。

”天才的なアイドル様”という素晴らしいフレーズ。原作もアニメも応援したい

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